【本編21】伝説のオフサイトミーティング
副社長と女性社員との懇親会の成功で勇気を得た私は、次のイベントを仕掛けました。
当時の私はシステム開発の現場にいて、外部組織からの連絡窓口を担う立場にいました。本社の経営企画部やら人事部やら品質保証部やら、あるいは事業本部の企画部やら、各種施策を現場に展開している部署から降ってくる指示文書の類を、要件に応じて課長等に振り分ける役割を担っていたのです。
日常業務で忙しい課長たちにとっては、本社からの宿題は基本的に迷惑な存在であり、一方で本社は(当たり前ですけど)期限が迫ってくるとやいのやいのと督促してきます。また、似たような施策が様々な組織から飛んできて、本社組織の縦割り感に「どちらかに統一して欲しいのだがなぁ」とぶつぶつ言いながら、日々の仕事に勤しんでいました。
つまり、本社と現場の課長との板挟みになっていたため、ストレスが溜まる日々を送っていたのです。
そこで私は、現場の不満を”お上”に届けることを目的に、本社や事業本部の「○○推進部長」という立場の人々を集め、現場代表として我がメルマガ編集委員たちにも声を掛け、”オフサイトミーティング”を開催することにしたのです。それぞれ8名ずつ。そして、Y副社長にもご参加いただき、どちらの主張により賛同できるか、ジャッジしていただくことにしました。
ちょうど同じ担当の女性社員が、ファシリテーション研修を受講してきていたため、彼女にファシリテーターをお願いすることにしました。
「ファシリテーターはやりますけど、主催者はMoMo SEさんなんだから、最初の挨拶はちゃんとしてくださいね」
今でこそ、ワークショップのファシリテーターを日常的に行っている私ですが、開発現場でSEをやっていた当時の私にとって、それはそれは緊張する現場となりました。しかも本社のオエライさんが多数いるわけですから。
噛み噛みになりながらの冒頭のご挨拶。今思い出しても冷や汗が出ます。
結論を言うと、本社の主張も我々現場の主張も大差はなく、立場は違ってもどちらも会社を良くしたいと考えているということをお互いに感じ取ることができました。そして、このように腹を割って話す機会の重要性について皆さんが認識されたのでした。
オフサイトミーティングのあとの懇親会は和やかなものとなりました。そして後々まで、このオフサイトミーティングのことを、Y副社長は何かに付けてお話しくださっていました。
「昔、面白い体験をしましてね」
開発現場の一社員である私が仕掛けた大胆なオフサイトミーティングが成功を収めることができたので、勝手に「伝説のオフサイトミーティング」と呼んでいます(言ったもの勝ちです)。
そもそもは、仲間を集めるのが苦手だから、人前で話すのが苦手だから、という消極的な理由でメルマガを始めた私でしたが、徐々に大胆なイベントを仕掛けられるようになっていったのです。