夢か現か幻か~補欠繰り上げと父の遠距離介護~
桜の花が舞い上がる道を思い描きながら耐えに耐えた冬。受験生の長女に第一志望の大学から繰り上げ合格の一報が舞い込んだのは、3月最終週のことでした。まさかの出来事に号泣したようです。暫くは信じられませんでした。
共通テストで燃え尽きた娘は合格発表で補欠と判ったその日から、幾日も外出せずに電話を待ちました。たまに犬の散歩にでかけるくらいで殆ど部屋に引きこもり、可哀想なくらい暗くなって行きました。
補欠の順位が1桁前半だっただけに日増しに期待が大きくなり、3月末には滑り止めの大学になんて行きたくない!と宣言し、予備校探しを始めようと話した数時間後の朗報でした。
娘から電話を受けた私はその時、父の介護で地方都市にいました。遡ること1ヶ月前、一人暮らしの父は脳梗塞で入院したのです。
現在も入院生活をする父の介護のため、先月から毎週の新幹線通いが始まりました。
3月は電話が鳴るたびに、父のことか、大学からなのか、心臓に悪く、落ち着かない毎日を送りました。
長女の朗報は、地方にいたので立ち会えませんでしたが、電話の向こうの弾む声は病室の父に何よりの喜びを贈りました。
新幹線で移動するたびに思うのです。未だ2つの事柄は、夢か現か幻か、と。
父の病院の近くに住む妹に、子どもの頃に食べたタヌキケーキをいつか食べたい、と話したところ、忙しい中、見つけて来てくれました。
久しぶりに口にしたバタークリームのねっとりとした甘さが懐かし過ぎて、瞬く間に昭和にタイムスリップ。嬉しい再会でしたが、中年の胃袋には少しだけズシッと来たのでした。
介護は急に始まるのですね。友人達に体だけは気をつけて、と温かいエールをもらい心強いです。決して1人ではない、と思えるからこそ明日からも頑張れます。ありがとう。
新幹線の帰路にて