敬愛する桐島洋子先生へ
桐島洋子先生、いつもいつも長く長く私は叱咤激励して下さりありがとうございます。読者の一人として心よりの感謝を。
最後の著書『ペガサスの記憶』
今年夏に発刊された『ペガサスの記憶』
こちらが最後の著書になるなんて、ショックと切なさで私の心にはしばらくの間言葉通りポッカリと穴が空いてしまった。人知れず、ご飯も作る気が起きず、寝ても冷めても上の空で過ごしていた。
学生の頃より愛読し、育児中にどんな育児書よりも私を励ましてくれた先生。
もう先生のお言葉が聞けなくなるなんて。
勿論、徹子の部屋も見た。カレンさんとローランドさんがご出演された回だ。
見ていて、「ああ、現実なんだ」と一層に悲しさが込み上げた。
洋子先生が主催されていた「森羅塾」なんて夢のような話で。
知識・審美眼・生活力・経験・恋愛…こんなにも豊かな日本人女性が今後現れるのだろうか。女、常識からの解放、世界への開眼…色々な扉を開いて下さった。
『聡明な女は料理が上手い』
結婚後、専業主婦にのうのうと生きていた私。
手本や憧れといった主婦としての自分を奮い立たせてくれる存在がこの本であった。やっぱり、人間上への上昇気流に乗っている時が生き生きして楽しいから。ていたらくに暮らしていた私には協力なカンフル剤となってくれた。
料理本をいくつも買っては、サッと目を通して何故かお蔵入りしてしまう状況が続いていた。この本はレシピこそ詳しくないが、言葉だけで腹の虫をくすぐる。食欲がムクムク湧いて、腕まくりをしたくなる本なのだ。
しかしながら、この本の一番のお薦めポイントはキッチンを「Everything is under my control」としようという点なのだ。整理収納とか断捨離はどうしても、メンタル的な要素も強い感じがするが、ここは洋子先生。軍隊的な厳しさで自分の陣地(キッチン)を管理しようという勢いなのだ。
こうして私のキッチンからはプラスチック製のトゲトゲしい色味のものは撤退し、ステンレス製のいかにも逞しい精鋭たちが整列することとなった。
『マザーグースと3匹の子豚』
長女を出産のため入院中のお供がこの本であった。
知育、英語教育、モンテッソーリ、STEAM教育…とにかくいろんなものに手を出し、足を出し迷路に迷い込んでいた。私は子育ての指針を失い遭難していた。
正直、もうそんなものたちには嫌気がさしていた。
もっと楽しく私の子供らしく育てちゃいたい…という本音が出てきていた。
そんな時に、この本を読んで吹っ切れることができた。
母親の価値観と子供の価値観は親子だからある程度一緒でいようよ、自分のいいと思ったものは母親だって主張して強引さもアリなんじゃないかって。子供が何を考えているのか分からない、母が何を考えているのか分からないが一番寂しい。
子供の一人の個人であるから尊重をしよう、個性を潰さないようにっていうのが私にとってはしんどかった。子供を割物みたいに大切に大切にギュッとしすぎないように育てるのに疲れていた。
息子や娘の個性があることはわかっている、だけど母にも個性がある。
母だって個性を全面に押し出し自分の意見を主張する、あなたたちも私に自分の意見を主張して沢山喧嘩もしよう、と思った。大好きな時はギュウギュウに抱きしめて、もうやめてくれと言われたっていいじゃないか。
大人になった時に子供達が「母さんらしいね、困ったもんだよ」と苦笑いしながらも、お互いを理解していたい。
桐島洋子先生へ
洋子先生、先生の生き様が私に勇気をくれました。
これからもあなたの本を何度も手に取りあなたに会いに行きます。