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焼蛤(やきはまぐり)

焼蛤 并に 雨蛤

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『日本山海名産圖會 5巻 [4]


焼蛤やきはまぐり 并に 時雨蛤しぐれはまぐり

勢州桑名くわな冨田とみたの名物なり。松のちりをきて、蛤の目番め●●ひかたより焼くに、貝に柱を残さず、味美あぢびなり。

時雨蛤しぐれはまぐり  のせいは、たま味噌をつけたるおけたまりたる浮汁うきしるに蛤を煮たる汁を合せ、山椒さんせう木耳きくらげ生姜せうがとうを加えて、むき身を煮詰につめたるなり。遠国ゑんごく行路かうろをふるとも、さらあされることなし。

溜味噌たまみその制は、大豆をよく煮てわらつつみて、かまどの上にけ、一月 ばかり にして、うすき、塩をくわして水を くわゆ れば、上すみてたまる汁を醤油にかへて用ひ、底を味噌とす。是を以て、魚を煮るに、もしややあされたる魚も、ふくして味よし。今も 官驛くわんえき日用にちようとす。

はまぐりのお吸い物
Photo by mominaina


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