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異国産物 阿蘭陀舩(おらんだぶね)
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是、毎年 七月頃、入津す。同じく遠見より注進あれば、去年渡りの 紅毛 カビタン、又、大通詞、小通詞、宦者、附添ひ、飛舩二艘 旛を立て 漕出し、元舩へ乗移り、御朱印等、検校すみて、漕戻る。
※ 「紅毛カビタン」は、ここでは長崎出島のオランダ商館長のこと。カピタン(ポルトガル語:Capitão)。
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< 紅毛舩(おらんだぶね) >
其 跡にて、元舩には 石火矢を 發事 九ツ。此 勢ひについて、引舩あまたありて、次第に 舩を入れ、西戸まり、戸町など、所々 御番所のむかひにて、石火矢を 發事 七ツ 宛 出島の湊に入りて、又、九ツを 響かし、此時、舩に 旛を立れば、出島屋敷にも 同じく竪る。是を、旛合と云。
※ 「石火矢」は、大砲のこと。
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こゝに於て、音楽有り。其 音妙なり。これより 碇をおろし、又、石火矢を發す事 十八にして、此 時、黒烟 空中に満ちて、暫時、舩を見る事なし。舩中には、其 烟の 間に、四十八の帆を 悉く 巻上、十所に 旗を立て、すべて 装飾し、烟が 次第に 消るに 現れ、更に、造り立たるごとく、其 花美 眼を奪ふ 許、甚だ 見事なり。
かくて、元舩のカビタン、小舟に乗りて、出島にあがれば、紅毛屋敷、前年のカビタン、従者、其外、遊女などつきそひ、是を 迎ひ入れて、宴を 催すなり。
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< 同出島紅毛屋敷(でじまおらんだやしき)紅毛舩入津(おらんだぶねにうつ)>
荷は同じく、薬種、小間物類、他國の珎器ども、是を 揚るに、凡 四十日 許なり。
本邦よりの渡し物は、先、銅、竿、紙類、其外、器物等を 賜り、毎年 九月十九日を 前年のカビタンの 發舩と相定る。當年のカビタンは残り、正月十五日には 貢献の物を持して、江府に趣き、四五月の頃 長嵜にかへり、又、新舩 入津を 相待てり。
※ 「江府」は、江戸のこと。
筆者注 新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖