マガジンのカバー画像

日々日々

271
1日(なるべく?)1エッセイ。思うこと考えることを綴っています
運営しているクリエイター

2024年2月の記事一覧

花 おじさんと春待気流

昼過ぎにすれ違ったスーツ姿の中年紳士は紙に包まれた花を抱えていた。 木の花だった。 包みの中から木の枝と淡い桜色の花が見えた。 自然な感じで歩いて行かれた。 浮かれるでもなくでもしゃきっとという感じでもなく。 わたしもそのまま歩いていたら花屋の店頭に差し掛かったのでふとみると、 数種類の花の中でひとつそこだけぽっかりあいていた。 さっきの紳士が買って行ったもので売り切れたのかもしれないと思った。 コノハナサクヤ姫? それは桜の花。 桜じゃなかった。ないよね。季節的に。 しかし

花丸 大好きな酒場で

店に行ったら店員さんから「偉い」と言われる店は、まあ、ないことはないのかもしれない。   元々は友人の行きつけの店だった。 2人で行くようになって、 コロナ禍前後の休んだりまた開いたりの時も 行ったり行かなかったり行けなかったり行ったりした。   今月友人がひとりで訪問したことを教えてくれた。 年明けからいろいろさらにバタバタでいっぱいいっぱいのわたし。 なかなか会えなかったり呑めなかったりが続く中で。   「入ってすぐに「今日はひとりか?」って言われました(笑)」   帰り

真ん中のクリーム それはきっととてもしあわせ

男の子が何か言うと 女の子はちょっと不満そうに「えーっ」 ちょっと眉をひそめながらも笑いながら。 そのまま店員さんに「ねぇ?」 店員さんはちょっと怒ったような顔をつくって男の子に「そぉですよ〜!?」 女の子はめっちゃ笑って男の子も笑いながら、 それぞれの飲み物を受け取って席に行った。 まだ笑ったままの顔の店員さんからわたしも笑って飲み物を受け取った。   何を話していたかは知らん。聞こえなかった。聞いてもない。でも。   奥に居たもうひとりの店員さんは心なしかソイラテの真ん中

The Aerial Assassin サンキューマタネウィルオスプレイ

金網の中でのごちゃごちゃ血まみれぐちゃぐちゃ試合をただ観た。 直接会ったこともないその選手のことを勝手に書きたい。   入団したころから観ていた訳じゃない。 会場に足を運んで生で観たことだって両手で数えるほどだ。 新日本プロレス在籍としての最後の試合も大阪だったけれど行かずに配信で観た。   いつの間にか気付けば目で追っていた。 むちゃくちゃだからだ。 なんでそんなに身体張るねん。 知人は見るたびに言っていた。 「やさしいなあ」 どんな選手のどんな技もやりすぎくらい受けまくる

バニラアイス 正しさや正解について

今朝ふと〝バニラアイスのおっちゃん〟のことを思い出した。 誰か知らない名前も知らないこのときのこのひとである。 なんでなんかはわからん。アイスも食べてない。 言葉を探したいなといつも思っている。   すぐに「クソが」「ゴミかよ」と思う人間だからかもしれない。   言葉を探して、 「わかり合えない(かもしれない)けれど、けれど、なら、その間」を 考えたいし探したいなって、ひとと人々と皆で、皆と。   この過程で様々の誤解はされているだろうなとも思う。   それはわたしの至らな

不適切とモヤとスタート地点 ドラマ『不適切にもほどがある!』を再び考える

ドラマ『不適切にもほどがある!』が、結構叩かれているみたい。 「せやろな」「せやな」と思った。 1話目を観たわたしはうれしかった。 笑ったり笑ったり、なつかしさを感じたりもしていたから。 時事ネタがではない。 「よく観ていた頃の小劇場」感、がちゃがちゃごちゃごちゃ生き生き感、ギャグやオフザケを散りばめながら「言いたいことを伝える」を感じてだ。 でも、かな、だから、かな。でも、かな。 2話目くらいから「ん?」を思い始めた、「ん?」と「んー?」だ。 「ああ、これは、叩きがいがある

ただいま、おかえり、いってらっしゃい Stay Salty vol.35がリリースされました

参加させていただいているWebマガジン、 新年初の号がリリースされました。 「これまでの活動や経緯や、現在の日々に思うことなど、 そしてこれからの想いを交えて、エッセイとして語っていただけたら」 とお声がけをいただき、自身のこれまでを振り返る徒然語りをした昨年10月の号。   メンバーとして書かせていただくようになった昨年12月の号。   そして今回、2024最新の号です。   あちら、こちら、ゆらゆらと泡泡と、でも今と、日々と。 年末年始のそんな事が頭に浮かびというか書き

10円玉 その2

わたしは今日ビッグスマイルをもらった。 わぁ! ありがとうございます!! という言葉と一緒に返ってきたのだが、 え、そんな、なんも、って思ったんやけど、 せやけどあまりに素敵いやビッグだったからこっちも「うん」と「ううん」の間の笑いで頷いてもうて、数時間? もっと? 経ってから、じぃんと来たりね。   仕事を中断して行ったコンビニとスーパーの間的な店の精算機で会計をしようとしたら10円玉が落ちていた。   あ。   拾って、 まず自分の会計をして、 忙しそうな店員さんたちが数

人生の楽園 とある島で聞いた話から

今まで足を踏み入れたこともない島での話をもうひとつしたい。 耳にした言葉が頭を離れないから。 「あいつらは勝手に来て好き勝手に自分たちのやり方で好きなようにやって飽きたら出ていく。ずっとこっちでやってきた者のやり方やったり気持ちやったりはないがしろにしてちょっと声かけるだけやったり全く声かけんかったりしてな」 知らぬ土地から知らぬ土地へ店や農業をやろうと来る若い人たちが後を絶たないのだそうだ。 「こっちも牛窓みたいになるんかのお」   「田舎で暮らそう!」「アイラブローカル地

人生を語らず 神の島の神みたいな人と山頭火みたいな父のこと

瀬戸内にある島のひとつに先月行った。 いまだに考えても行く理由はわからん。 が、旅気分も持って訪れた地は近年アニメやドラマの舞台になったりもしている通称「神の島」のうちのひとつらしい。   故人はそこで神主をしていたという。最終的には。   若い頃その地で次々にあたらしい事業を手掛けたり、 だからそこで考えることやることは……以下省略。 血のつながりもないし、いまだに誰なんだかよくわからないこともあり、 無を通り越して真顔になるを通り越して、見知った人に、 「え、紀伊国屋文左

鬼をおもう日 居る居るあっちにもこっちにも

鬼って、なんやろ。 考える、考えた、節分の日に。 節分の日やから余計に。 会えましたか、みましたか。 どうしました? 自覚しました? 払いました? あなたにとっての鬼も、あなたの中の鬼も、両方共。 節分当日や前後は各地でイベント事多々。 近くはなくても近くの有名なそれらには、 散歩気分だとしても、足を運んでおきたい。 好き嫌いや肯定するしないはさておいて。 夜に訪れた神社の豆まきタイムには、 一体どこから? と思うほど人が集まっていた。 コロナの影響を受けてこの数年は開

濃口醤油 いい仕事に最大級の敬意を

醤油を買うた。 余計な会話は一切なくて、 こちらも余計な軽口は一切言わずに買うて帰った。 よかったなあ、と思った。   毎週通る道にある醸造元が気になっていた。 時代劇のセットみたいな格子の蔵構え、 店頭に樽と共に何本かの醤油が小売り用にと並べられているきちんと。 いつも気になりながら横目でみて、でも、びびりなので通り過ぎていた、無人だし。 酒樽の中に人が埋められてってなんの怪談だったか時代劇だったかな。 ちょっと思い出せないし、今この例えを持ち出してくるのは不謹慎極まりない