奈良晒(ならさらし)
奈良晒
麻の 最上 は南都也。近国より其品数ゝ出れども、染て色よく、着て身にまとばず 汗をはじく故に、世に奈良晒とて 調宝 する也。
極の字うるし判は、生平の時の改め判なり。晒あげての改め判は、南都御呉服 尺巾一尺一寸 長六丈七尺五寸と朱印有。四尺切を取てあまり五丈四尺有。
木津晒、ならと同じ。然共、染て地やはらかに、着心ならのごとくにしよりつきなくて心よからず。
※ 「身にまとばず」は、体にまとわりつかず、という意味と思われます。
※ 「極の字うるし判」は、江戸時代、奈良晒などの布類に製品検査の証として押した極の字の漆の印。長く消えないように漆が用いられました。
※ 「生平」は、からむしの繊維を平織りに織って、晒していない布のこと。
※ 「しよりつき」は、生地の張りのしゃり感のことと思われます。
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