江戸の花名勝会 に 一番組(尾上梅幸)
御ぞうにの祝ひばしは
杉ばしかえ
いいえ
柳ばし
※ 「柳はし」は、お正月の祝い膳で使われる柳の木で作った太箸のこと。折れにくいことから縁起がよいとされます。
御雑煮の祝い箸は杉箸かえ? いいえ、柳箸
柳の箸と柳橋をかけています。
○○○原の柳 此はし詰までありしと云
柳に因ての名なるべし
此所 猪牙 はしり舟のはじめ
山谷出ふねの 名所なり
風の吹く方を 後に やなぎかな 野水
※ 「猪牙」は、猪牙舟の略で、江戸の河川で広く使われていた二挺櫓の小舟のこと。山谷通いに利用されたことから、山谷舟とも呼ばれたそうです。
横ぐしのお富 尾上梅幸
婢美妾嬌非
閨房之福 道三
柳ばしの小舟
柳ばしから小舟で いそがせ さんやぼり
土手の夜風を ぞつと身にしむ えもん坂
きみをおもへば あわぬ
そのよのかん○○○
かたがた けふは 来るはつえ
な○たきせるの おとみさん
※ 「さんやぼり」は、隅田川の今戸から山谷に至る掘り割り(水路に沿って店が並ぶ)で、新吉原通いの遊客で賑わったエリアです。
※ 「えもん坂」は、新吉原の日本堤と大門の間にあった坂の名前。衣文坂。
江戸の花、名勝会には、「梅川」「万八」「どぜう川半」「大橋」「河内楼」という名前が見えます。
「梅川」は、柳橋の即席料理屋。
即席といっても、私たちがイメージする即席とは少し違っていて、客の注文にあわせて江戸前の新鮮な魚介をその場で調理して提供するという意味です。
「万八」は、萬屋八郎兵衛を略して呼んだ屋号のようです。
「河内楼」は、河内屋半次郎の店でしょうか。
当時の柳橋が賑わいが、これらの店の名前を見るだけで想像される気がします。
筆者注 ○は解読できなかった文字を意味しています。
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