子どもが「お口ぽかん」にならないための対処法
子どもの口が開いたままになっている「お口ぽかん(口唇閉鎖不全)」は、口呼吸になってしまうため、からだに様々な不調を起こすことで問題になっています。
新潟大学他の研究グループが発表した「口唇閉鎖不全症に関する疫学調査」によると、日本の子どもの約3割が、日常的にお口ぽかんになっていることがわかりました。
今回は子どものお口ぽかんの現状とリスクの解説、お口ぽかんになる原因、あわせてお口ぽかんを防ぐためにおうちでできる対策を紹介します。
お口ぽかんの現状とリスク
「口唇閉鎖不全症に関する疫学調査」によると、日本人の子どもたちのうち30.7%に日常的なお口ぽかんが見られました。
地域差は見られず、3歳児が2割弱なのに対して4歳児は2割強、5.6.7歳児が3割弱、8歳以降徐々に増えていき、12歳では約4割の子どもがお口ぽかんになっていることがわかりました。
また、この調査での質問項目のうち、「唇にしまりがない」「鼻づまりがする」「クチャクチャ音を立てて食べる」などの12項目が、お口ぽかんと関連していることもわかっています。
子どもがお口ぽかんになることで起こりうるリスクとしては、口呼吸になることにより口腔内が乾燥、衛生環境が悪くなり、虫歯や歯周病、口臭などの原因となることや、子どもの歯並びや滑舌、発音などに影響が出ることが指摘されています。
「お口ぽかん」はどうして起こるの?
子どものお口ぽかんが起こってしまう原因としては、一番には舌や口周りの筋力の弱さがあります。
口を閉じておくための舌筋や口輪筋という筋肉がしっかり発達しないと口が閉じられなくなります。
また、上の顎が狭く、鼻が発達しないことにより鼻呼吸が難しくなり、酸素を必要として口を開けてしまう、といったことも原因のひとつになっています。
舌や口周りの筋力が弱くなっていることには、「全体的にやわらかい食べ物を好み、食べたものをよく噛まず飲み物などで流し込む」といった食べ方により、よく噛んで食べなくなっていることが考えられます。
さらに、以前はよく見られていた「口笛を吹く・風車を回す・シャボン玉を吹く・風船などをふくらます」といった、子どもの口を使った遊びが少なくなっていることも、子どもの口周りの筋力低下につながっていると考えられています。
最近ではマスクをつけることが多かったこともあり、息苦しさから口呼吸になったり、マスクで口元を覆われているため、口周りの筋肉があまり動かなくなってしまったりしていることも一因としてあります。
なお、風邪などによる鼻づまりにより、口呼吸になっている場合は気にする必要はありません。
お口ぽかんにならないためにできる、おうちでの対処法
おうちでできる、「お口ぽかん」にならないための対策を紹介します!
① 食べ物、食べ方の工夫をしてみる
するめやこんぶ、バケット、かたいせんべい、干し芋など、噛みごたえのあるものを食べると、咀嚼力をつけるのにも役立ちます。
また、ゆでとうもろこしやリンゴの丸かじり、トマトの丸かじりなど、簡単には食べにくいものを食べてみるのもいいですね(誤飲には気をつけながら)。
スイカやブドウを食べながら、種を出すといったことも、舌の筋肉を鍛えるのにはよさそうです!
② 遊びの中でできることをやってみる
子どものお口ぽかんを防ぐために、口笛を吹く、風車を回す、シャボン玉を吹く、風船などをふくらます、吹き戻し(お祭りなどで売っている、吹いたらびよーんとなるもの)など、口周りの筋肉を使った動作が必要な遊びを普段から取り入れてみるのもおすすめです。
また、梅雨時期のおうち遊びとして、たらした絵の具をストローで吹く「吹き絵」というのも、絵の具がワーっと広がっていくのを楽しめそうです!
③ 口周りや舌の筋肉を鍛える体操をする
あっかんべー運動、あいうべ体操、ウーアー体操、かみかみゴクゴク体操など、口周りや舌の筋肉を鍛える体操をすることは、子どものお口ぽかん対策にもおすすめです!
ほかにも、検索するとたくさん出てくると思います。
子どもだけでなく、大人もマスク生活でたるんでしまった部分もあるかと思いますので、ぜひいっしょにやってみましょう。
まとめ
・子どものお口ぽかんの現状とリスクについて、お口ぽかんになる原因、お口ぽかんを防ぐための対策を紹介しました
・食べ物や食べ方の工夫、遊びのなかでできること、口周りや舌の筋肉を鍛える体操などで、子どものお口ぽかん対策しましょう
・大人もぜひいっしょにやってみましょう!
子どもの“お口ぽかん”の有病率を明らかに -全国疫学調査からみえた現代の新たな疾病- (niigata-u.ac.jp)
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