【大阪】四つばし

出典：国立国会図書館デジタルコレクション『四つばし（浪花百景之内）』

東西は 長堀川ながぼりがは にて、南北は 西横にしよこぼり川 の 二流にりう十文字じうもんじ の中に渡せる橋  四つあり。各々おのおの 名なはあれど、只たゞ そのはしの数によりて、四ツばしの名な高たかし。

名物めいぶつ  煙管屋きせるや は、西南詰にしみなみづめ に軒のきをならべ、家毎やごとに 客を招かんことを争ふ。此辺このへん、新町しんまち、堀江ほりへ、及び、道どうとん堀ぼりに ほど近ければ、昼夜ちうやの往来ゆきゝにぎはしく、浪花らうくは 巡覧じゆんらん の 専地せんち といわんか。

東西は長堀川にて南北は西横ぼり川の
二流十文字の中に  渡せる橋四つあり

各々名はあれど只そのはしの数によりて
四ツばしの名高し

『浪花百景之内』の絵では少し分かりにくいので、『攝津名所図会』に掲載されている「四ツ橋」を引用します。

出典：国立国会図書館デジタルコレクション『攝津名所圖會 [5]』

「四つばし」は、長堀川ながぼりがは と西横にしよこぼり川 が交差する場所に、横断歩道のように架けられていました。

それぞれの橋の名前は、左に見えるのが「下つなぎ橋」、その下が「炭屋橋」、右は「上つなぎ橋」、その上は「吉野屋橋」。煙管屋が軒をつらねる西南詰にしみなみづめは 図の左上の通りになります。

四ツ橋
　四ツ橋の  角立けるよ  冬の月
　　　　　　　　　　乙州

筆者注　新しく解読できた文字や誤字･誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介／免責事項」をお読みください。📖