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【職人図鑑】彩画職人部類(2)鏡(かゞみ)
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鏡 かゞみ
唐土はいさ知らず、我朝には三種の神寶、宝祚、連綿として、内侍所の ●● 。後鳥羽院御製にも、七の社のます鏡と神あります倭国の寶、ことに婦人は第一身だしなみの具にして、●●の嬬屋のかざり、衣/\の姿鏡、いづれを何れとくらべなむ。
※ 「唐土」は、古く中国のこと。もろこし。
※ 「三種の神寶」は、三種の神宝。三種の神器。
※ 「宝祚」は、天子の位。ほうそ。
※ 「内侍所」は、三種の神器のひとつ「神鏡(八咫鏡)」を安置した場所。ないしどころ。また、八咫鏡の別名。
※ 「後鳥羽院」は、第八十二代天皇 後鳥羽天皇。
※ 「七の社」は、滋賀の山王七社のことと思われます。日吉大社を構成する山王二一社のうちの七社。
※ 「ます鏡」は、真澄鏡のことと思われます。鏡をほめていう言葉、よく澄んだ立派な鏡のこと。
※ 「寶」は、宝。
※ 「嬬屋」は、夫婦の寝室のこと。
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古書に曰、むかし先婦のものあり。わりなき別をなす。その夫とは国をへだつ。其時に婦人、夫にせつなる別をかなしみ、朝夕手引たる鏡を出して、是を破る。ふたゝび此われたるを合せむ事を誓ふ。
※ 「わりなき」は、ここでは、たまらなくつらいという意。
※ 「破る」は、ここでは鏡を割るという意。
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年経ても夫は古郷へ帰らず。婦もそのなるきをわすれ、さるもの日々に疎く、ついに他の人と契る時に、其鏡、鵲と化してその夫のもとにいたる。夫、其婦の仇心を知る。
鏡のうらにかさゝぎをつくる事はこの縁なりとぞ。
※ 「なるき」は、なる義でしょうか。義は、人として守るべき正しい道のこと。
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鵲について
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『楳嶺花鳥画譜 甘藍・鵲』
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『景年花鳥画譜 秋之部(穀樹 鵲)』
破鏡の故事に就いては貞氏藻林、神異経等に詳しく書いてある。元来鏡と鵲との因縁は余程広く伝わったものらしく、松平定信公の集古十種を見ると古鏡百八十八枚が描いて有る内四十一枚迄は此の裏に鵲の彫が這入って居る。中には銘の有るのもあつて「明々金鵲鏡」などとある。
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国立国会図書館デジタルコレクション『集古十種 [8]』
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国立国会図書館デジタルコレクション『集古十種 [8]』
参考:『歴世女装考:4巻 春(鵲の鏡)』『也軒翁骨董談・骨董の知識及鑑定法』『言泉:日本大辞典 第1巻(鵲の鏡)』『鳥と芸術(鵲の鏡の伝説)』『芸術資料 第2期 第6冊(鵲の鏡と風占)』
筆者注 ●は解読できなかった文字、□はパソコンで表示できない漢字を意味しています。
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