南蛮鞴(なんばんふき)
南蛮鞴
なんばんぶきは、たゝらかべにつけはぐちをして、二てうふいごにてふく也。銅よりなまりをしぼり取に用ゆる也。又、銅より銀をしぼり取にもこれを用ゆる也。
金山の下財、辛苦して宝をほり出しての世わたり、唯 おのれが口を養ふのみ。多分の利は、皆 金山司の徳用となれり。
唐の羅隠が詩に「採得百花成密後 不知辛苦為誰甘(ひやくわをゑてみつなしてとり のち し●●●●しらず たれがためにあまからしむ)」といへる。蜂の身の上と同じかるべし。
※ 「南蛮鞴」の「鞴」は該当する漢字がないため、国立国会図書館デジタルコレクションの目次「南蛮鞴」に従いました(鞴=音読みフク・訓読みふいご)。
※ 「二てう」は、二挺。
※ 「下財」は、鉱山の金掘り坑夫のこと。
※ 「徳用」は、ここでは利益(儲け)の意味。
※ 「羅隠」は、晩唐の詩人。
※ 「採得百花成密後 不知辛苦為誰甘」は、羅隠の『蜂』という詩の一文。
※ 参考:国立国会図書館デジタルコレクション『国文註釈全書 第2編 訂再版(羅隠峯が蜂)』『故事熟語辞典』『乞食袋』
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