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立夏の定点観察―木の花の地味な風情に初夏を感じた日。

昨日からもう立夏。暦通りに汗ばむほどの陽気。連休の合間の平日だが
まだ世の中は静かである。
【連休中の大失敗】                         実は連休の最中の一昨日、家の中で転倒し、ライティングビュローのカドにこめかみの辺りを思いっきりぶつけた、一瞬すごい衝撃で、耳のあたりを押さえたまま、容易には立ちあがれなかった。
『あぁ~、やってしまった』と思っても後の祭り。

冷静になってみると、痛みもひどく、みるみる腫れてきた。とにかく冷やそう、と保冷剤をハンカチで包み,冷やし続けた。 あと二日は病院も開いていないが、頭そのものでもないので、救急診療所にいくほどではないと、不安ながらも言い聞かせ、静かにしていた。 思いがけなく、口を開けるとかなり痛いことに気がつく。横に開いても何でもないが、縦に開くと痛い。ご飯はおちょぼ口にして運び、工夫して食べる始末。おやつも億劫で食べる気がしない。耳の後ろを打ったので、マスクのゴムも神経に触る。私にはちょうど良い神様のお仕置きかもしれない、と二日間静かに過ごした。
                                  今日は連休の中休み。少しは腫れも引いたが、まだ口を開けると痛むので、思い切って近くの外科を受診した。 先生が『なるほど、まだ腫れているね~、これはかなり痛かったでしょう、レントゲンを撮ってみましょう』とおっしゃった。
その後診察室へ移動。頭蓋骨の写真がディスプレイに出てきた。これが私?とドキドキして沈黙。先生は正面と横の2枚の写真を並べて黙って診ていらっしゃる。怖くて画像から目をそらしていると、『うん、骨には異常はないようだけれど、打ち身が酷いから、痛み止めの塗り薬をだしましょう、はい、お大事に』、と先生の声。これでおしまい。

ホッとして外に出ると五月のまばゆい日差しで風も気持ちが良い。大げさに言うと、無罪放免で拘置所を出たような気持ちになった。もちろん、そんな経験はないが。 隣の薬局で塗り薬をもらい、家にまっすぐ帰る筈が、途中いつもの散歩コースの駐車場に差し掛かると、スッと吸い寄せられるように入っていた。

【いつもの窪地の定点観察】

安心したせいか、顎がまだ痛むのも忘れて意気揚々と緩い坂道を下りて行く。駐車場の桜並木も緑一色に変わっていた。上の道から見下ろすと沼の水面が木々の間から見えていたのが、すっかり緑で覆われてしまっていた。 溜池に着くと、いつもの釣り人が糸を垂れていたし、遠くに白鳥のシロがのんびり泳いでいるのが見えた。桃源郷の様な景色を先日見たのがうそのようだ。
辺りを見回してももうピンク色は姿を消し、緑、緑の初夏の景色だった。   カラスノエンドウがワサワサと伸びきったスギナの原に蔓延っているし、   もう、ハルジオンがスッと咲いていた。これからそこいらじゅうに出てくるはずであるが、まだまばらで可愛らしい。それでもハルジオンとヒメジョオンは侵害的外来種のリストに入っているとのこと、可愛いとばかり言っていられないのか。  昨年のヨシが枯れたままになっている傍から新芽がツンツンとまっすぐに茎を伸ばしていた。

【溜池の景色と白鳥】                        渡りの鳥たちが去って行き、すっかり静かになった溜池にいつものシロとカモが一羽ずつ、のんびり泳いでいた。今日はなぜか首をすくめながら始終鳴いていたのが気になった。他のカモやオオバンは留守のようだった。

【地味で渋い木の花々】                        じっくりと歩いていると、今まであまり目が行かなかった木に花が咲いていることに気がついた。決して華やかではないが、春から初夏に移る時季の さわやかさを感じることが出来た。

✾ウワミズザクラ (Japanese bird cherry)                        瓶を洗う時のブラシの様な形の花穂に小さな花がびっしりついて咲いていた。昨年は見つけなかったようだ。

✾オニグルミ (Manchurian walnut)                   沼に枝垂れかかるように生えているオニグルミの木に重そうな花がぶら下がるようにして咲いていた。一本の木に雄花と雌花が咲くが、これは雄花。10月にくればクルミが落ちているかもしれない。

✾クヌギ (sawtooth oak)                             クヌギと言うと、昔から炭焼きの原料や、椎茸の原木として有名だし、万葉集にも登場、縄文時代の遺跡からは大量のどんぐりが発見されたりするお馴染みの木である。2年位かかってできると言うクヌギのドングリはかなり派手である。実の付け根についている殻斗が特徴の大きな真ん丸のどんぐりだ。今は花が咲いているが、枯れて地面に落ちるとちょっと大変な風景である。土なら良いがアスファルトの道路などに落ちるとかなりな迷惑ものかもしれない。

✾松 (Pine tree)                             今の時季は松の木も花の季節である。松の枝先に上に向かって咲いているのが松の花だ。雄花と雌花があり、風が花粉を運んで受粉させる風媒花の代表である。受粉された雌花は一年以上かかって松笠になる。今日は立派な松の花が目立っていた。

今日はラッキーなことにこの辺りに詳しい市の職員の方に偶然お会いして、いろいろ教えていただくことが出来て勉強になった。

【車道のすぐそばの林】                       いつも下りる道の反対側は交通量の多い幹線道路であるが、その道沿いの溜池側はこんな林のある公園になっていて、これからは緑陰となる。薄いピンクの藤棚もあるが、まだ二分咲き程度だった。昨年のnoteを見ると今頃満開だったが。

今日は大きな木を中心に眺め、緑の中で深呼吸をして、心からリフレッシュすることが出来た。連休に家の中で転び、年を感じ落ち込んでいたが、何とか復活できた、と思う。こんなことがこれからも起こるような気がするが、いや、心して落ち着いて暮らそうと思った次第。              

【碾茶】                              昨夜、今年初めて冷たい飲み物を作り冷蔵庫に収めた。これからは日課になる作業だ。温かい碾茶を入れて保存瓶に移して置いた。抹茶になる前のお茶が碾茶であるがたまたま手に入った。もしや冷たくしても美味しいのでは、と思い、冷やしてみたが、予想通り。沼の散歩で疲れて喉が渇いたので、早速美味しく飲んだ。

では今日はこの辺で。


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