![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/155995907/rectangle_large_type_2_e687493bd4beb736b235ea3bf24739e4.jpeg?width=1200)
【観音霊験記 秩父巡礼】第十七番定林寺持丹生氏/壬生良門の臣林太郎定元
![](https://assets.st-note.com/img/1727522755-9vJb4TMeD6LHFNypG8AKusOr.jpg?width=1200)
『観音霊験記 秩父巡礼十七番定林寺持丹生氏 壬生良門の臣林太郎定元』
![](https://assets.st-note.com/img/1727522755-xUVXK8TmBw1OCeFPq9hlrE5G.jpg?width=1200)
観音霊験記 秩父順禮 十七番 定林寺 持丹生氏
あらましを 思ひ定めし 林寺
鐘きゝあへず 夢ぞさめける
奉額
たのしみは 宵にもあるや 花の夢
![](https://assets.st-note.com/img/1727522755-eWlmZ4zEkwJF69Hc1pgUGLRn.jpg?width=1200)
壬生良門の臣 林太郎定元
東國 無双の勇士 壬生良門の忠臣 定元は、主の剛悪を諫めて、家財を没収せられ、當所に知音あれば遥々爰に来りしところ、其者ははや失ぬと聞て、當惑このうへなく、余儀なくその邉の家にたどりて、勞れを休らひけるうち、妻は長途の労れに身の行さきをあんじてや、終に身まかり、定元かなしみにたへずやありけん。
※ 「知音」は、互いによく心を知り合った友のこと。
※ 「身まかり」は、身罷り。死ぬこと。
![](https://assets.st-note.com/img/1727522755-rL6iaYMPAvBsR5KnIgqE0oWX.jpg?width=1200)
三日へだちて、共に草葉の露と消て、跡に三歳の子を遺しけるが、空照といふ沙門 それを深くあはれみて、養ひ育てよき武士に仕へさせんことを観音に祈りければ、ふしぎとある日、良門の■ [■は犭+寽] に出たるに出合、これはしか/\なる者の子といへば、良門 嘆息して「吾 忠臣の定元を失ふことを後に悔みぬ。今より彼を林源太良元と名付て、旧領を授け、父の功を賞すなり」と命じ、両人を舘に連て厚くもてなし、自ら法華経を書写して、定元夫婦の菩提の為、その塚の傍に一宇を建て、定元の姓名をかたどりて、則 定林寺とす。其後、観音を安置して順禮の灵地とはなれり。
※ 「沙門」は、僧となって仏法を修める人のこと。
※ 「■ [■は犭+寽]」は、狩り。
※ 「灵地」は、霊地。
![](https://assets.st-note.com/img/1727522755-Gr5H7vkJDLaNpTngm3bEBtcz.jpg?width=1200)
筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖