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日々日々

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1日(なるべく?)1エッセイ。思うこと考えることを綴っています
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2023年3月の記事一覧

空気の衣

世の中のほとんどのことは嘘だと思う。   特に金銭のやりとりが発生する場や間柄である場合はそうであることが多いことない?  嘘じゃないけれど嘘、が、言葉としては近いかなぁ?  でもね。 その瞬間瞬間、一瞬一瞬は「ほんとう」なのだと、とても、わたしは思う。 ほんとうとなるし、ほんとうに、ほんとうなのだ、って。 さらに、その嘘とほんとうの重なりと積み重なりは限りなくほんとうとなる。 ほんとうに。 だから人間はかなしく怖く、とても愛しく、とてもとてもうつくしいな、

桜のいろは

夜、出先で凄艶さすら感じる桜をみまして、 ふと思い出したのは桜守、16代目佐野藤右衛門さんのことです。 遡ったら、12年前(笑)のBlogに書いていたっ。 藤右衛門さん曰く……  「桜の花が一番きれいに見えるのは朝日が昇るころ」 これはいわば「しっとりした素顔」、 「午前10時から午後3時あたりは疲れてちょっと肩を落とす時間帯」 夜になると、花は「さぁ化粧でもして出かけよか」と元気を取り戻すらしい。 だからそこをライトアップによって盛り上げるんだと。 桜は下向いて咲くから

じゃがりこと酒とあの空気、デスティーノと、ケンカキックからのSTF

武藤敬司の引退興行は知らないおっちゃんとの記憶と共に刻まれました。   「引退興行、観たことないでしょ。観てほしいんですよ」 「いや、いや、アベマとかで観ます。もったいないです」 ずっと渋っていたのだが、 わたしにプロレスを薦めてくれた人、 つまり若き日に武藤さんやあの世代のレスラーとも親交のあった元プロレス記者氏は強引だった。 「あなたはあの雰囲気を観ておくべきです!」 押し切るようにチケットを下さったので2月21日の東京ドームの引退試合を観に行くことになった。   開場前

駅と港と劇場、鳥と桜

きのう、用事終わりの夜、大阪駅、うめきたエリアの新ホームを見てきました。 土曜日に開業したばっかりの、ネットで「うめきた新駅」とか言われているやつ。 東海道線支線(貨物線)を地下化してホームにしたところ。 顔認証改札機が導入されたことでも話題の。 あの改札機は「車、洗うやつ?」「モルカーが洗われるやつ?」とか 新ホームは「エヴァンゲリオン?」「作・庵野秀明?」とか真剣に思った。 ホームの脇には桜の造花と共に記念撮影スポットが設けられていて、 「近未来と桜花」って、え、何、何か

スピードとミカンと重ねることとラリアット

歩くのがマイブームだったから自転車はひさしぶりでした。 お天気の朝、しゃーっとペダルを漕ぐと、ふわぁーっと春の風が顔に当たって、なんだか爽快な気持ちになりました。 調子に乗ってあまりお天気の中にいると花粉でえらいことになるので、 用事を済またらすぐにしゃーっと帰ったから、往復でもものの30分ほどだったのだけれど、頭の中がちょっと楽しかった今朝でした。   10000歩あるくという話を先週つぶやいた際も書いたのですが。 歩くのと自転車を走らすのとでは、みえる景色も頭の中にめぐ

人にやさしく

近所に謎のおっさんがいる。 ひとりで住んでる。いつも同じ服。ベランダには同じ服が数枚干されてる。 たまに2階から顔をだして挨拶される。「おー、ええ天気やなー」   毎日昼過ぎの同じ時間に駅のコンビニに夕刊フジを買いに行ってる。 新聞ひとつを買って長時間店員としゃべっている姿をよく見かける。 決まって同じ美人の店員としゃべってる。   正直ちょっと思っていた。「キモいなあ」   「キモいなあ」はもうちょっとありもする。   家の前で大荷物やゴミを拾ったりなどしていたら飛んできて

Mimosa ある旅芝居のお客さんへ

あるひとのことを思いだしていました。 旅芝居のお客さんです。 会ったことはありません。   自分で言うのもたいへんにおこがましいのですが、 俗にいう「レポ文化」(え?文化?)や 旅芝居の舞台の感想やまとまった文を ネット上のブログで発信し始めたのはわたし。 いや、わたしだけじゃない。 けれどわたしと言っていいと珍しく堂々と言う。 何年も前に参加させていただいた某学会というか研究会でもそんな話題になり、紹介をされて、「そんなのなんの自慢にも取りえにも誇りにもならないどころか……

All the world’s a stage

いろんないろんないろんな人が居る。 皆おなじじゃないからきっといい。 よくないこともおおいけれど、それでも、いい。 やっぱり思うこのところです。 思いたい、かな。 いろんな人がいろんなすぎるからややこしくもなりもする。 あちらやこちら、こちらとあちら、 個と個、集団と集団、 ほんねとたてまえ、これまでと今とこれから、 記憶と思い込み、主張と黙んまり、ゆるせることとゆるせないこと、 糸はもつれたり、絡まったり、ややこしくなることは多く、多すぎる。 いろんな人間が共に居ること

『東京ノスタルジック百景』を読み考えた 残すこと伝えることかかわること

ドキリとした。 「ここもまた、詳細は省くが、存在が困難な状況になってきている。 「さびしいですね」と、ふとこちらがつぶやくと、社長がすぐさま一言。 「じゃあニイチャンが、普段からもっと飲みに来てくれたらよかったじゃないかよ(笑)」」 (『東京ノスタルジック百景 失われつつある昭和の風景を探しに』・フリート横田・世界文化社・008「神田小路」篇より)   消えてしまってからでは遅い。 「じゃあなんでもっと足をはこばなかった?」 引退する役者をラストの一か月観続けた時に業界に対