2021年春アメリカで起きているアジア人差別について現地で感じること

去年の3月半ばにコロナ感染がいよいよ本格的に深刻化してロックダウンが始まった頃です。トランプ元大統領がチャイナウィルスとか言い出して、危険な兆候を感じてました。

会社のHRのトップから社員全員に向けて「アジア人差別に反対」というメッセージが送付されたのもその頃。ちょうど一年前くらいです。言うと余計に騒ぎが広まるから、なるべく騒ぎ立てないで欲しいな、という感想をもちました。

私はちょうどその頃NYからシャーロットというアメリカ南部に仕事の都合で引っ越したので、ただでさえアジア人が少数派の土地でアジア人差別がクローズアップされてきて嫌だな…と感じていた矢先にアメリカの各地で警官による黒人差別でBlack Lives Matterの方に世間の関心が向いて、アジア人差別関連の報道は初期報道からほぼ1年途絶えてたんですよね。

それが、ワクチンができて、夏以降は職場に復帰する人も増えると言われている今になって、アジア人差別に再び関心が集まってきて何なんだろう。去年はHRからのメッセージだったのに、今年は社長や会長もアジア人差別反対のメッセージ発表してきて、ホームページにはアジア人社員の写真がバーンと一面に出て「差別反対!」とメッセージを掲載してるような大騒動になってます。CEOだったらメッセージ出しとくべきみたいなトレンドになってる。

アジア人って被差別対象だったんだな、と今更思い知る日々で、当然嫌な気分です。騒ぐのはやめて欲しい。普通に生活してる分には北米に住んで20年間で一度もアジア人だから嫌な目にあったことないんですよね。私がボーッとしてるから? どうだろう。でも本当に一度も「中国に帰れ」的発言を受けたことないしな。。。と考えたら一度「お前は外国人だな!フィリピンから来たんだろう!」と大声で訳の分からない独り言を喚いているクレイジーな中年女性に怒鳴りつけられたことがあったっけ🤭 でも、相手が相手で怒る気にもなれなかった。嫌な気分というより、ただおばちゃんが気の毒だった。

それが今はニュースで見る限り、中国系の年老いたおばあちゃんが殴られたり、男性が地下鉄で殴られて首絞めらたり、地下鉄で突然カッターで顔切られたり、差別的発言だけじゃなくて街を歩いていたら突然暴力を振るわれるような事態になってて、俄に信じがたいんだけど、映像で何度もリピートされてるし、やっぱり本当に起きてるんだろうと考えざるを得ない状況です。

外出を控えてるので、たまーに買い物とかに出かけるとレジの列でアジア人が私一人だけのことが多々あって、周りの人が私を見て「あ、今話題のアジア人発見、コロナがうつったら大変だから離れてよ」とか思ってたらやだな〜と被害妄想的になったりするけど、人って普通は基本的に他人にはそんなに関心ないですよね。

だから普段の生活で嫌な思いとか困ったりすることはないんですけど、毎日何度も何度もアジア人差別がニュースで取り上げられており、これ以上事態が悪化しないことを祈るばかりです。

ただ思うのは、お年寄りを後ろから殴ったり、突然おばあちゃんの顔を腫れ上がるまでパンチしたりするってアジア人差別というより憎悪?hate crimeと表現してますけど、就職時に選別から漏れるとか、昇進できないとかそういう証明しづらい見えない壁とは別物ですよね。いわゆるUnconcious Biasに起因する差別とは質が違うということです。

1年間溜まったフラストレーションを暴力で昇華させようとしてるのか、不気味。街で見かけただけで顔をカッターで切りたくなったり殴りたくなるってどれだけの恨みや嫌悪感を心に抱えて生きているか、怖いですよね。映像を見る限り突発的に暴力が発生してて、口喧嘩から発展するとか予期された回避できる暴力ではないんですよ。ハエとかゴキブリを叩くみたいに見た瞬間アジア人に殴りかかるって相当の暴力性とか狂気が根底にある。そういうのは集合的無意識から顕在化してるから、このままでは済まないだろうな。人間が害虫みたいに駆除対象になるって、人種差別? 

20年にして初めての経験です。屋根裏に身を隠す事態に発展しませんように。




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