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そのままで大丈夫㉜

※注)これは、2020年から私の身の上に起こったことを
思い出しながら、それを乗り越えるまでの体験を
書き綴っているお話です。
先の事はわかりませんが、今現在はたくさんの出来事を超えて
新たな課題と共に元気に生きています。

※注)以下の内容は、私個人が聞いたり、興味を持ち、体験して感じた事をそのまま書き綴っています。個々の選択や考え方、各分野での専門家や医師の見解はそれぞれ違うと思います。癌治療はセンシティブな問題ですが、正解はないのです。自分の体験が誰かの何かヒントになれば幸いです。どうぞ、その事をご理解の上、読み進めていただければと思います。

(2021年6月)

10日間の断食が始まって、初日から施設のプログラムに参加して、散歩して、施術を受け、お風呂に数回入るというのが日課にだった。
今思えばかなり贅沢なコースだ。

決まった曜日に、伊豆の名所を案内してくれるツアーもあったけど、この時は、完全に一人でいたかったので、ジュースも部屋で飲み、時間があれば散歩に出かけていた。

治療の選択もそうだけど、自分の心に一番引っかかって苦しい気持ちになっていたのは、子供との別れを想像することだった。
いつか子供は巣立つから、離れていくのは自然な事。
でも、生きてて離れるのと、死ぬのとではやはり感覚が全く違う。

自分は死んでしまえば、後はわからないかもしれない。だからきっと一番辛いのは、死ぬ前なんだろうけど、残された家族には記憶が残り、生きていく時間が残る。大切な人を亡くした時の気持ちは、何回かは経験してきた。でも、子供はやはり別格だ。想像するだけで、身が引きちぎれそうな気分になってしまう。子離れは出来そうにない母に仕上がってしまった私と、優しく私を無条件に愛してくれる子供達。そんな関係をどうやって断ち切ると言うのだ…。そんな思いが永遠に続くかのように、悲しみが頭をぐるぐる回っては1人で泣いていた。

それからもう一つ。自分を今日まで愛して労わって来れなかった事。

そんな感傷に浸っている私を伊豆の自然は、優しく見守ってくれているようで、散歩道の大きな桜の並木達は、ユラユラそよそよと気持ちよさそうに風に揺られて音を立てて私を癒してくれた。

何にも勝る1人セラピーの始まりだった。
涙がぼろぼろ溢れて、汗と涙でぐちゃぐちゃになりながらひたすら歩いた。

毎日の散歩道


梅雨のしっとりした空気と、日によっては爽やかな晴天の日もあって、どんな日も美しい色と音で語りかけてくれているようだった。 大丈夫。大丈夫。
頑張ったね。悲しみや苦しみは全部受け止めるから、手放して解放していいんだよと。
キラキラと木漏れ日が私を照らして、微笑みながら導いてくれていた

たまに地元の人がお散歩に出ていて、1人で木を眺めてる私に、なんの違和感もなく話しかけてくれたのも、心が温まって印象的だった。

そして、この時期によく聞いていた曲がまた涙を誘う。昔は何も考えず、音楽を聴いていたけど、年をとるに連れて歌詞を重視して聴くようになった。

文字を読んだり書いたり、言葉を拾うのは大の苦手だったのに、今では好きになっているのがとても不思議だ。

そしてもう一つの自分史上最も驚きの変化。よく聴いていたのは、長男が小学生の頃教えてくれたBTSの歌。
教えてくれただけで、長男はそんなに聴かない(笑)
まさかこの年になって、アイドルの歌に癒されるとは思っていなかったけど、私がハマってしまった。

いくつかの心に響いた歌詞を紹介したいと思う。

この曲は、全部の歌詞が素晴らしいけど、特に以下の部分が自分に当てはまり過ぎて号泣してしまう。


『多分"誰かを愛すること"よりも
もっと難しいのは自分を愛することかもしれない』

『君のものさしは自分に一層厳しいってこと』

『君の人生の中の太い年輪
それもまた君の一部であり"君自身"だから』

『もう僕自身を受け入れよう』


『迷路の中では自分を信じて』

『みすぼらしい僕を隠そうと
ひどくあがいたけど』

『You've shown me I have reasons I should love myself』

『僕の呼吸 僕の歩いてきた道 全てで答えるよ』

『昨日の僕 今日の僕 明日の僕』

『一つ残さず、余すところなく全てが僕なんだ』

『ただ自分を愛することさえ
誰かの許しが必要だったんだ』

『Love yourself』まさに、今までの人生での重くのしかかっていたテーマだった。

そして、この2曲は、恋人向けの曲かもしれないけど、私は子供達を思い浮かべて聴いていた。


『これが散りゆく運命ならば My last letter綴る言葉、書いては消してる
君への想いは So many to let go
Unpuzzle my lego』

『今、君の手を離せるように
I gotta let you know that I need to let you go
Hard to say goodbye
でも逃げない
I’m ready to let go』

『二人で見た空の色
二人がいた道の香り
忘れないでいて』

ここのところは、保育園にせっせと通ったり、お散歩した日々を思い出して号泣。


『君がくれたもの 生きてく勇気』

『思ったより 世界は早くて
How we gonna change it?
We don't know yet
でもきっと…』

『小さな笑顔が なぜか苦しい
How can I be closer uh…
この想いは何故 答えが出ない』


『君を守りたくて 涙に変わる前に もう一度願う程に 届かない 』

『君を抱き締めたい 消えてしまう前に もう一度
叶えるため 舞い上がる Crystal
ねぇ言葉足りないけど ありのままでも伝えるから
Can I touch your heart?
信じて欲しい 迎えに行くよ
Someday… Someday…』

こちらも号泣(笑)

そしてさらに、次のこの曲。
かなり励まされた。
この歌詞の中の君は、見えない存在。もう1人の私なのか子供達なのか、そんな事を感じながら、この時期の自分の感覚とシンクロしていた。

『喧騒の中で時が止まる
君と音で繋がる』

『目を閉じてみれば
暗闇の中でyour light
照らしてくれるから
恐れず歩めるyou & I
You're my light you're my light
いつだって僕の心に差し込む』

『明るいだけの曲は聴きたくはない
孤独と向き合い今を彩りたい
何かを失い何かを得て今日も何か求めてる
そう変わること信じてるんだ
誰だって完璧じゃない
この瞬間さえも意味がある
そして音で繋がる』

『I'm breaking down
そんな中光が見える 
どんな辛い夜さえも朝は来る
乗り越えるんだ未来さえも
もう止まらないよ
幸せの価値なんて自分で決めてしまえばいいんじゃない
そしてまた今日もgrow up』

ここで号泣。そう…自分で決めてしまえばいいじゃない。

そんな感じで、伊豆に来てからは、何かにつけて前半は泣いていた。後半は気分もスッキリしていて、穏やかで安心や至福を感じながら、とにかく毎日、自然と共にを歩き続けた。

そうこうしてたら、数日後に3人で遊びに来てるよ!とメッセージが来て、あちらも日帰りの旅に出てると写真が送られて来た。

安心してこちらは大丈夫。何も考えずに何も心配せずに、ママもそちらの時間楽しんでねと。

なんか、3人になってもこのトリオは大丈夫だわ。心が弾む❤️嬉しかった。

私がいないと逆に早起きをして、早朝からあれこれ報告の電話をかけて来てくれる。何気に協力しながら、休日も楽しくやってる。
過剰な心配、もっと信頼しよう。

そんな気持ちにさせてくれるこのトリオが最高に大好きだ。

そして私はこう考えた。
そもそも死ぬなんて誰が決めたんだ。
変えていけるかもしれないと。
いや、変えていくんだと。

…続く

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