焼蛤(やきはまぐり)
焼蛤 并に 雨蛤
焼蛤 并に 時雨蛤
勢州桑名、冨田の名物なり。松のちりを焚きて、蛤の目番の方より焼くに、貝に柱を残さず、味美なり。
時雨蛤 の制は、たま味噌を漬たる桶に溜りたる浮汁に蛤を煮たる汁を合せ、山椒、木耳、生姜、等を加えて、むき身を煮詰たるなり。遠国行路の日をふるとも、更に鯘れることなし。
溜味噌の制は、大豆をよく煮て藁に裏みて、竈の上に懸け、一月 許 にして、臼に搗き、塩を和して水を 加 れば、上すみて溜る汁を醤油にかへて用ひ、底を味噌とす。是を以て、魚を煮るに、若稍鯘たる魚も、復して味よし。今も 官驛 の日用とす。
◇
筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖