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【イギリス 夏の風物詩】185周年!ヘンリー・ロイヤル・レガッタへ行く

イギリスにはロイヤル・アスコット(競馬)、ウィンブルドン(テニス)、全英オープン(ゴルフ)など、年に一度のスポーツの祭典、社交行事がいくつかあります。

その中のひとつが、
ヘンリー・ロイヤル・レガッタです。



ヘンリー・ロイヤル・レガッタのはじまり

レガッタ(Regatta)とは、ボートやヨット、カヌーのレース競技の事で、ヘンリー・ロイヤル・レガッタはボートレースの大会です。

ボートは、古代より輸送や航海に使われていた重要な乗り物で、数世紀に渡り実用的な使い方をされてきました。18世紀の終わり頃に、イギリスのパブリックスクールでボート部が開設され、クラブ(学校)対抗のボート競技が盛んになります。

1829年 オックスフォードシャーのテムズ川沿いにある田舎街ヘンリー・オン・テムズで、オックスフォード大学とケンブリッジ大学のボートレースが開催されました。このイベントは、大盛況だったのですが、遠くからボートを運んでこなければならないケンブリッジ大学に不利ということで、翌年はロンドンに移され開催されました。

それから10年後の1839年。ヘンリー・オン・テムズの市長が街の活性化のために主催する町内行事として再開催されたのが、ヘンリー・レガッタです。いつの間にか、ボートレースが中心の催しとなり、アマチュアの選手が競う本格的な世界的なレースになりました。1851年には、ヴィクトリア女王の夫アルバート公がパトロンとなったことをきっかけに、ヘンリー・ロイヤル・レガッタと呼ばれるようになりました。その後も王室関係者がパトロンになっています。


ボードレースのショート動画はこちら⇩(音注意)



ヘンリー・オン・テムズの街

閑静な田舎街という雰囲気だが、ヘンリー・ロイヤル・レガッタには大勢の人が訪れる。

ヘンリー・オン・テムズは、ロンドンから電車で1時間強。オックスフォードシャーのテムズ川沿いにある街です。駅からレガッタの会場までは歩いて10分程度。車で来る場合、会場近くに設置される特設駐車場があります。

Henley Bridge

会場は、テムズ川に架かるヘンリー橋を渡るとすぐ。美しい5つのアーチのあるこの橋は、1786年に建設され重要歴史的建造物グレートⅠに指定されています。

橋を渡ると会場が見えてきました。


社交の場として賑わう会場


スチュワーズ・エンクロージャーの正面入り口。

イギリスのソーシャル・イベントは、名前の通りその場に集う人々が交流して楽しむ行事のこと。スポーツの祭典でありながら、観客は美しい服装を身にまとい、シャンパンを片手に会話を楽しむ。レースを観戦するのは、余興のような雰囲気が無きにしも非ずです。

ヘンリー・ロイヤル・レガッタは、いくつかの会場に分かれています。

チケット(バッジ)のある人だけが入場できる

スチュワーズ・エンクロージャー(メンバーとそのゲストのみ)

リガッタ・エンクロージャー(チケットが一般発売される)

ホスピタリティー・エリア(企業の招待制)、ピクニック・エリア(無料)です。


スチュワーズ・エンクロージャーの楽しみ方

会場の中で一番華やかなのが、スチュワーズ・エンクロージャー。レースの最終地点の付近で観戦できる。2022年

ドレスコードはありますが、ロイヤル・アスコットに比べるとカジュアル感があり、男性は縦縞のジャケットにストローハット、淡いピンクやベージュのズボン。様々なイベントの中でもこれだけ沢山のボート部のブレザーを見られるのは珍しい。学生だけでなく、おじさん達も所属するボートクラブのブレザー(ストライプが多い)を来ています。

女性は膝下のワンピースに帽子という装いの方が多いです。スタート地点からゴールまでテムズ川沿いを歩くのも楽しみなので、歩きやすい服装がお勧めです。

ドリンクバーのテントとテーブル席。

このエリアには、レガッタのメンバーとそのゲストだけが入場できます。ゴール地点に近い部分が会場で、入り口でチケット(バッジ)を確認されます。紙製のバッジの色は毎年変わり、開催日が印刷されています。

シャンパンとオイスターバーのエリア。

シャンパンとオイスターのバーは大人気で、飲食している方が多数。

バンドの生演奏も楽しい。
屋根のあるスタンドからの観戦も出来る。

レース観戦のためのデッキチェアと屋根付きのスタンドがあります。


リガッタ・エンクロージャーの楽しみ方

アフタヌーンティーの会場。奥の方はロングテーブル。
ブルーと白が基調の爽やかなテーブルセッティング。

リガッタ・エンクロージャーは、スチュワーズ・エンクロージャーのバッジをつけていれば、この区域も利用できます。ドレスコードはない?ようですが、男女共にスマートカジュアルな雰囲気です。食事とアフタヌーンティーを楽しめる大きなテントがあるので常に賑わっています。アフタヌーンティーはチケット制で、その日にあらかじめ購入しておく必要があります。


ピクニック・エリアの楽しみ方

チケットなしでもスタート地点から途中まではレース観戦が出来る。

ボートレースのコース沿岸には、上流のスタート地点からゴールまで遊歩道があり、川沿いを歩けます。最終地点に近くなると、チケットがある人しか入れないエリアになっています。

無料で一般公開されているのが、スタート地点から中間ぐらいにかけてあるピクニックエリアです。

ドリンクバーやフードコートがあるので、お祭り気分で楽しめます。お天気の良い日は、川沿いの芝生の上でピクニックを楽しむ人が多数。

川沿いのしば芝生の上で観戦する若者達。所属チーム(学校)のブレザーを着用。2022年。この年は珍しく途中で大雨が降りましたが、ピクニックしている人は健在。


フードコートがあるので、お祭り感覚で楽しめます。
夏らしい晴天の一日。2019年。

スチュワーズ・エンクロージャーからスタート地点の向かって歩くのが恒例の楽しみ方。

スタート地点で見守る人も多数!


テンプル・アイランドとは?

川の真ん中にある小さなテンプル・アイランド。

スタート地点の近くにある小さな孤島テンプル・アイランドに建つ美しい建物「The Temple」は、イングランドで活躍した建築家ジェームズ・ワイアットが設計したもの。1771年に、ここから少し下流にある、フリーマン家が所有していたファウリーコート(屋敷と敷地)の釣り小屋として建てられました。(ジェームズ・ワイアットは、ファウリーコートの改築とテンプルの設計の両方を依頼されていた。)

James Wyatt, anonymous aquatint
ジェームズ・ワイアットの肖像画。

ジェームズ・ワイアットは、25歳の時にファウリーコートの改築、テンプルの設計と室内装飾と家具もデザインしました。室内の装飾は、イギリス国内で現存するエトリルアル様式(Etruscan style/古代イタリアのデザイン)の最古のもの。当時の美しい壁のデザインは、長い年月の間に何度か上塗りされていたが、1900年後半の建物内部の修復の際にオリジナルの装飾が復元されました。

Fawley Court, Buckinghamshire in 1826


近代のテンプル・アイランド

19世紀になると、ファウリーコートとテンプル・アイランドの所有者は、フリーマン家からマッケンジー家へ変わり、それを機にテンプルには水面の上昇に対応できるような建物の基礎部分を底上げを含めた大きな改築が施されました。

1987年、ヘンリー・ロイヤル・レガッタの委員会は、そのメンバーでもあったアラン・バロウ夫妻からの寄付金(£515,000)により、ミス・マッケンジーよりテンプル・アイランドとテンプルのリース権(999年)を購入します。

リガッタの間は貸し切り。利用者のドレスコードはスチュワーズ・エンクロージャーと同じ。

現在は、ヘンリー・ロイヤル・レガッタの委員会とトラストより管理運営され、ヘンリー・ロイヤル・レガッタ会期中は、個人や企業の招待客が利用。それ以外で4月から10月の間は、結婚披露宴やパーティーなどに貸し出されています。


参考資料:


テンプル・アイランドの先(右側)にスタート地点がある。こんな感じにあちこちでピクニックしている。


会場の両側に設置された大きなマーキーは、ホスピタリティー・エリア。
お天気の良い日にテムズ川沿いを歩くのは最高!


記念品を探しにショップへ行く

帰る前に立ち寄りたいのが、記念品のショップ。
最も買いやすくて、使いやすいと思うのが、バッグ。エコバックや布バックなら、普段使いにぴったりです。

エマ・ブリッジウォーターがデザインのマグとティータオル。
テンプル・アイラインドのイラスト

最近は、マグカップや洋服、傘、キーホルダーなども充実してます。今年はリガッタ185周年を記念してエマ・ブリッジウォーターが目玉商品です!


デッキチェアのデザイン。


ブルーと白のストライプ。持ち手も可愛い。

という感じ。毎年デザインが変わります。


一日を終えて。

イギリスの春から夏は日が長いので、夜の8時~9時くらいまで明るい。レースの決勝戦が行われる日曜日には、遅くまで観戦する人がいるようですが、そうでない日は夕方の6時ぐらいに帰る人が多いです。車で来る場合、5時を過ぎると駐車場から国道に出るだけでもかなりの渋滞になるので、早めに帰る人が多いのかもしれません。

夕方6時ぐらいになると帰り支度を始める人も多い。
ゴール地点から下流は、ボート部の人達がいるエリア。
帰り際にヘンリー橋から撮影。楽しい一日でした。


【まとめ】

ヘンリー・ロイヤル・レガッタは、イギリスの社交行事でスポーツの祭典。もともとは、ボートレースを観戦しながら、中流~上流階級の人達が社交の場として集いました。現在のイギリスでは階級社会が残っているにせよ、チケットを購入すればあらゆるソーシャル・イベントに参加できるのが現状です。ただ、その中で特別枠というのは今も存在していて、ヘンリー・ロイヤル・レガッタでは、メンバーとその紹介でしかシュチュワーズ・エンクロージャーに入れません。

ボートレース自体は、スタート地点から途中までは無料で観戦できます。フードコートも充実しているので、一日野外イベントとして気軽に参加することも可能。普段は見ることのない、ボート部やクラブのローイング・ブレザー(Rowing Blazer)とストローハットを着た男性たちを見るのも楽しい。

ローイング・ブレザーの発祥には諸説ありますが、ケンブリッジ大学、セント・ジョン・カレッジのレイディー・マーガレット・ボート部(1825年創立)が、選手のために赤いフランネルのブレザーを作ったのがはじまり。早朝や寒い時期にボートの練習をするのに体が冷えないような厚手のフランネルで動きやすいジャケットでした。レガッタでは、その鮮やかな色からどのボートクラブか一目で分ったでしょう。もう一つのお話は、1800年初頭に「戦艦HMSブレザー」の乗組員の制服にブルーと白のストライプのブレザーを作ったという話が有名で、洋服のブレザー/Blazer(英語ではブレイザーと発音)という言葉の由来はここからきていると考えられています。

ストローハットは、パブリックスクールには欠かせないアイテム。例えば、かつてウィンチェスターカレッジでは、学年ごとにストローハットのリボンの色が決まってて、構内にいるときはそれを身に着けていたそうです。ストライプのブレザーも同様で、普段はなかなか見ないデザインです。

お気に入りのドレスと帽子を身に着けて参加するレガッタは、とっても楽しい特別な一日。気軽に参加したければ、カジュアルな服装でピクニックしても良い。テムズ川沿いを散歩しながら、ボートレースを観戦するイギリス夏の風物詩。


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参考資料


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