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2024秋 note始めます。

 私は季節の節目に新しいことを始めたがるタイプの人間だ。 といっても、その大きさは色々で、新たなダイエットだったり、なんらかの学習だったり… これらは比較的「大それた事」に入るが、使い捨てウェットタイプだった台ふきんを昔ながらのかやふきんにするとか、フライパンを鉄製にするとか、小麦粉を控えてみようと思い立ち、米粉やらトウモロコシ粉やらを買い漁るとか…大概はそんなことだ。

 この2024年の秋に私はnoteを始めてみることにした。 これは私にとっては割と「大それた事」寄りだ。 なんたってアカウントを作成するのだから。(アカウント作成には自分の中で小さなエイッが必要だ)文章の投稿だが、正直私は誰かに自分のココロの内みたいなものを見せるのが得意ではない。特に言葉を添えて自分を表現することが苦手だ、昔から。本当にすごく昔から。近しい人は幼い頃の私を人見知りだったというけど、私的にはそれはちょっと違って、幼い私なりの気概があったように記憶している。

 大人になってから、実家でのアルバム整理中にふと発見した母の育児日記に当時(3歳)のエピソードがあった。母との散歩中、私たちは近所の中年女性に出くわした。よくあるシチュエーションで、当然母は私に「ご挨拶」を促した。

「ごあいさつは?」

私は大人のタイミングで発されるこの言葉が人生の嫌いなワードベスト5に入るくらい嫌だった。(ちなみに40代の今も嫌いだ。流石にもう言われることはないけど)その場にいる人が、自分の「ごあいさつ」を無茶苦茶待ってる空気感も嫌だ。

今じゃなかった…  全然今じゃなかったのに…
 

じゃあいつなのか、それはその時々なのでなんとも言えないが、非常に慎重なタイプだった私は、遠目に知ってる人を見つけた時からあいさつのタイミングをずっと考えてしまうような子どもだった。(故に考えすぎてタイミングを逃すことになるのだが)それなのに…  
「ごあいさつは?」
その一言でまるで私は何も考えていなかった子。「よその人に会ったらこんにちは」を知らない子、になるのだ。母に罪はない、子どもを育てる母親として、まぁ自然な教えを説いていただけのことだ。でもそのごあいさつタイミングに関する憤りの感覚を私は今でもありありと思い出せる。正直、このような場面はその後も何十回と経験することになるからだ。なんなら中学生くだいまで言われてたんじゃないだろうか。

 当然この時も大人たちは私のごあいさつを待ったらしい。(by育児日記)
押し黙る私に助け舟を出してくれたのであろう、その女性は明るく言った。
「あれ〜〜〜?お口がないのかな〜〜?」
次の瞬間、若かりし頃の母がわざわざこの何気ない日を育児日記に記録することになった理由であろう行動に私はでた。つないでいた母の手を離し、一歩前に出た3歳の私は、わざわざ私の目線に合わせて屈んでくれていた女性に自分の口を指さし、静かに、でもはっきりとこう言った。

「  …じゃあ、コレはなんだ 」

脇に抱えてその場から走り去りたい気分だった。と日記には書いてあった。頑張ってきたつもりだったけどしつけを間違えてしまったのかもしれない、とも。

 話が大きく逸れてしまったけど、とりあえずそんな感じになかなか拗らせた子どもだった私も順調に(?)社会で生きていくのに必要なコミュニケーション力を身につけ大人になった。大人も大人、もう中年層だ。結婚して、12歳の娘もいる。私は絵を描くのだが、数年前自身の展示の準備をしていて気づいてしまったことがある。自己紹介文がスラッと書けない。アーティストステートメントが全く書けない。
 アーティストステートメントとは作家自身や作品、モチーフやら制作背景なんかに関する説明文のことで "自分とは" を作品への想いなんかも混じえつつ第3者に言葉で伝えなければならないのである。これがもう、全く書けない。絵を描いたのだからそこに自分の意思は何かしらあったはずなのだが、A4の白紙を前に(私はアナログ派)なーーーんにも出てこないのである。
締切も迫っていたので無理矢理書いたが、なんとなくそれらしくまとめてみただけでそれはもう全く”私”ではなく、誰にも何にも伝わらないだろうなという薄っぺらな文章になってしまった。あれ?私って何にも考えてなかったんじゃない?と思ったら、一生懸命描いた絵も虚無なものに見えてしまい、個展前なのにみぞおちがギンと掴まれたような絶望的な気持ちになってしまった。
 
 これじゃぁいかん!なんでもいいから自分のことを言葉にしてみよう!と思ったのがこのnoteを始めるきっかけになった。何から書けば良いか分からず、プロフィール欄も案の定プチパニックになり、何回も書き直してはやっぱやめるだのなんだの、写真にするのかイラストを入れるのかとか多分わりとどうでもいいことに悶々としながらこぎつけた。一体どうゆう経緯で誰かが読んでくれるのか?と謎のまま此処まできて、そしたらちょっと書き切れて楽しい気分になってきた。(その辺は単純なタイプです)
思ってたのの3倍ぐらい長くなってしまったのだけど、もしここまで読んでくれた人がいたら、本当に、本当にありがとうございます。    
                           2024秋 初投稿


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