【大阪】雲水邦福寺

出典：国立国会図書館デジタルコレクション『雲水邦福寺（浪花百景之内）』

邦福ほうふく禅寺ぜんじは、荒陵山こうりゆうさんの西、茶臼ちやうす山のみなみにありて、一隊いつたいの丘山をかやまなり。寺中じちう庭前ていせんより見渡みわたせば、須磨すま・明石あかし・淡路あはぢ鳴山をのぞみ、漂ゝべう／＼たる蒼海さうかいはるかにして、北は茶臼ちやうす山の溜池ためいけをひかへて、水鶏くゐなの名所なところたり。此ゆへに、文人ぶんじん墨客ぼくかくこゝに来きたり、詩を紙ふし歌うたを詠ゑいずるも多かりき。

殊に、春秋しゆんじう彼岸ひがん中ちうは普茶ふちやをいだすにより、俳人はいじん●くんをなし、是を賞味しやうみす。実じつに幽静ゆうせい閑雅かんがの地なり。

福禅寺は荒陵山の西
茶臼山のみなみにありて一隊の丘山なり

文人墨客こゝに来り詩を紙し
歌を詠ずるも多かりき

筆者注　●は解読できなかった文字を意味しています。
新しく解読できた文字や誤字･誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介／免責事項」をお読みください。📖