百鬼夜行拾遺 雨
羅生門鬼(らしやうもんのおに)
羅生門鬼
・・・ からきめ見たるも、この鬼神にや
※ ・・・以前は、文字の判別がつきませんでした。
夜啼石(よなきのいし)
夜啼石
遠州小夜の中山にあり。むかし、 孕婦 この所にて 盗賊のために害せられ、子は 胎胞 の内に恙なく 幸 に 生長 して、その讎を 報 しとかや。
芭蕉精(ばせをのせい)
芭蕉精
もろこしにて、芭蕉の精、人と化して 物語せしことあり。今の 謡物 はこれによりて作れるとぞ。
硯の魂(すゞりのたましい)
硯 の 魂
ある人、赤間が関の石硯をたくはへて、文房の一友とす。ひと日、平家物語をよみさして、とろ/\と居ねふるうち、案頭の硯の海の波さかだちて、源平のたゝかひ、今みるごとくあらはれしとかや。もろこし 徐玄之 が 紫石澤 も、思ひあはせられ侍り。
屏風闚(べうぶのぞき)
屏風闚
翠帳 紅閨 に枕をならべ、填覧倒鳳の 交 あさからず。枝をつらね、翼をかはさんと ちかひし事も 仇となりし。胸三寸の 恨より、七尺の屏風も猶のぞくべし。
毛羽毛現(けうけげん)
毛羽毛現
毛羽毛現は、総身に毛生ひたる事、毛女のごとくなれば、かくいふと。或は、希有希見とかきてある事、まれにみる事 まれなればなりとぞ。
目目連(もくもくれん)
目目連
煙霞跡なくして、むかし たれか 栖し家のすみずみに、目を多くもちしは、碁打のすみし 跡ならんと。
狂骨(きやうこつ)
狂骨
狂骨は、井中の白骨なり。世の 諺 に、甚 しき事を、きやうこつといふも、このうらみのはなはだしきよりいふならん。
目競(めくらべ)
目競
太政 入道 清盛、ある夜の夢に、されかうべ 東西より出て、はじめは二ツありけるが、のちには、十、二十、五十、百千万のちには、いく千万といふ数をしらず。入道もまけず、これをにらみけるに、たとへば人の目くらべをするやう也しよし 平家物語にみめたり。
後神(うしろがみ)
後神
うしろ神は、臆病神につきたる神なり。前にあるかとすれば、忽焉として 後 にありて、人のうしろがみをひくといそ。
否哉(いやや)
否哉
むかし、漢の東方朔 あやしき虫をみて、怪哉 と名づけしためしあり。今、この否哉も、これにならひて名付たるなるべし。
方相氏(はうさうし)
方相氏
論語曰 郷人儺朝服而立於詐階
註儺●以逐疫周礼 方相氏掌之
ろんごにいはく げうひとの おにやらいに
てうふくして そかいにたてり
ちうに おにやらいは ゑきを●ふ ゆゑん也
おにやらいに はうさうし これをつかさどる
瀧霊王(たきれいわう)
瀧霊王
法国の滝つぼよりあらはるゝと云。青龍疏に一切の鬼魅諸障を伏すと云々。
白澤(はくたく)
白澤
黄帝東延 白澤一見
避怪除害 靡灰不■ [■は彳+扁]
模捫窩賛
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筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
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