Spring ephemeral 、春の妖精たち。
【Spring ephemeralとは】
直訳すれば「春の儚さ」とでも言おうか、でも学術的には「春植物」と言う訳語になる。いわゆる「春の妖精」とも呼ばれているこの季節だけの山野草の一種である。
春がまだ浅いうちに咲く山野草がすべて「春の妖精」と言うわけではない。代表的なものは「フクジュソウ」、「セツブンソウ」、そして「カタクリ」だろうか。その他「イチリンソウ(イチゲ)」「ニリンソウ」「エンレイソウ」「コバイモ」そして外来種の「スノウドロップ」や「チオノドクサ」などが代表的な「春の妖精」たちである。
どんなものがその範疇に入るかと言えば、落葉樹の葉がまだ芽吹く前のほんの短い間に芽を出し、花を咲かせ、種まで作り子孫を残す工夫をする。ある意味合理的な植物と言える。草丈は短く低い温度でも活発に光合成をおこない、木々の葉が茂り、夏になると姿を消してしまう春の山野草を指す。夏の間は他の植物が茂っている葉蔭で地下茎で逞しく健気に生き残り、また翌年の早春に芽を出す。
【Spring ephemeral 春の妖精を見つけよう。春植物の鑑賞会】 昨年も何度か訪ねた仙台市南西部の野草園は毎年12月から冬季休園となる。先月3月20日にいよいよ開園した。こんなタイトルでボランティアガイドさんたちが案内して下さると言う。自然が相手である以上、花の時期がうまく合わない場合もあるがこの日はまさに打ってつけのタイミングだった。最高気温が20度、アップダウンもあり、汗ばむほどのお天気だった。フクジュソウ、セツブンソウなどは既に咲き終わり葉を残す状態だったが妖精たちはあちらこちらで踊っていた。毎週土曜日に活動されているボランティアさんの案内で妖精たちを見逃さずに歩くことができた。背丈が低い妖精たちなので、小動物になったつもりでしゃがみこんで眺めたり写真を撮ったり。今回出会った妖精たちを紹介したい。
【妖精① カタクリ】
フクジュソウやセツブンソウが終わるとこのカタクリの出番だ。色は紫色又は薄いピンク色。主に関東以北の涼しい落葉樹林の明るい斜面に咲く。葉も含めて地表に姿をを表わしているのは1ヶ月から1ヶ月半程度、開花期間は2週間ほどだと言う。本当に貴重なタイミングだった。以前はカタクリの根からデンプンが取れ片栗粉となったが、今はイモ類のデンプンが使われている。育てるのは個人では難しいと言われている。種から育てると7年かかると言う。球根が無難だろう。カタクリは園内にかなり咲いていた。
【妖精② アズマイチゲ】
【妖精③ キクザキイチリンソウ(イチゲ)】
アズマイチゲの花とよく似ていて区別がつきにくいがアズマイチゲと違い葉のギザギザの切れ込みが深いのが特徴である。又アズマイチゲの花は白だがキクザキイチゲの色は白の他、薄紫、薄青色、そして白がある。花は名前通り一輪のみ。
【妖精④ ニリンソウ】 キンポウゲ科イチリンソウ属。イチリンソウより花は小さく花びらも少ない。二輪草と言うだけに2輪の花が咲くが、一輪ずつ咲くので、花と蕾が付いている。二輪草の葉は猛毒のトリカブトの葉に良く似ているので注意が必要、とガイドさんが説明されていた。
【妖精⑤ エンレイソウ】
ユリ科エンレイソウ属。大きく輪生する葉が3枚付いていて、やはり3枚の花びらの小さな花が咲く。花はまだ小さかったが葉は目立っていて見つけられたが変わり種の妖精と言える。3つのユリの意味の英語名が付いているが、日本名は中国で薬草とされる「延齢根」から来ているらしい。まだ少ししか花が咲いていなかったが、とても愛らしい。
【その他の春の野草と樹木】
4月は芽吹きの季節なので、一週間も置かずにどんどん花が咲き、木々も葉を広げていく。妖精たちを盛り上げる様に近くで咲いていた花や木々の写真だけでも載せて置く。
やはりこの季節は山野草の宝庫、これでも最後はバッテリー切れで断念。 妖精たちの貴重な春を感じてお楽しみいただければと思う。ようやく仙台も桜の開花宣言があった。桜前線は駆け足で北へ向かう事だろう。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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