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ケとハレと、祭の日々と、その笑顔 戸田ゆかり総座長のゆかりちゃん祭

娘さんたちとセーラー服姿で踊ったあとに。
「私、足は自信あるんですけど!(笑)」
「昼の部はドレスを着て『春一番』を歌いました✨」
「祭」の日のこと。
最後には「やりきりましたー!!」、晴れやかな笑顔で。

「祭」とは近年の旅芝居・大衆演劇の舞踊ショーで流行、いや、定番化した催しである。
いわゆる「一日出ずっぱりday」「一日主役day」のことで、
芝居では主役、舞踊ショーは早着替えで次から次に登場する。
正直そんなに好きじゃなかった。
だって、いろんな座員を観たいもん。
出番多くするあまりに着付けが適当だったりするの嫌なんだもん。
でも敢えて足を運んだのは、他劇団に一か月ゲストしていた彼女を観て、「わー!」ってなったから。(下記記事参照♡)
と、好きな芝居をかけると知ったから。
そして、帰り道、私は「行ってよかったなあ」としみじみする。
「お腹いっぱいや(笑)」と笑いながらも。

袴で侍風、粋な姐御風、ふんわり華やかフード(!)姿。
若い子に流行りのJ-POPでイケメン風、最後は盛り盛りのカラフル花魁風。
適当な格好や舞踊は一度もなかった。
ショーからがんがん伝わってきた。
「これが私」「私たち」「なんでもする」「全部みせる」「どう?」
「全身全霊で全力で楽しませてあげる♥」

自ら進んでコミカルな扮装や被り物、
「コミック」とも呼ばれる賑やかし役で何度も登場した。
普段からもやっているらしい。
しっかり者の娘さんも同じく、気後れすることなく楽しくそれらをやるみたい。
セーラー服群舞の際はぴちぴちサイズを着てお腹を出してた。
見た母、「それやられるとあんたの方が目立つのよー! もー!」!!
ずっと咲いてるお客さんの嬉しそうな顔。その顔をみてより嬉しそうに生き生きと踊る彼女。満面の笑顔と、全力元気で「がんばるぞー!!!」
観ながらツッコみながら。嬉しくて笑ってしまいながらも心配してしまいながら、ツッコんだ。「頑張りすぎや!(笑)」
でも、頑張らなきゃいかんのだ。
そうしてきっとずっと全力全開満面の笑顔で走り続けてこられたのだろう。

大きな劇団ではない。家族の劇団。新しいけれどちいさな劇場。元スナック。
4列しかない。ちょっとデカい居酒屋よりちいさい。そんな小屋。
壁伝いに楽屋の音や裏の様子や祭りの裏のドタバタがすべて聞こえてきたし、
休憩時間に外でぼーっとしていたら、抱っこ紐で子供を背負い、
大量の洗濯物を抱えた若い女の子が走ってきた。急ぎながらも笑顔で「お疲れ様です」と挨拶して下さった後、楽屋口へと入っていった。

ちいさな劇場。女座長。イケメン息子。しっかりした娘さん。ファミリー劇団。

……でもそれが何だ。何だというのだ。

「大衆演劇っぽいー」「ファミリー劇団が「一生懸命」」

ノスタルジーでは生きていけないのだ。

今、この舞台で「生きている」。これまでも。これからも。この身と笑顔で。見てこのセーラー服姿。「私、足は自信あるんですけど!(笑)」

この日の芝居、『花街の母』のヒロイン、奴ちゃんがかぶっても見えた。
いや、これも、上から目線の固定観念だろうか、うん、そうだ。あかんな失礼。でも。だからまた足を運びたい運ぶ運ぼう。
ぼたぼた涙を流し、流させたあとは、めっちゃ笑うのだ、皆で。
カッパのかぶりものでアヒルのお尻の扮装をして歌うのだ。客席からは大歓声だ。 どうぞ♥ 「かわいいー!」

更に笑い泣きしたシーンがある。
旅芝居舞踊でお馴染み、中島みゆきの『糸』を福山雅治カバーver,で踊っていたときのことだった。
ふんわり咲く大きな笑顔を観てジィンとしていたら、
突然、取り出して広げたのはタオル? いや、バンダナ?
観ている時は気付かなかった。が、帰り道写真を見返すと、それは紛れもない福山グッズ(ファンクラブグッズ?)!!
ファンなのかな? いいね。いいやん。最高やん! そして、まあ、なんてええ表情(かお)!

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「これが私」「私たち」「どう?」「全身全霊で全力で楽しませてあげる♥」!!

(劇団戸田、戸田ゆかり総座長/2022・2・23@演劇館水車小屋)



■omake■

昨年観た際の記事はこちら(笑)

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大阪の物書き、中村桃子です。
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演劇、古典芸能好き、からの、下町・大衆文化好き。


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そして、あたらしい連載「Home」。皆の大事な場所についての文章、も、ぼちぼち。

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担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、
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