ここが変です日本の糖尿病治療:その6「インスリン抵抗性で肥満という矛盾:一般的な慢性疾患としての糖尿病にインスリン抵抗性など無い」

「インスリン抵抗性」という言葉で糖尿病が説明されています。これは本当でしょうか?インスリンの皮下脂肪に対する作用は「ブドウ糖→脂肪に変換し脂肪細胞に蓄積する」です。肥満になるためには「インスリンが作用」しなくてはなりません。本当に「効きが悪い」のでしょうか?インスリンが絶対的に不足している「自己抗体陽性」の発症時はほとんど「体重減少」があります。またインスリンの受容体(インスリンが作用するのに必要なもの)に遺伝的異常があり高血糖でインスリンの血中濃度は高いが本当に作用しにくい(抵抗性のある)病気の人は「ガリガリに痩せています。」インスリン抵抗性があるのに肥満の説明をするにはさらに矛盾した理論を持ち出さないといけませんがいつまで経っても矛盾は解消できません。

動物実験ですが「グルカゴン」という血糖値を上昇させるホルモンが「効かないマウス(ハツカネズミ)」では「インスリンが全く存在しなくでも高血糖になりません。」つまり、「高血糖」になるには「インスリン不足」より「グルカゴンが高い」方が基本になるという事です。勿論現在も自己抗体があるタイプの糖尿病患者さんは「インスリン治療」が変わらず必要です。(普通の人体ではグルカゴンが効かない様にはならないからです)残念ながら「グルカゴン」は正確に測定するのが非常に難しくて、現在測定しているものはほとんど当てになりません。現在は群馬大学のある教室でしか測定できません。

ここで例を挙げて説明します。わかりやすい様にグルカゴン1で血糖値が1上昇し、インスリン1で血糖値が1低下するとします。

非肥満正常人をグルカゴン100 インスリン100で血糖値を100とします。

肥満糖尿病の人をグルカゴン300 インスリン200とすると血糖値は200になります。(グルカゴンが+100なのでベースの100+100です)

ここで糖尿病の人の血糖値を100にするためにはさらに100インスリン(−100の作用が必要)が必要で、全体では300必要になります。

インスリン抵抗性と言っているのは「正常な人が血糖100になるのにインスリンは100必要だが、糖尿病の人の血糖値を100にするにはインスリンが300必要になるから、インスリン1つの働きは正常の人の1/3になる」という理論です。この理論には「血糖値」と「インスリン」の2つしか出てきません。動物実験から「高血糖」には必ず「グルカゴン上昇」が必要になりますが、その話は一切出さず「インスリン」の働きを説明しようとしています。しかし、インスリンが1/3しか働かなければ正常な人と「同じ量の皮下脂肪になる」はずです(インスリン300あっても1/3の作用なら100しか作用しないことになり体型は非肥満になります)。しかし、肥満であるためには「インスリン」は作用してると考える方が一般的です。これは矛盾ですね。しかし、グルカゴンを加えて考えれば矛盾点がなくなります。「インスリンは多く存在し作用もきちんとしているが、血糖上昇作用のグルカゴンがさらに過剰にあるため血糖値も高いし肥満にもなる」という事です。直感的に(+)と(ー)で説明すれば良いものを(ー)だけで説明しようしている事が既に間違いでしょう。「インスリン抵抗性」などわざわざ矛盾を生じる理論で話をするのはもうやめて欲しいと思います。病態の基本を間違えば治療法も間違います。

感染時や腫瘍存在時やステロイド治療、高カロリー輸液など、一般的な慢性疾患としての糖尿病の状態と違う場合は、もう少し複雑になりますがここでは割愛させて頂きます。

これは「医師」に対しての啓蒙が必要であるということです。もしこの記事を読まれた方が患者さんで主治医との関係が良い人はこの記事を読んでもらっても構いません。納得がいかない医師がいれば同サイト内(私流「糖尿病学」:有料ですが)を主治医の先生が自分で購読して頂ければ納得してくれるかも知れません。低血糖を生じない様に心がけるのは「医師」の「意識改革」にかかっているのです。くれぐれもHbA1cが高いからといって、「過剰な薬」で低血糖にならない様に気をつけて治療を継続して下さい。特に肥満のある高血糖の患者さんでインスリン治療後「さらに体重増加」された方は主治医の先生にこのコラムを読んでもらいましょう。

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