『万国名勝尽競之内』大清南京府市坊 4 mominaina 2024年3月15日 16:22 出典:国立国会図書館デジタルコレクション『万国名勝尽競之内 大清南京府市坊』万国ばんこく 名勝めいしやう 尽競づくし之内のうち 大清だいしん南京なんきん府ふの市坊しばう南京なんきんは 支那からの 一いち大府だいふにして、當時たうじ 清国せいこく王族わうぞくの 居城きじやうたり。三方さんぱう海洋かいように 臨のぞみ、城下じやうか 巷街まち/\に 下流ながれをせき入れ、諸所しよ/\に 橋はしを 渡わたし、市坊しばうの 商家しやうか 數万すまん軒げん、両邉りやうへんに 棟むねを 並ならべ、將はた 蠻国ばんこくの 商官しやうくわん、此所こゝ 彼所かしこに 居館きよくわんを 設まうけ、国産こくさんをひさぎ、土産とさんをあがなふこと、本朝ほんてう 横濱よこはまの 地ちに 異ことならず。※ 「ひさぎ」は、販ひさぎ。販売する意。※ 「あがなふ」は、購あがなう。買い求める意。異人ゐじんは、海港かいこうに 舶ふねをよせ、出いづるあれば 入いるありて、繁昌はんじやう 餘州よしうに 比ひするはなし。出典:国立国会図書館デジタルコレクション『万国名勝尽競之内 大清南京府市坊』且かつ、都下とか 一里りを 隔へだて、柳巷いろ花街ざとの 一廓いつくわくあり。妓女ぎぢよ三千 嬋姢せんけんとして、錦繍きんしうの袖そでをひるがへし、歌舞かぶ 艶曲えんぎよくの 調しらべ 昼夜ちうやに 絶たへず、總すべて 支那もろこし 五十八省しやうの 内うち、南京なんきんの 男女なんによは 形容けいよう 艶優えんやうにして、技蓺ぎげいにのみ 心こゝろ をゆだね、利りに走はしる㕝ことを 専もつぱらとなせるにあり。そは 暖地だんち繁花はんくわの 国風こくふうによるところ也なりとぞ。萬國ばんこく噺ばなしの作者 假名垣魯文譯誌※ 「嬋姢せんけん」は、嬋娟せんけん。容姿があでやかで美しいさま。※ 「錦繍きんしう」は、錦にしき と刺繍ししゅうを施した織物のこと。美しい衣装。野花偏艶同 村酒酔出典:国立国会図書館デジタルコレクション『万国名勝尽競之内 大清南京府市坊』< 同シリーズの作品 >・ 英吉利龍動海口(いぎりす ろんどんのみなと)・ 仏蘭西把里須府(ふらんす ぱりすのふ)筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖 ダウンロード copy #古文 #古文書 #南京 #清国 #仮名垣魯文 #歌川芳虎 #万国名勝尽競之内 4