花 おじさんと春待気流
昼過ぎにすれ違ったスーツ姿の中年紳士は紙に包まれた花を抱えていた。
木の花だった。
包みの中から木の枝と淡い桜色の花が見えた。
自然な感じで歩いて行かれた。
浮かれるでもなくでもしゃきっとという感じでもなく。
わたしもそのまま歩いていたら花屋の店頭に差し掛かったのでふとみると、
数種類の花の中でひとつそこだけぽっかりあいていた。
さっきの紳士が買って行ったもので売り切れたのかもしれないと思った。
コノハナサクヤ姫? それは桜の花。
桜じゃなかった。ないよね。季節的に。
しかし