初夏の連想ー牡丹・母の日・山椒味噌
昨年3月にnoteを始めてから一年間は主に七十二侯を追って更新していたが、今年はそれに囚われず思いつくまま書いている。でも気になる侯は時々取り上げてみたい。
さて、少し過ぎてしまったが、4月30日から5月4日までは『牡丹華 ぼたんはなさく』であった。
【牡丹の庭】 昨夜、牡丹や芍薬をお庭に育てている友人から連絡があり、この陽気で一気に牡丹が開花したので是非見てほしい、とお誘いがあった。週が明けて見頃が終ってしまっては大変、と取るものも取りあえず駆けつけた。
重厚ないぶきの生垣に囲まれた落ち着いたお庭の縁に沿って、モミジやツツジが配置され、それらに寄り添うように、牡丹がほぼ満開に咲き誇っていた。思わずため息をついてしまった。何と美しい、あでやかで神々しい咲きっぷりだろうか。さすがに花の王と呼ばれるだけはある。
語彙が貧しく、うまく表現できないが、お庭全体に品格を醸し出していた。見事な大輪の牡丹と先祖返りをしたという芍薬がすぐそばに寄り添っていたが、そちらの蕾はまだ固かった。絵心があれば、描いてみたいと思うくらいだが、その才能は皆無だから、スマホで写真を撮りまくることしかできなかった。中には、知る人ぞ知る日本一の牡丹の生産を誇る山陰の大根島の牡丹園から取り寄せたものもあった。どんなにか丹精された牡丹であろうと想像した。まるで加賀友禅の着物を連想するような見事な牡丹であった。
お部屋の中からも窓越しにモミジや牡丹が風景画の様に見えていて、楽しいお茶の時間を過ごさせていただいた。
忙しい方なのに、タイミングよくお誘いいただいた友人に感謝したい。
【母の日】 中心部に近い住宅地の友人の家を出て、その足で街中に寄ってみると、花屋さんには路上までカーネーションやアジサイの植木鉢が並び、お店の中には様々なアレンジメントが飾られて賑わっていた。小学生の頃から亡くなった年まで、母の日は何かしらプレゼントを送り続けていた。結婚してからは義母も加わり、ほとんどはお花か身に着ける小物などを選んでいた。12年前に義母が99才、そして5年前には実の母も91才で天国に召され、世の中の母の日のお祭りとは縁が無くなったが、今生きていたら、どのお花をあげようか、としばし眺めたりした。
おりしも来週14,15日に開催予定の『青葉まつり』の山鉾が4基、ショッピングアーケードに設置中であった。昨年は山鉾の展示だけであったが、今年は規模を縮小して実施され、名物の雀踊りも出て賑わう予定である。母の日のお花と山鉾で初夏らしい明るい活気に満ちていた。
【山椒味噌】 義母が今頃になると良く作っていたのが、山椒味噌である。筍やイカの木の芽和えに使われるような白味噌をベースにしたものではなく、仙台味噌の赤味噌で作って冷蔵庫にいつも保存していて、様々な料理に重宝していた。
先日、フキノトウやタラの芽などを摘ませてもらった友人の庭に花山椒の木がありおそすわけにあずかったので、思い出しながら義母の山椒味噌を作った。二人の母の大好物であった。
硬い枝は取り除き、水洗いして乾かし、包丁で細かく刻んだ。義母は確かすり鉢で擂り潰していたと思う。小鍋で味噌、砂糖、お酒、みりんを加えて焦げないように気を付けながら練っていく。そこに細かくした山椒の葉を加え、さっと練り合わせて完成。冷蔵庫で2週間くらいは持つ。量は好みだが、花山椒は香りが柔らかなので、たっぷり加えた。
ちなみに、今回は150gの味噌に山椒は30gほど。この合わせ味噌であっという間にできる一品を夕飯の副菜に作った。茄子の山椒味噌炒め。白いご飯が進む一品で初夏の味。
思いがけず美しい牡丹のお庭を眺め、母の日のお花で賑わう街中を歩き、山椒味噌で二人の母を偲んだ、良い一日だった。貴重な牡丹の一輪をいただいて来たので飾った。瞬く間に明るい玄関に早変わり。
牡丹~母の日~山椒味噌とつながって、今日はこの辺で。