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【観音霊験記 秩父巡礼】第八番青苔山西善寺/唄念仏

出典:国立国会図書館デジタルコレクション
観音霊験記 秩父巡礼第八番青苔山西善寺 唄念仏

観音霊験記 秩父順禮ちゝぶじゆんれい だい八番 青苔山せいたいさん西善寺さいぜんじ

 たゞたのめ まことのときは さいぜんじ
   きたりむかへん みだの三尊さんぞん

奉額
  なびけとや 弥陀みだの左右に 花柳はなやなぎ

唄念佛うたねんぶつ
當寺たうじ本尊ほんぞん恵心えしん僧都そうづさくにして、また弥陀みだ三尊さんぞんもあり。

いまはむかし、兵亂へうらん  しば/\  おこりて、神社じんじや佛閣ぶつかく廃衰はいすゐせしとき、一人ひとり旅僧りよそうきたりて、里人さとびとにむかひて「當寺たうじ詠哥えいかなにといふ」ときゝければ、とりあへず大音だいおんふしをつけてうたひ、おはりて、かくのごと面白おもしろくむかしはうたひて順禮じゆんれいせしとおしゆ。

旅僧りよそうよろこびて、「あらかしこし、その順礼哥じゆんれいうたすぐれたれば、わするゝことなかれ。最早もはや兵乱へうらんもしづまりて、太平たいへいふくし、なが佛乗ぶつじやうおこる也」としめしてせ給ふは、これ圓通ゑんつう大士だいし應化おうげましませば、もあらず 泰平たいへいとなりて繁昌はんじやうすること不思議ふしぎ灵驗れいげんなり。

※ 「灵驗れいげん」は、霊験れいげん



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