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【人物図鑑】宝船桂帆柱(3)十遍舎一九×歌川広重
六親和合之図
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六親和合之図
よろづ代の 齢をともに 契らばや ふ老ふしある竹のそのうに
※ 「六親」は、最も身近な六種の親族のこと。父・母・兄・弟・妻・子、父・子・兄・弟・夫・婦など。
※ 「ふ老ふしある」は、不老不死と節ある竹の掛詞になっています。
※ 「竹のそのう」は、竹の園生。
隠居祖父 隠居祖母
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隠居祖父
老ぬれば 子に従ふのならひにて 家につえつく 齢ひめでたき
隠居祖母
手の届く丈は 稼て 今は世の 世話をも棚へ 上し気楽さ
主人 妻
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主人
繁昌 は親の光りぞ 今となりて 頭の兀し 身にぞしらるゝ
妻
何事も 操正して つとめなば 宝の山の 神といはれん
嫡子 次男
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嫡子
孝行を 商売 として かせぎなば すゑは黄金の かまど 将軍
次男
出る杭となりて うたれな直なる 身にはいたゞく 大黒のつち
※ 「かまど 将軍」は、竈 将軍 。家庭のなかだけで威張る一家の主人のこと。
三男 末子
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三男
柔和なる 心を持が 奥の手ぞ 負るをかちと 身の 修行 せよ
末子
尻軽に働け めしは食次第 人から膳を 末のたのしみ
※ 「負るをかち」は、負けるを勝ち。
※ 「尻軽」は、ここでは身軽にという意味合い。
姉 妹
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姉
あはれみの あるこそ人の 鏡とて 其身の徳をてらす 愛敬
妹
夜目遠目 笠のうちこそ ゆかしけれ うへ見ぬ心 艶しかりせば
※ 「あはれみ」は、哀れみ。かわいそうに思う心、慈悲。
※ 「夜目遠目笠のうち」は、夜目遠目笠の内という諺。夜見るとき、遠くから見るとき、笠に隠れた顔の一部をのぞいて見るときは、はっきりと見えないので実際よりも美しく見えるという意味。
妾 嫁
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妾
舞登る とても其身を つくしまば 鳶が鷹産 す衛のはんじやう
嫁
難所をも 凌がば末は よかるべし 女の道の 峠こすまで
※ 「す衛のはんじやう」は、末の繁昌。行く末長く栄えること。 末繁盛 。
隠居番頭 支配人
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隠居番頭
主《しう》の |● かぢりし 恩ぞ今にしる 入歯をしても くひかねぬ身は
支配人
石の上に三年 どこか辛抱は 只一金に いまの番頭
帳場手代 掛方
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帳場手代
奉公と主の 恩義とさしひけば 我身に残る す衛の福ひ
掛方
金銀も ほうこうにんは 見たばかり 辛抱をして 見せる身となれ
※ 「す衛」は、末。
※ 「ほうこうにん」は、奉公人。
売方 腰元
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売方
売やうれ その身に徳は はかねとも 損にはならぬ す衛のりつ身
腰元
青柳の こしもとなれば 其家の かぜになびきて 奉公をせよ
※ 「す衛のりつ身」は、末の立身。
※ 「家のかぜ」は、柳に風 と 家の風(家風)の掛詞になっています。
賄女 丁稚
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賄女
身に曇 霞なければ 親方の|眼鏡《めが
ね》ちがはず 出世をやせん
丁稚
しからるゝ たけは其身の薬にて 今に功能 有は 掛合
乳母 子守
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乳母
持手からこぼるのたとへ 金持の子を 大切にすれば 損なし
子守
人の子を守するゆへに 己が身も 米の直しらず 育つ生長
※ 「持手からこぼる」は、ある手からこぼれるという諺のことと思われます。お金持ちには、お金があり余るほどあるから自然とまわりにお金がこぼれ落ちる(施す気持ちがなくても、まわりの人々に恩恵を施している)という意味。
中働 物縫
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中働
若きうちは ものにうかるゝ ならひなれ 目をさましてよ 茶の間奉公
物縫
いとふなよ 身のため 肩の針しごと 人にもまるゝ うちの辛抱
下女 下男
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下女
傍輩の猫も杓子もへだてなく 笑顔わするが おた福の神
下男
両足 を 擦子木として はたらかば 角のなきとて 衆人愛敬
※ 「傍輩」は、同じ主君や家などに仕える同僚のこと。または、仲間、友達。
※ 「衆人愛敬」は、多くの人に愛され尊敬されること。
料理人 掛人
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料理人
包丁も 気をもきかして つとめなば 頓てそのみも 仕出しりやうりぞ
掛人
闇雲に はたらけ いつか人の目に 掛人の身の喰いつぶしは
※ 「掛人」は、他人の家に世話になっている人。居候。
按摩 髪結
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按摩
正直をつえとたのみて 身過せば よくに目のなき 人《ひと》に|勝らん
髪結
一筋に 家業つとめよ 元結のしまりよければ 末は安楽
米舂 日雇
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米舂
ゆくすへは 出世おもはゞ から臼の 身を粉にはたくばかり勤よ
日雇
日やとひの わづかの銭《ぜに》も つもりなば |太平楽な 節季物前
長寿人物撰
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長寿人物撰
五雜組に曰 人壽百歳に過ざるは 数の終おはり也 故に 百世を過て死ざるものを 失帰の妖といふ
我朝 武内 宿祢は 三百十余歳 伶人尾張濱主は 百十三にして 舞楽を奏し 僧義円は 百十四にて画を善す 道守臣 東人百廿二歳 聡明 少壮 なるがごとし 桓武帝衣服を賜ふ 其余 失帰の妖と称するもの 乏からず めでたし/\
※ 「五雜組」は、『五雑組』。明代末期の謝肇淛による随筆集。
筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖