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【観音霊験記 秩父巡礼】廿七番上影森竜河山大淵寺/行脚僧宝明

出典:国立国会図書館デジタルコレクション
観音霊験記 秩父巡礼廿七番上影森竜河山大淵寺 行脚僧宝明

観音霊験記 秩父順禮ちゝぶじゆんれい廿七番 上影森かみかげもり龍河りやうが大淵寺だいいゑんじ

 なつ山や しげきがもとの つゆまでも
   こゝろへだてぬ 月の影森かげもり

奉額
 茄子なすも おがむやちゆの あさぼらけ

行脚僧あんぎやそう 寶明ほうめい
宝明ほうめい 諸国しよこくをめぐりて當山たうざんきたりしところ難病なんびやうによつて あしなへ ければ、余儀よぎなくおきふし西方さいはうねんじ、飛行ひぎやうとりてうらやみ、つひ七年なゝとせ春秋はるあきおくりしが、一日あるひ 弘法こうぼう大師だいしちよくうけて、諸国しよこく經歴けいへきするみぎり、こゝきたりて宝明ほうめいあしなへ當国たうごく順礼じゆんれいかなはざるをあはれみて、大士だいし灵像れいぞうこくしてあたへ玉ふがゆへ、宝明ほうめい歡喜くわんぎ踊躍ゆやくしてこれ本尊ほんぞん安置あんちしければ、宝明ほうめいをもつて當山たうざん第一祖だいいつそとす。

※ 「灵像れいぞう」は、霊像。
※ 「歡喜くわんぎ踊躍ゆやく」は、とても喜び小躍こおどりすること。歓喜踊躍かんぎゆやく

宝明の あしなへたるは、まつた救世大士ぐせだいし利益りやくにて、弘法こうぼう値偶ちぐうさせしめんがためなれば、不詳ふじやうをもつて吉㕝きちじをま●ぎし灵驗れいげんなるかな。不思議ふしぎなるかな。

また當山たうざん誓願石せいぐわんせきといふ灵石れいせきあり。その因縁いんえんながければ、こゝりやくす。

※ 「救世大士ぐせだいし」は、救世観世音菩薩ぐぜかんぜおんぼさつのこと。
※ 「値偶ちぐう」は、値遇ちぐのことと思われます。縁あってめぐりあうことの意。
※ 「灵驗れいげん」は、霊験。



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