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曜変天目ぬいぐるみのついでに後家兼光を見に行ったはなし。

 曜変天目茶碗、特に静嘉堂文庫の「稲葉天目」が好きです。

 丸の内への移転前、世田谷は岡本に美術館があった頃から曜変天目めあてに特別展を観に行ってたぐらいには。

 曜変天目グッズは何種類か持ってますが、美術館移転後に「ほぼ実寸の曜変天目ぬいぐるみ」が出たときは流石に正気を疑いました。

 疑いはしましたが、欲しかったのです。発売当初は入荷タイミングとスケジュールが合わず、入荷つど販売から毎日10個限定販売に変わってもなかなか購入機会が得られませんでした。

 そこに入ってきた「超・日本刀入門 revive―鎌倉時代の名刀に学ぶ」開催と刀剣乱舞コラボの情報。そういや刀剣乱舞に実装されたね後家兼光ごっちん

 これはもう平日朝イチの予約を取ってぬいぐるみ買うしかないな、と思い、展覧会に行って参りました。

 開館時間になって即ミュージアムショップに入った客は私ぐらいでしたが。



展覧会の構成

  • 1章:日本刀の種類

  • 2章:名刀のいずるところ

  • 3章:きら星のごとき名刀たち――館蔵の重要文化財

  • 4章:武将と名将

 後家兼光は4章にあります。中央ホールの周囲に各展示室が配置されているため、いきなり4章から鑑賞することも可能。

 一部の展示品と刀剣男士の後家兼光パネルは中央ホールにあります。

 展示品および内装はスマホに限り曜変天目茶碗以外すべて撮影可能。一方で「カメラでの撮影禁止」は徹底しており、SQ70sのような画素数低いファインダー無しのトイデジでも許可は下りませんでした。

 係員さんにカメラを預けて確認してもらったのでガチです。暗い展示室は実質的に無理だけどホールの天井は撮りたかったな……。



個人的見どころ

手掻包永てがいかねながの太刀

太刀 銘 包永
(国宝/手掻包永・13世紀)
拵えは江戸時代のもの
刃中の働きがわかりやすい

 展示された数多の名刀からあえて一振り選ぶなら国宝の手掻包永の太刀でしょうか。刃文の中にある変化が判りやすく、解説図と見比べると楽しいです。

 ティファニーダイヤモンドでは「余計なことしやがって……」だったiPhoneカメラの勝手な補正、日本刀の場合は刃文が良い感じに浮き上がるんですよね。目から鱗でした。


長船真長おさふねさねながの小太刀(のこしらえ)

小太刀 銘 真長(長船真長 ・13〜14世紀)
つけたり  黒蠟色塗鞘くろろいろぬりざや菊水紋金具突兵拵とっぺいごしらえ(19世紀)
石突の金具(トッペイこじりって言うらしい)
アシンメトリーなのが魅力的

 丁子乱れの華やかな刃文をもつ小太刀そのものも素敵ですが、目を惹くのは珍しい形状の鞘。

 突兵拵と言って洋式の軍事訓練向けとして生まれ幕末に流行した拵えとのこと。どのへんが洋式訓練向けなのか素人にはわかんないのですが、細かな菊の花を散らした精緻な造りの金具が好き。


木造十二神将立像

午神うまのかみ
(重要文化財/慶派・1228年頃)
截金きりかねもしっかり残っている

 刀剣以外の展示品は少なく、大半を「木造十二神将立像」が占めています。

 展示された7軀が静嘉堂文庫所蔵、残りはトーハクにあるそうです。

 鎌倉時代の作とは思えないぐらい保存状態がよく、施された色彩や截金細工がはっきり判ります。

 それぞれ表情やポーズに個性があるので鑑賞するのが楽しい。


曜変天目茶碗(「稲葉天目」)

茶碗は撮影禁止なので解説パネルを

 刀の展覧会って言われても曜変天目を目の前にしたらテンション上がるんですよ!

 ブラックホールに吸い込まれる、あるいはビックバンで放射される星のような煌めき。美しすぎる。

 藤田美術館の曜変天目もステキですがそれでも私は稲葉天目派です。

 不満点は展示台の高さが低すぎること。個人的には移転前の展示台のほうが鑑賞するのにちょうど良かったと感じます。

 日本人女性の平均身長である私が見づらいと思うんですから、背の高い方はもっと大変じゃないですかね?


後家兼光

刀 大り上げ無銘(号 後家兼光)
(伝 長船兼光・14世紀)
刀身のみ抜き出し
刀身のアップ

 今回の特別展の目玉。長船派の刀は刃文が全体的に乱れてる印象が強い(光忠とか長光とか)んですが、後家兼光の刃文は大きくのたれてます。

 大磨り上げってあるようにかなり切り詰められてますが、全体を眺めるとなかなかの迫力。

美しい蒔絵の拵えは明治時代のもの

 後年つくられたものですが、拵えも華麗で見応えがあります。



刀剣乱舞コラボ

後家兼光(刀剣男士)の等身大パネル

 刀剣乱舞とコラボしているので、先述の通り刀剣男士の等身大パネルが中央ホールにあります。撮影待機列用のヒモが張ってありましたが、平日朝なので待ちができるほどではなかった。

 私は都合が付かず申し込みませんでしたが、コラボのナイトツアーもありました。おっきいこんのすけに会いたかった……。

ゲームの「御伴撮影」機能で取ってみた
向かって左は後家兼光をごっちんと呼ぶ友刃ゆうじんの姫鶴一文字



音声ガイド

音声ガイドつきチケットもある

 館内貸し出しのみでアプリ版なし。全編が福山潤さんの声なのでファンの方には嬉しいのではと思います。

 後家兼光としてのボイスがあったら最高だったんですが……。

 解説内容は丁寧なので、気になるところはホールでメモを取りながら聴きなおし。

 最後に図録を宣伝する音声ガイドなんて初めてですYO!



ミュージアムショップショップ

これはカメラ撮影可能
買ったもの

 冒頭のとおり最大の目的は「ほぼ実寸の曜変天目ぬいぐるみ」。ぬいぐるみと言うより布でできた模型茶碗なのでサイズに比してけっこうなお値段します。

 布製なんでキラキラしませんが模様もサイズ感も実物に忠実なので、両手で包むように持って眺めると楽しい。

 他に買ったのはコラボのクリアファイルと図録。

 図録は見ての通りやや横長で、日本刀の全体像を見せることに特化した造りとなっています。

 残念ながら木造十二神将立像やパネル解説は未掲載。例によってオール撮影可な展覧会によくあるタイプっすね!

こういうのはしっかり撮影しときましょう



余談

 昼食は最寄りのマクドナルドに行ったので特筆すべきことはありません。

 どうしてもチキンナゲット15ピースが食べたかったので……。

 強いて言うなら平日のビジネス街のランチタイム怖い。


 ビジネス街をうろついている最中、一保堂茶舗なる日本茶専門店を発見したので入ってみることにしました。

冷抹茶と道明寺かん

 冷抹茶もさることながら、道明寺かんが凄く美味しかったです。是非自作チャレンジしてみたい。



おわりに

 先日投稿した「日本刀と未来展」と打って変わって「ザ・刀剣鑑賞」な展覧会でした。とはいえ見どころの図解があるんで「正宗十哲展」より解りやすい。

 ライティングは刀剣博物館やトーハクと比べて刃文が見づらいですが、そこはしょうがないですね。

 静嘉堂文庫美術館は小規模とはいえ刀の鑑賞は目と気力を使いますんで、体力ゲージMAXで挑まれるのをおすすめします。


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