大隅国 煙草培養之図 煙草葉製造之図
大隅国 煙草培養之図
煙草は、元南アメリカの産にして、我国、慶長十年、ポルトガル人持来りて、長崎へ植附たるを初として、培養せざる国なしと虽ども、就中、大隅の国部上野の舘、薩摩の出水、摂州石津、武蔵の秩父、丹波山本、上総の小糸、等より出す物を、尤上等とす。此草、性辛くして、収採の後、虫の付 患 なしと虽ども、成長の時は却て虫の付る 夥 しく、毎朝虫をとらざれば、其葉を網のごとくなすもの也。
同 煙草葉製造之図
八、九月頃、種を下し、三月に至りて、移植。六月頃、葉薄黄となるに随ひて、根に近き葉を二、三枚摘とる。これを元葉といふ。中品なり。後、中真の二葉をつむ。これを中葉といひて、上品也。残り枝莖を挍てをりとり、陰乾にするもの下品なり。つみとりたる葉を揃へて、薦を被ひ、黄色に変するを度として、二、三葉づゝ縄にかけ、又、日にほし、夜つゆにさらし後、巻て、細刻なり。
筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖