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人生とは残酷な対比なのか?

大好きな音楽に打ち込むほど、その才能を妬まれ嫌われてきた少年。

大好きな写真にのめりこみ、そこも含めて好かれている少年。

才能があり、優しい両親のもと裕福な環境で育った少年。

才能に敗れ、親にはいつも責められる、居場所のない少年。


世界には78億人もの人間がいて、78億通りの人生がある。

人間は、人生は、全てが残酷な対比ともいえるだろう。

裕福な家庭に生まれる人、美しい母親から生まれる人、飢餓や戦争の真っ只中に生まれる人。
それらが全て運命だとすれば、神様ってやつはとんでもなく理不尽で残酷だ。

『輪るピングドラム』第1話より

思春期は、この対比がもっとも残酷な色として目に映る時期である。
いくら努力しても勝てない相手、努力なんて何の意味もなさないような相手。
もしくは、勉強も運動も容姿も、全て勝っているのに、なぜか勝てない。
そんな相手もいるだろう。

ナンバーワンにもオンリーワンなれない。

自意識をこじらせ、胸のうちにくすぶる劣等感は、次第に自分では制御できないほど膨らんでくる。
綺麗にかぶっていた外ズラが内側から破られ、悪意に故意に攻撃性をコーティングして相手にぶつけ、傷つけようとしてしまう。

それでもどうしようもなく身体の内側で膨らみ続ける劣等感や嫉妬心は、
人間として未成熟な思春期の少年少女にとっては酷い重荷になり、
まっすぐに立ち続けることは難しい。

『被写界深度』は、そんな思春期の葛藤や衝突を描いたセンセーショナルなBL漫画である。

高校2年生。
なんとなく帰りたくない放課後、誰もいない屋上で出会った男は、
自分が欲しくて仕方なかったものを、当たり前のように持っている男だった。

好きなものを臆面もなく好きと言える、
自分に対しても他人に対しても、真っすぐなところが

羨ましくて、時々すごくイライラする。

でも同時に、そんな彼に惹かれていく自分もいて.…。

純粋に、ただ好きになれたらいいのに、羨んで嫉妬して劣等感をいだいてしまう。
自分の中でぐちゃぐちゃに混ざった、爆発しそうな感情を、
外に吐き出す方法がわからない。
だからぶつかってしまう。

こんな自分だから、臆病になって気持ちも真っすぐ伝えられない。
ずっと隣にいることもできない。

離れる道しか選べない。

そんな、苦しくて切なくて、でもどうしようもない恋の始まりと終わり。

そして空白の期間を経て、再会した2人の関係はどうなるのか。

人生で一番瑞々しい時間に恋をした2人の珠玉のラブストーリーは、
爽やかで甘酸っぱく、それでいて力強く前向きな気持ちになれます。

きっと誰しも、人生の中で心から笑えない、苦しい時期があると思う。

それでも、また前を向いて、誰かとの対比じゃない、自分だけの人生を笑顔で進んでいこう。
そう思わせてくれる力を持った作品です。

夢をもち、自分に正直に生きると決めた若者2人の眩しい姿は、
明るく光り輝く未来を見せてくれます。

そして、読んでいる私たちまでも、明るい未来を切り開いていきたくなります。




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