短歌と占いネプリ2024秋
短歌のネプリ「短歌と占いネプリ2024秋」を拝読しました。
はゆき咲くらさんが取りまとめており、歌人と占い師26人が参加しています(私も参加させて頂きました!)。
印象に残った歌を三首引かせて頂きます。
「シルクスイート」は、さつまいもの品種です。
焼き芋にしたときの絹のように滑らかな食感と甘さで話題になり、人気が高い品種なのだそうです。
冷蔵庫に買った覚えのないシルクスイートが入っていました。
「わたし」と「あなた」は同居しているのだと読みました。
「秋といえばさつまいもだよね」というのが二人の共通認識なのかもしれません。
今年は「あなた」が買ってきたシルクスイートを、恐らく焼き芋にして二人で食べます。
今までもどちらかが買ってきて、秋の始まりを感じてきました。
きっと、これからもそうやって二人で暮らしていきます。
ほっこりとあたたまるお歌だと思いました。
秋って、涼しくなり、暗くなるのも早くなり、憂いを帯びた気持ちにさせますよね。
もう夏は終わったんだなぁと感慨深い気分に浸りそうになる主体ですが、はたと気づきます。
夏に特別なできごとがあったわけじゃないのに、いい感じに終わる雰囲気に流されている気がする…と。
冷静さも残しつつ、秋の澄んだ夜空を見上げて、やっぱり少しセンチメンタルな気持ちになる主体なのでした。
「チョコレートコスモス」は、チョコレートを思わせる香りをもつ、シックな花色の多年草だそうです。
下の句の言い回しが不思議で、印象に残りました。
「色よりも香りは過去に親しい」とは?
感覚として、何かを思い出す時は、「色を見て」よりも、「香りを感じて」思い出す方が多い気がします。
カレーの匂いで実家の食卓を思い出したり。
線香の匂いで祖父母の家を思い出したり。
甘い香水の香りでもう会えない人を思い出したり。
「過去」を思い出すことは、懐かしい気持ちにもさせますが、寂しい気持ちにもさせるのではないでしょうか。
チョコレートコスモスの甘い香りで、主体は何を、もしくは誰を、思い浮かべたのでしょうね。