ネプリ『右脳水星ネプリ・夏』
『右脳水星ネプリ・夏』を拝読しました。
好きな歌を一首ずつ引いていきます。
アイスのシェアをコンビニでするなんてとっても素敵ですよね。夏~!って感じがします。
でもその出来事は、すべて夢の中の出来事だと読みました。切ない。
またシェアする夢をみたいのではなく、自分ひとりでいいからあのコンビニに「辿り着きたい」という、無理かもしれないけれど希望を捨てられない、すがってしまう感じが好きです。
「硝子がぬるく」とあるので、主体は窓ガラスに内側から触って外を見ていると読みました。
雨の日にガラス越しに見る景色は幻想的ですよね。
自分の、もしくは誰かの涙を受け止めたことのあるてのひら。
あんなに感情を動かされたのに、今では実感がない、という寂しさも読み取れるなぁと思いました。
主体にとっての氷河期はいつなのでしょうね。
生き抜くことすら危うかった時期が、主体にはあったのだろうと想像します。
父の声は、励ましの声なのか、叱責する声なのか。
氷河期時代を構成している声という事は、きっと後者なのだろうと思いました。
上の句の比喩が好きです。
コーンは食べていくにつれて先が細くなっていきます。
段々食べ応えがなくなっていくとも言えるかもしれませんね。
終わりに向かって収束していく感じを、「寓話」と表現したのかなぁと思いました。
「愛に四つ角をとられた盤面」が強烈な印象を残すと思いました。
もうだめだ、観念するしかない…!という状況ですよね。
「溶けのこる」なので、まだかろうじて存在していますが、ほとんど溶けてしまっている。
相手は、燃えさかる太陽のように恐ろしいほど愛してくる人だったのだろうと思いました。
思わず納得したくなる温度感が好きな一首です。
でも、待ってくださいね。
海が余ってるってなんでしょうかね。
しかも主体はタイムトラベラーでしょうか?
謎ばかりなのに惹かれるお歌だなぁと思いました。
儀式めいた雰囲気に惹かれる一首です。
「ひとりの帰路」ということは、きつねは置いてきてしまうのでしょうか。
洞窟には危険な「何か」がいて、きつねをそれに捧げようとしているのかなと想像しました。
なぜ主体は行かなければいけないのでしょう。
謎ですね。
ああ、素敵だなぁと思った一首です。
「星空をなぞる」ということは、あなたは星座に詳しい人なのでしょう。
そんなあなたを尊く思っている主体。
「ずっとずっと」の幼くも感じるリフレインが盲目的です。
音楽に例えているのは、きっと主体にとって最上級の褒め言葉なのだろうなぁと思いました。
このお歌の主役は教室です。
昼間はじりじりと日が当たっていた教室も、日が落ちて、「眺める」ことができるくらいに落ち着いていると読みました。
教室が景をコントロールしているようで面白いと思いました。
「金魚鉢の青い縁取り」を目で追っているのか、それとも指でなぞっているのか。
波打つように上下する縁取りのリズムと、「しんしんと」という静かに続いていくオノマトペ。
「こころ」が「からだ」を引き止めたのは、一度や二度ではなく、何度も何度もあったのだと想像しました。