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【保存版 英国のティールーム】ザ・ブリッジ・ティールーム。そしてブラッドフォード・オン・エイヴォン街歩き!

ブラッドフォード・オン・エイヴォンは、バースの隣にある町。車ならバースから南下して20分の距離に位置する。

電車でバース・スパ駅から15分。

この町へ最初に来たのは、かれこれ20年ほど前。
バースに観光へ来た時に、近くにあったこの町へも立ち寄った。目的は、日本に住んでいた時に本で読んで知った

有名なティールーム「The Bridge Tea Rooms

15世紀の建物がティールームになっている。

お店を訪れた時の印象は、衝撃的で素晴らしいものだった。在英が長くなった今の私には、もう味わえないであろう感動である。物語に出てきそうな古めかしい建物の中へ入ると、ヴィクトリア朝のメイドさんを彷彿させる黒のドレスと白いエプロンをしたウェイトレスさんがいた。

カントリーサイドにある素朴なティールーム。かわいい!(2022年1月)
クリームティー。アイビー柄のティーセットで紅茶がサーブされる。(2022年1月)

イギリスの素朴な手作りのケーキが並び、歴史を感じさせる店内には木のテーブルと椅子。今まで見たことないような世界が広がっていた。


その時からブラッドフォード・オン・エイヴォンを何度か訪れた。
その都度、ティールームに立ち寄ったが、次第に町の歴史に興味を持つようになり、古い教会や建物を見て歩くようになった。

今回は、ブラッドフォード・オン・エイヴォンの街歩き。

その魅力に迫ります!



毛織物産業で栄えた街

毛織物産業で栄えた街丘の上に立ち並ぶコテージ。(2005年)

この町の魅力は、エイボン川のほとりに建てられた毛織物工場跡とそこで働いていた人々が住んでいた家々が丘に広がる風景である。

散歩するだけでも楽しい!
エイヴォン川と毛織物工場跡
ブラッドフォード・オン・エイヴォンの産業を支えた工場。
川の水力を利用して稼働していた毛織物工場


美しい街並みを歩く

車道を下っていくとエイヴォン川のほとりへたどり着く。メイン通りでこんなに狭い!


立派な建物が並ぶメイン通りを川の方に向かって歩く。2021年5月
こちらは住宅街。車一台分しか通れないぐらいの広さ。(2023年9月)

町全体が丘陵地に広がっていて、中心地へは下り坂になっている。細いくねくねとした車道(かつては馬車の道だっただろう)を下っていくと両側に美しい建物が並んでいる。そして、教会も多い。その立派な様子からも、この町がかつて羊毛産業でかなりの富を得て栄えたことがうかがえる。

坂の中腹にある繁華街には、個人商店がほとんど。こういう街並みは今では珍しい。


ザ・シャンブルズ The Shambles

シャンブルズとは、中世に精肉を扱っていた通りを意味する。

有名なのは、ヨークの町にあるシャンブルズ通りである。どちらのシャンブルズも人が歩けるだけの細い通りで、両側に建物が並ぶ。

カフェや雑貨店の並ぶ小さな通り。
趣のある古い扉。
チューダー・カード&ギフト(2024年)
2005年に来た時にはベーカリーだった。


タウン・ブリッジ

橋の一番左にある塔は、元教会。17世紀には「ロック・アップ/軽犯罪の囚人留置所」として使われた。
橋にある記念プレート。オリジナルの橋は13世紀に造られ、1769年に2倍の幅に改築された。
車の通行量が多いうえに歩道が狭いので、なかなかここでの写真は撮れない。貴重な写真!

町のふもとには、エイヴォン川が流れる。産業革命の時代には、この川の水流を活かして、羊毛工場の織機を稼働させるための蒸気を生み出した。小さなコテージにあった織物工房は、川沿いの大きな工場へと移転した。多いときには町の中に30の工場があったというが、時代の流れでイングランドの毛織物産業はヨークシャー地方へ拠点を移し、1905年にブラッドフォード・オン・エイヴォン最後の工場が閉鎖。この町の羊毛産業の幕は閉じた。現在も、工場だった立派な建物がいくつか川沿いに残されている。

橋から近い小さなショッピングアーケード。おしゃれな雑貨店やカフェがある。

さらに、歴史を遡ると、ここにはローマ人が定住していた記録がある。ローマ人は、この近くにあるメンディップ・ヒルズを占領して銀と鉛を掘り出すために採掘場を建設。バースの鉱泉は、このメンディップ・ヒルズの雨水からの地下水が水源として湧いている。そしてローマ人は、鉱泉の湧くバースの地に神が宿ると讃えて、神殿やお風呂がある巨大な保養施設を建設した。

この事からも、その近くにあったブラッドフォード・オン・エイヴォンにローマ人の居住地があったのは不思議ではない。

そして、この町に残る特に素晴らしい歴史的建造物は、サクソン人が建設したセント・ローレンス教会である。


セント・ローレンス教会 St Laurence Church

小さな教会。中にある石の装飾が美しい。

在英が長くなるにつれて、かなりの数の教会を訪れた。そして、次第にその歴史や建物に興味を持つようになった。セント・ローレンス教会は、その中でも珍しいサクソン人が建設した古い教会である。イングランド国内に残る教会の中でも、これほど古くて、美しい教会は大変貴重である。

町の中心部からエイヴォン川を渡り、反対側の少し坂になっている場所にこの教会がある。石造りの小さな教会で、中へ入ると3つのスペースに分かれている。窓は小さくて暗い室内。

この教会の向かい側には、ホリー・トリニティー教会もある。教会は、1150年頃に建てられ、時代を経て増築と改築を重ね今の姿となっている。中の装飾が美しいので、ぜひ足を運んでみて欲しい。

ホリー・トリニティー教会。


タイス・バーン Bradford-on-Avon Tithe Barn

アップルデーの開催日で、賑わっていました。

イングリッシュ・ヘリテージが管理する大きな建物で、中の見学は無料。もともとは、シャフツベリー女子修道院(ウェセックスのアルフレッド王が、娘を修道院長にして創設した)の管理する建物で、タイス/Tithe(人々が教会や政府に納める税金)を保管する場所だった。シャフツベリー修道院は、借地を利用するものに対して、タイス(収穫した作物の10%を納める)を義務付けていた。1300年代に建てられた立派な建物は、バーンと呼ばれるように農作物を保管する納屋のような作りである。

大掛かりな修復を終えて、このような美しい姿を保っている。

修道院の解散のよって、建物は農家からの農作物保管庫となる。1952年には歴史的建造物1級に認定され、1970年代に入ってからウィルトシャー州が購入した。現在は、イングリッシュ・ヘリテージが所有している。


アップルデー開催日に行けた幸運!

この日は偶然にもアップルデーだった。

タイス・バーンに立ち寄った日は、村のアップル・フェスティバルの開催日だった。(2023年9月16日)

イギリス原産のりんごを試食できる。

バーンの前にある広場で、サイダーにするためのりんごジュースを作るデモンストレーションやりんごの試食があった。

いまではとても珍しくなった果物「メドラー」の手作りジェリーをご婦人が披露していて、子供達もメドラーについて会話しながら試食。こういう地域の人で開催するイベントはとても楽しい。


ブラッドフォード・オン・エイヴォン博物館
Bradford on Avon Museum

図書館の2階にある小さな博物館で、ボランティアの方が管理運営している。ティールームからすぐなのに、町の公共駐車場の奥にあるので目立たないため、今年になるまで気が付かなかった。

ブラッドフォード・オン・エイヴォンにあった薬局を移転して展示。
1863-1986
いろいろな石鹸。

今回、初めて中に入ると、90歳に近いのではないかと思われるおじいちゃんと初老のマダムが、昔の薬局を丸ごと移転して展示してあるカウンター(受付)の奥に座っていた。私はこういう博物館が大好きである。

帰る間際、博物館の小冊子を購入する時にその二人とおしゃべりした。そしたら、おじいちゃんが、「きのうね、バースのジェーン・オースティン・フェスティバルに参加している大勢の女性たちが、ティールームに入る様子を目撃した。タイムスリップしたみたいな風景だったよ!」と、話してくれた。その時にデジカメで激写した写真まで見せてくれた。「実は、私も昨日はドレスを着て街の中を行進していたんですよ!めちゃくちゃ楽しかったです。」などの話で盛り上がり、かなりほのぼのとした時間であった。


ティールームのインスタでこんな投稿を見つけました⇩おじいちゃんが話していたのはこれ?


昔の食品の展示もあるし、町の歴史がわかる小さな博物館(無料)なので、時間があったらぜひ足を運んでみてください!

缶詰が最先端の食品だった時代。
ヴィクトリア朝の紅茶のタブレット。これを入れると紅茶風味になる?
Tea tin, by Burroughs Wellcome & Co., London, England, 1890-1914.



【まとめ】
ブラッドフォード・オン・エイヴォンは、バースからすぐの立地。観光名所とも言える有名なティールーム「The Bridge Tea Rooms」がある。ここを目指して町を訪れる人は多いだろう。それに加えて、ここには歴史的な魅力が沢山ある。エイヴォン川の流れる渓谷のふもとにある立地、サクソン人の教会や巨大な納屋(バーン)、毛織物産業の機械化によって産業革命に稼働した川沿いにある羊毛の工場跡、美しい街並みなど。他にはない美しい景観が広がっている。

美しい風景が楽しめる川沿いや丘をのんびりと探索するにはピッタリのロケーション。観光案内所にある地図を片手に散歩して欲しい、素敵なイングランドの田舎町です。

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