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【本編22】U理論との出会い

 本編19の「メルマガ挨拶騒動」に登場したOさんから、こんなお誘いがありました。


「MoMo SEさんに是非ご紹介したい人がいます。このようなメルマガを発行しているMoMo SEさんにはきっとお役に立てるはず。彼の主催しているワークショップに今度私と一緒に参加しませんか」


 メルマガを始めた当時の私は、日々ネタ探しに勤しんでおりました。情報に飢え、人脈の拡大に燃え、好奇心に満ち溢れていました。だから、喜んでそのワークショップに参加することにしました。

 そのワークショップを主催していたのは、後に『U理論』で有名になるNさんでした。Nさん本人もそうですが、このコミュニティのメンバーと出会ったことが、その後の私の「組織開発」人生に大きな影響を及ぼすことになりました。

 その一人がTさん。気難しい人でしたが、初めて会った時からなぜか彼女とはウマが合いました。そして、私のメルマガのことを知ると、彼女の豊富な人脈の中から、メルマガのインタビュー対象として相応しい人を何人も紹介してくれました。

 Nさんのワークショップは月に一度行われていましたが、それとは別に「クオンタム・チェンジ」と呼ばれる二泊三日のワークショップを開催していることを後に知ることになります。実はそのコミュニティの参加者たちは皆、クオンタム・チェンジの卒業生だったのです。クオンタム・チェンジに参加することで皆さんの人生は大きく変わったという話を聞いて、私も強く興味を持ちました。

 そんな折、本社の経営企画部の方から、経営企画部に異動して「一緒に組織開発をやらないか」という誘いが再三来るようになっていました。メルマガを発行することにより、組織開発系の人脈を広げつつあった私は、経営企画部にとって望ましい人材と映っていたようでした。

 ただし、人脈は広がってはいましたが、私自身が何か組織開発に関するスキルを身につけていたわけではなかったので、それよりもむしろ、20年近くにわたって積み上げてきたSEとしてのキャリアをここで捨てることの方が勿体無いと思っていました。

 とはいうものの、組織開発の仕事にも大いに魅力を感じていたことも事実でした。しかし、そのためには人脈だけではなく何か力が欲しい、組織開発の分野で何か一つでも秀でたものが欲しい、そう強く思っていたのでした。

 だから、ひょっとしたらクオンタム・チェンジに参加することで、私にとっての「翼」が得られるのではないかと思っていたのです。

 意を決し、家内を説得し、1月の三連休に山中湖で行われるその合宿(クオンタム・チェンジ)に参加することにしました。Nさんやスタッフを除き、参加者は18名でした。

 そのワークショップは、マサチューセッツ工科大学 スローン校 経営学部上級講師であるC・オットー・シャーマー博士によって生み出された『U理論』をベースにプログラムが作られており、自分のメンタルモデル(強い思い込み)を見つけ、それを手放すことにより、未来に向けての無限の可能性を手に入れるといったものでした。

 基本的なプログラムはありましたが、参加者の様子を見ながらNさんから縦横無人に繰り出される大技小技のワーク類に圧倒されていました。そして参加者は、一人、また一人とメンタルモデルを手放していったのです。

 他の参加者とは違って2日間は何も得られなかった私でしたが、3日目の朝、ようやく私も、感動とともに自分のメンタルモデルを一つ手放していました。

 3日間のワークショップが終わって日常生活に戻った時、私は不思議な感覚に包まれていました。人は「ありのまま」の姿こそが美しくて尊い、という感覚を強く抱いていたのです。だから、たとえばその頃、常に高圧的な態度だったために苦手にしていた社員に対しても、嫌悪感もなくあるがままに受け入れることができるようになっていました。

 この時に得た「恐れることはない。人は根本的に変わることができる」という感覚は、その後「組織開発」の世界に向かうことになる私にとって、強力な翼となったのです。

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