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越前福井石橋(ゑちぜんふくゐいしばし)

越前ゑちぜん福井ふくゐ石橋いしばし

橋半分は石にてつくり、半分は木にてつくり 甚 奇観きくわんなり。橋づめに当国の名物とて蓑笠みのかさを売商人有。

凡、石橋ちいさきは諸国にあれども、大なるはまれ也。京三条の大橋は橋杭はしくいを石にてせらる。是、太閤秀吉公、増田右衛門●長盛に命じて、奉行たらしむ。則ぎぼうしゆに銘あり。又、甲州に奇異きゐの石橋あり。徂徠そらい先生の『峽中紀行』に見えたり。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『日本山海名物圖會 三』

増田ました長盛ながもりは、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将。豊臣政権五奉行のひとりで土木を担当しました。官位は従五位下右衛門少尉。天正十八年(1590年)に京都の三条大橋を架けています。

※ 「ぎぼうしゆ」は、擬宝珠ぎぼうしゅ。ここでは、京都三条大橋の欄干につけられている装飾のこと。葱の花に形が似ているので葱台そうだいとも呼ばれます。

※ 『峽中紀行』は荻生徂徠が記した紀行。国立国会図書館デジタルコレクションで読むことができます。『徂徠集 第5 巻之13-15


橋半分は石にてつくり半分は木にてつくり甚奇観なり
橋づめに当国の名物とて蓑笠を売商人有


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