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【キャリア】仕事はやってみなければわからない

今回は山口周さんの【仕事選びのアートとサイエンス~不確実な時代の天職探し 改訂『天職は寝て待て』~ (光文社新書)】から、キャリアについての一文を紹介します。

ある職業が求めるスキルやコンピテンシーについて外から理解するというのは非常に難しい ことで、 個人が社会に出て発揮できる強みや能力というのは、結局のところ、実際にその仕事についていろいろと試行錯誤を経てみなければ結局は分からない、ということです。

医療専門職の皆さんは、今の仕事向いていますか?

私は臨床工学技士という医療専門職の国家資格を持ちながら、その道を早々に外れ、「医療マネジメント職」として仕事をしています。

そもそも「医療マネジメント職」を目指したのは、志が高かったわけでも、能力が高かったからでもありません。
臨床工学技士として働きはじめたところ「失敗した…」と思ったからです。

高校3年生の夏頃、臨床工学技士という医療専門職があることを学校の先生から知らされ、推薦が受けられるとのことで安易な気持ちから養成校の門をくぐったのです。
まさか、人に針を直接刺したりするとは思わずに。

入職してから、血液浄化部門に配属されますが、致命的に自分が不器用であり、臨床工学技士に向いていないことに気づきます。

患者さんの血管に針が入らない。
装置をメンテナンスやオーバーホールすると、元に戻せず壊してしまう。
ミスが怖くて何度も何度も見返すため時間がかかる。
夜中に呼び出されて、一人で治療の準備をすることで手や足が震えてしまう。

明らかに落ちこぼれの臨床工学技士でした。

この仕事を60~65歳になるまで40年ほどの長い間続けていくことは、到底できないと感じ始めた4年目の夏、ある転機が訪れます。

当時の上司が「医療マネジメント職」として、異動となりました。

そんな道もあるのかと驚きました。

親に学校に行かせてもらって、資格をとったのだから、その資格をとって働かなければならない…という固定概念がはがれたのです。

それから7年後、紆余曲折を経て「医療マネジメント職」として異動の辞令が出されます。

やはり、我々医療専門職は、特にこの「資格」を得るために払ったサンクコストにバイアス(すでに発生したコストに気を取られて合理的な判断ができなくなる心理傾向)が働いて縛られてしまいます。
(ほとんどの方は)たかが18歳やそこらで決めた進路や資格が、本当にあっているのかどうかは、働いてみなければわかりません。自分に向いていたり、あっていれば、すでにラッキーなのだと思います。

ただ、「本当にその資格に向いていないのか」という問いに対して、早々に結論を出すのは辞めた方がいいと山口さんは仰っています。

以前、私は「石の上にも三年」ということわざに違和感を持っていました。ビジネスパーソンにとって油の乗り切った時期というのはせいぜい 20年程度であり、そのうちの貴重な3年を「とりあえず目の前の仕事に打ち込んでみろ」という価値観には、どうも企業や権力者側の都合が透けて見えるような気がして、ヘソ曲がりの私には「 胡散臭い」ように思えたんですね。
ところが転職を何度か経験するうちに、 その職業なりの面白さというのは、やはり3年程度は経験してみないと見えてこない のではないか、と考え直すようになりました。

臨床工学技士という資格の面白さに気づきはじめたのは、自分の場合もやはり、3年が経過したころでした。
患者さんとのコミュニケーションや、集中ケア病棟で急性期の患者さんを看護師さんと協力してみるように勉強をはじめてみて、やっと面白さに気づくことができました。

やはり、ことわざは真実に近いですね。時代を超えて受け継がれて、様々な人に受け継がれてきたことわざは、n数が多いだけあってエビデンスがあるのだと思います。

医療専門職としてのキャリアを考えるうえで、とりあえず3年(パワハラやセクハラなど心身に危険が及ぶなら別)やってみる。そしては、資格に縛られないキャリアを歩んでいけるといいのではと思っています。

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