【観音霊験記 秩父巡礼】第十七番定林寺持丹生氏/壬生良門の臣林太郎定元 3 mominaina 2024年10月4日 12:09 出典:国立国会図書館デジタルコレクション『観音霊験記 秩父巡礼十七番定林寺持丹生氏 壬生良門の臣林太郎定元』観音霊験記 秩父順禮ちゝぶじゆんれい 十七番 定ぢやう林寺 持丹生もちにう氏 あらましを 思ひ定めし 林寺 鐘かねきゝあへず 夢ゆめぞさめける奉額 たのしみは 宵よひにもあるや 花の夢壬生良門みぶのよしかどの臣しん 林太郎はやしたらう定元さだもと東國とうごく 無双むさうの勇士ゆうし 壬生良門みぶのよしかどの忠臣ちうしん 定元さだもとは、主しゆの剛悪がうあくを諫いさめて、家財かざいを没収もつしゆせられ、當所たうしよに知音ちいんあれば遥々はる/\爰こゝに来きたりしところ、其その者ものははや失うせぬと聞きゝて、當惑たうわくこのうへなく、余儀よぎなくその邉ほちりの家いへにたどりて、勞つかれを休やすらひけるうち、妻つまは長途ちやうどの労つかれに身みの行さきをあんじてや、終つひに身みまかり、定元さだもとかなしみにたへずやありけん。※ 「知音ちいん」は、互いによく心を知り合った友のこと。※ 「身みまかり」は、身罷みまかり。死ぬこと。三み日へだちて、共に草葉の露つゆと消きへて、跡に三歳みつの子こを遺のこしけるが、空照くうしやうといふ沙門しやもん それを深くあはれみて、養やしなひ育そだてよき武士ぶしに仕つかへさせんことを観音くわんおんに祈いのりければ、ふしぎとある日、良門よしかどの■かり [■は犭+寽] に出いでたるに出合であい、これはしか/\なる者の子といへば、良門よしかど 嘆息たんそくして「吾われ 忠臣ちうしんの定さだ元を失うしなふことを後に悔くやみぬ。今より彼を林源太良元と名付なづけて、旧領きうれうを授さづけ、父の功こうを賞しやうすなり」と命じ、両人りやうにんを舘やかたに連つれて厚あつくもてなし、自みづから法華経ほけきやうを書写しよしやして、定元さだもと夫婦ふうふの菩提ぼだいの為、その塚つかの傍かたはらに一宇を建たてて、定元の姓名せいめいをかたどりて、則すなはち 定林寺ぢやうりんじとす。其後そのゝち、観音くわんおんを安置あんちして順禮じゆんれいの灵地れいちとはなれり。※ 「沙門しやもん」は、僧となって仏法を修める人のこと。※ 「■かり [■は犭+寽]」は、狩かり。※ 「灵地れいち」は、霊地。筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖 ダウンロード copy #古文 #古文書 #法華経 #観音菩薩 #秩父札所 #観音霊験記 #観音霊験記秩父巡礼 #定林寺 #持丹生氏 #壬生良門 #林太郎定元 #林源太良元 3