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子供撮影スタジオ、血の修行編

写真修行って、こんな感じでしたっけ?

「子供撮影スタジオで働く」

それは、可愛い子供を撮って、おしゃれな写真を仕上げて、親御さんに褒められる…そんなホワイトな仕事だと思っていた。

──現実は 「戦場」 だった。

・カメラを持ったまま全力疾走
・子供のテンションを上げるために踊る(踊る)
・親と会話しつつ、子供に集中しつつ、ライティングを考える(もはや分身の術)
・1日5組以上撮影し、終わった頃には魂が抜けている

ある日、3件目の撮影が終わった瞬間、突然 鼻血が噴き出た。
鏡を見ると、そこには 「カメラを持った修行僧」 が映っていた。

「…もしかして、このまま続けたら悟りを開くのでは?」
僕はそう思いながら、そっとティッシュを鼻に詰めた。


子供撮影スタジオ、それはカメラマンの総合格闘技

子供撮影スタジオの仕事は、カメラマンの "強制レベル上げモード" だ。
逃げ場はない。すべてが一瞬で鍛えられる。

1. 子供を笑わせるスキル=人間力バグる

子供は超高性能なセンサーを持っている。

「この大人、安全か?」 を 0.5秒で判断する。
つまり 「親と仲良くなる」 これが一番の近道。

✅ まず親と会話して安心感を与える
✅ 親が笑えば、子供も「この人は安全」と判断する
✅ そして突然変顔する(最大の奥義)

この経験を積むと、 「大人相手のコミュ力」 も自然と上がる。
初対面の人とでも、 「とりあえず変顔したらいけるのでは?」 という謎の自信がつく。(やりすぎ注意)


2. 被写体との距離感=悟る

子供は繊細。距離を間違えると、一瞬で心のシャッターが降りる。

✅ 近すぎる → 「こわっ」と言われる(心が折れる)
✅ 遠すぎる → 「あ、この人どうでもいいや」となる(哀しみ)
✅ ちょうどいい距離 → 「気がついたら懐かれてる」

この距離感を会得すると、ポートレートでも生きる。
「人がリラックスする距離」が感覚でわかるようになる。

結果: 「カメラマンなのに、どこにいても違和感がない人間」 になる。(忍者か?)


3. ライティング力がバケモノ級に成長する

子供撮影スタジオには、赤ちゃんからおじいちゃんまで いろんな人がやってくる。
しかも、じっとしてくれないし、照明のリクエストも毎回違う。

✅ じっとしてない
✅ 動きながらポーズをとる
✅ 突然「これやりたくない」と言い出す(理不尽)

そんなカオスな現場で鍛えられるのは、 「アドリブライティング力」 だ。

・モノブロックやLEDの位置をサッと変える
・自然光を活かせる場所を即座に見つける
・影が綺麗に出るポジションを一瞬で決める

ここを乗り越えたら、もう 「光を読む力」 が異常に鍛えられる。
次第に 「撮影現場に着いた瞬間、光の流れが見える」 みたいな仙人みたいな状態になる。


4. 現像スピードとセレクト力が爆上がりする

子供撮影スタジオは とにかく仕事量が多い。
1日何組も撮影して、その場でセレクトして、現像して、納品する。

「瞬時に良いカットを選ぶ力」が身につく
RAW現像スピードが最速になる
レタッチの手数が減る(撮る段階で良くなる)

1日1枚の作品をじっくり仕上げるのもいいけど、
大量の写真を効率よく処理するスキルは、プロとして最強の武器になる。
特に繁忙期では1000枚近い写真を2時間程度でセレクト、現像のプロセスが必要になる。
そこに一般業務も追加されるのでもはやダンシングオールナイトだ。


5. 体育会系すぎて、もはや修行僧

子供撮影スタジオは、まじで体力勝負。
僕は1日 5件連続で撮影したら鼻血が出た。

カメラを構えたまま走る
子供をあやしながらシャッターを切る
親と会話しながらポージングを指示する

これを1日に何十回も繰り返す。
カメラマンとしての体力はもちろん、色々な意味で精神力も鍛えられる。
ぶっちゃけると場所に寄るけど環境によっては普通に罵詈雑言が飛ぶ。
「アットホームで明るい現場」みたいな終わってる現実を見ることもある。
この経験があると、どんな撮影でも 「あの時に比べればマシ」 と思えるようになる。


6. 「写真を考え続ける」生活ができる

子供撮影スタジオにいると 常にカメラを触り、常に写真を考える生活 になる。
これ、めちゃくちゃ貴重。

仕事しながら写真の基礎が鍛えられる
写真の上手い人と毎日一緒に働ける
機材にもめちゃくちゃ詳しくなる

その結果、 「1年経つ頃には写真が生活の一部になってる」
気づいたら、 「目を閉じても構図が見える」 みたいな状態になる。


7. ただし給料は安い。だから独立推奨。

スタジオ勤務は修行には最高だけど、給料は安い。
時給換算するとえっぐいことになる。
慈善事業か?ってなり、そのうち慈悲の心が目覚め人に優しくなれる。
技術が身についたら、独立するのがオススメ。

カメラのスキルを鍛えるには最適
でもずっと続けると収入が厳しい
独立すれば、ここで鍛えたスキルが爆発する

学べるものを学んだら、次のステージへ進む準備をしよう。

こんなに働いてこれだけ!?みたいな時がある。人間だもの。

8. 落ちこぼれだったから見つけた道

正直、僕は最初からうまくいったわけじゃない。
むしろ落ちこぼれで、周りに追いつけなくて悩んでた。

でも、ある時 「動画編集の席が空いてる」 ことに気づいた。
そこで、毎日 8時間ぶっ通しで先輩カメラマンの写真を見続けた
どんな声掛けをしてるのか? どんな距離感で撮ってるのか? それを徹底的にパクった。

もちろん、結果も出さなきゃいけないので、 1日に8〜10件 くらい作った。
(ちなみに、以前の制作スピードは 1日4件くらいで焦げ付いていた)

つまり、 「仕事の中に学びの環境を作る」 ことで、落ちこぼれでも巻き返せることを知った。


まとめ:子供撮影スタジオは、カメラマンの総合格闘技

「カメラマンになりたいけど、どこで修行すればいい?」
と聞かれたら、僕は 「子供撮影スタジオに行け!」 と答える。

コミュ力が異次元レベルになる
被写体との距離感を学べる
ライティングの引き出しが増える
現像スピード&セレクト力が爆上がり
体力&精神力が鍛えられる
常に写真を考え続ける生活ができる
ただし給料は安いので、技術をつけたら独立推奨

ここで 1年修行 したら、マジで別人になる。
半年でもいい。 一回、鼻血が出るまでやってみよう。

カメラマンになりたい?
まずは 「鼻血を出しに行こう」
(あくまで個人の感想です)

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杢璃/Mokuli
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