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薬膳空想物語『七十二候の食卓』
清明
鴻雁北 ~こうがん、かえる~ 十四皿目~
ツバメが訪れる頃、日本で冬を過ごした雁(ガン)が遥か彼方のシベリアへ帰っていく。
次の秋から冬にまた会うまでのしばしのお別れである。
『ふゆみずたんぼ』という言葉を知っているだろうか。
いわゆる冬期湛水水田で、冬の間もその名のとおり田んぼに水を張り、田んぼに生きる原生生物やイトミミズ、渡り鳥など多様な生き物の力を借りて無農薬、無化学肥料で米作りを行う農法である。
生態系の力を使って田んぼの機能を改善し、冬に水を張ることによって、水の中に菌類やイトミミズを発生させ、それを目当てにガンやハクチョウなどの渡り鳥が住処としてやってくる。
「ふゆみずたんぼ」の実施により鳥たちがひと冬、地域の田で過ごすことにより養分豊かな土壌を育むことができるというわけだ。
2月から3月にかけて、田に産みつけられた卵からかえったカエルは、春に成長し害虫駆除の役割を果たしてくれるのである。
江戸時代から伝わる自然の力を利用した方法は、効果が表れるまで時間がかかり
その田んぼで出来たお米は特別な価値となる。
今の時代を生きる私たちは時間に追われ、普段の物事でも「じっくりと待つ」ということも意識しないと、ついぞ耐えられなくなっているかもしれない。
お米ならず、他の農作物の成長も「じっくりと待つ」のは太古の昔からのあるべき姿だし、
同じ待つのであれば、人間の成長すらもゆっくりと「待つ」ことなのかもしれない。
人も、田んぼも、野菜も、穀物も、大きな自然の中の一部である以上
ゆったりとした輪のリズムを心から快適に感じられるようになれたら、
幸せなのかもしれない。
『はと麦入りポトフ』約4人分
材料:豚肩ロース肉(塊) 300g 塩 小さじ1/2 粗びき黒胡椒 少々
ベーコン(塊) 80g キャベツ 160g 玉ねぎ 100g じゃが芋 100g
人参 80g はと麦 30g セロリ 50g タイム 2枚 ローリエ 2枚
セロリの葉 適量 水 800㏄ コンソメ 1個 粒マスタード 適量
作り方
・はと麦は2時間前くらいから水に漬けておく
・豚肉に塩・粗挽き黒こしょうをすり込み、下味をつける
・キャベツ・玉ねぎは芯をつけたまま、半分に切る
・じゃが芋は皮付きのまま、半分に切る
・ベーコン・にんじん・セロリは好みの大きさに切る(大きめ)
・ 鍋に粒マスタード以外の材料をすべて入れ中火で煮立て、アクを除き、フタをして途中から弱火でじっくり煮込む( 約1時間)。
・ 豚肉を食べやすい大きさに切り、器に盛り付け、粒マスタードを添える。
豚肉: 食味/甘 食性/平 帰経/肺・脾・胃・腎
キャベツ: 食味/甘 食性/平 帰経/肝・胃・腎
玉ねぎ: 食味/辛・甘 食性/温 帰経/肺・胃・肝
じゃが芋: 食味/甘 食性/平 帰経/胃・大腸
人参: 食味/甘 食性/平 帰経/肝・肺・胃
はと麦: 食味/甘 食性/微寒 帰経/肺・胃・脾
セロリ: 食味/甘・苦 食性/涼 帰経/肝・肺・膀胱
●食味:酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味([かんみ]塩からい味)を五つに分けたもの(五味ともいう)
●食性:熱性・温性・平性・涼性・寒性と食物の性質を五つに分類したもの(五性ともいう)
●帰経:生薬や食材が身体のどの部分に影響があるかを示したもの。ここでいう五臓は「肝・心・脾・肺・腎」の事だが、単に臓器の働きにとどまらず精神的な要素も含まれ、ひとつひとつの意味は広義にわたる。
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