ここが変です日本の糖尿病治療:その5「欧米のガイドラインは患者さんの状態に合わせてどの薬で治療するかを推奨しています」

日本のガイドラインは、ほとんどHbA1cの「数字」しか目に入りません。欧米のガイドラインは違います。

例えば動脈硬化性心血管疾患がある患者さんにはGLP1製剤をまず推奨しています。優先順位が下がって基礎インスリンとありますが、低容量での使用を推奨しています。当然アコードスタディなどから低血糖から死亡させないためです。量の推奨までしています。他にも心不全や腎不全の場合など細かく分かれています。全部で30ページに及ぶ細かいものです。ランセットで糖尿病が「500」ぐらいに分類できる可能性があることから、状態の場合わけを細かくするのは当然です。

日本のガイドラインは1ページで主に「数字」のみです。稚拙すぎるにも程があります。単に患者さん用と割り切って使うのは良いですが、専門医同士の会話でこのガイドラインを中心にお話しされる先生もまだまだいます。しかも誰もガイドラインを変えた方が良いとは言わないのにも驚きます。日本のこのガイドラインが大きな顔をしているうちは前述通り、日本の糖尿病患者さんの「低血糖死」「低血糖による弊害」は減らないでしょう。

誤解のない様に書きますがこれは「だから甘いものを食べても良い」と言っている訳ではなく、「だからいい加減に治療しても良い」と言っている訳ではありません。「治療はきちんと行うが、使う薬の量が多すぎてはいけない」ということです。これはほとんど「医師」に対しての啓蒙が必要であるということです。もしこの記事を読まれた方が患者さんで主治医との関係が良い人はこの記事を読んでもらっても構いません。納得がいかない医師がいれば同サイト内(私流「糖尿病学」:有料ですが)を主治医の先生が自分で購読して頂ければ納得してくれるかも知れません。低血糖を生じない様に心がけるのは「医師」の「意識改革」にかかっているのです。くれぐれもHbA1cが高いからといって、「過剰な薬」で低血糖にならない様に気をつけて治療を継続して下さい。さらに、「私の状態ならどの薬で治療するのが良いのでしょうか?」と主治医に尋ねてみるのも良いでしょう。状態にもよりますが、心筋梗塞をしていて体重が多いのに多い量のインスリンを中心にした治療の医師にはこのコラムをぜひみてもらいましょう。

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