【コッツウォルズへ行こう!】ストウ・オン・ザ・ウォルドStow on the Wold
コッツウォルズ地方へは、ロンドンから南西部へ電車で1時間半。
かつて羊毛業で栄えた丘陵地帯、放牧的で美しい田園風景が広がる。
今さらですが、コッツウォルズは大好きです。
実を言うと、私はイングランドの田舎に住んでいたので、美しいカントリーサイドで知られるコッツウォルズには、あまり興味がなかった。近くの村に行けば、藁ぶき屋根の家はたくさんあるし、美しい自然も満載である。
しかし!
それは、似て非なるものだった。
ちょっとしたきっかけから、何度かコッツウォルズ地方を訪れたところ、イギリス国内でもコッツウォルズ地方には、そこにしかない独特の風景が広がっていると知った。都会から離れて、コッツウォルズで暮らしたいと思う人たちが集まるのも納得である。ヴィクトリア時代に活躍したウィリアム・モリスが「イングランドで一番美しい村」を言い表したバイブリー村には、きらきらと澄んだ川とかつて羊毛業で使われていたコテージが立ち並び、この世の風景とは思えない美しさだ。私は、コッツウォルズ地方に魅了されてしまった。
バイブリーについてはこちらの記事をどうぞ!⇩
ストウ・オン・ザ・ウォルド Stow on the wold
今回の旅は、ストラットフォード・アポン・エイヴォンに行ったのだが、初日に【ストウ・オン・ザ・ウォルド】という町へ立ち寄った。
コッツウォルズ地方で一番標高の高い(240m)場所に位置する、丘の上にある小さな町には、マーケット広場がありそれを囲むようにパブ、カフェ、ホテル、雑貨店などが立ち並ぶ。
かねがね不思議な街の名前だなぁ…と思っていたのだが、
ストウ → もともと街の名前は、ストウ・セント・エドワードまたはエドワード・ストウだった。この地の井戸で隠者として暮らしていたサクソン人の宣教師の名に由来する。
オン・ザ・ウォルド → 起伏のなだらかな原野の上
という意味だそう。
なるほどである。
ここは、コッツウォルズ地方の3つの道が交差する重要な場所で、1~2世紀に古代ローマ人が作ったThe Fosse Way(エクセターからリンカーンまでの街道)もこの地を経由していた。
まず目を引くのが、町の中心にある大きなマーケット広場。かなり広いことからも、中世からマーケットタウンとして栄えたことがうかがい知れる。10年ぐらい前までは、アンティークショップが多く立ち並ぶことでも知られる観光地だったが、この町も含めて時の流れともに英国内ではアンティークショップは激減している。それでも美しい街並みは健在。多くの観光客でにぎわっている。
このマーケット広場では、羊毛産業が栄えたコッツウォルズ地方には欠かせない羊の売り買いが行われた。広場へ通じる道路が狭いのは、羊を移動させやすいように設計されたからだそう。その後も、マーケットタウンとしての役割は引き継がれ、今でも週に何度かマーケットが開催されている。
人気のベーカリー&ティールーム「HUFFKINS」
コッツウォルズにいくつか支店のある大人気のお店だ。
今回の旅では、バーフォードとストラットフォード・アポン・エイヴォンにもお店を見つけたぐらいこのあたりで有名。
こちらに来たら食べるのが、クリームティー。
少し四角い形で、ふかふかパン風のスコーン。クロテッドクリームとイチゴジャムを添えてある。
飲み物は、お茶かコーヒーから選べる。もともとパン屋さんなので、朝食メニューにあるサワーブレッドやクロワッサンなどのパンもおいしそう。
ハフキンスは、1890年にバーフォードでパン屋として始まったが、今ではコッツウォルズ地方でティールームを数店舗展開している。色鮮やかなトートバッグがトレードマーク。
可愛いカフェやティールームがいろいろ
街中にはハフキンスの他にもいろいろなティールームやカフェがある。
セント・エドワード教会
中世に建てられた教会で、広場からすぐ。ハフキンスの裏手側にひっそりと建っている。最近知ったのだが、有名な観光名所のひとつだそうで、私が行った時も入れ替わり若い人たちがやってきて、動画や写真を撮影していた。
その目的は、教会の北側にあるドア。
両側にイチイの木。
「指輪物語」「ロード・オブ・ザ・リング」の作者は、この神秘的なドアからインスピレーションを得て作品の中に反映させたという。
ドアのある部分(ポーチ)は、およそ300年前に建てられた。その時にドアの両側にイチイの苗木が植えられたのではないか?とも言われている。*¹
イギリスでは、イチイの木には特別な力が宿っていると考えられていて、古代の人は神秘的な力を感じていた。教会の庭でよく見かける。
参照*¹ https://www.stowcivicsociety.co.uk/tolkien-door
中に入ってみよう。
この教会にはノルマン人が建てた古い部分がほんの少しだけ残されている。ほどんどはそのあと、13世紀と14世紀に建てられた部分が多い。タワーは15世紀に建てられた。かなり歴史のある古い建物である。
イングランド内戦とストウ・オン・ザ・ウォルド
もうひとつ、この町の歴史の中で知られるのが、イングランド内戦時の出来事だ。町には王党派の人々を迎えたとされる宿がたくさんあるが、マーケットスクエアにある「The Kings Arms」には、1645年にチャールズ1世がネイズビーの戦い(イングランド内戦)の前に立ち寄ったといわれる。
1646年3月21日の早朝。
町から少し離れた北部で激戦(Battle of Stow on the wold)が繰り広げられ、王党派は敗退。大勢の死傷者(200名)を出した。その時に捕虜となった人たちは、セント・エドワード教会で過ごしたという。この戦いは、イングランド内戦の勝敗を決めたとされ、チャールズ1世はこの後すぐ1646年5月にサウスウェルにてスコットランド軍に降伏した。
参照
【まとめ】
小さな町なので2時間ぐらいあれば、街中をお茶、散歩して満喫できる。はちみつ色のコッツウォルズ地方独特の石でつくられた建物を見ながら探索するのが楽しい。個人営業のお店が多いので、ここでしか出会えない雑貨や食べ物にも出会える。由緒あるパブやホテルが多いのも特徴。ここから東へ車ですぐのところに「デイルズフォード・オーガニック」があります!
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コッツウォルズ地方、旅の記録はこちらもどうぞ。⇩