2025年の初彫り・初摺り
新年をつい先日に迎えたはずが、瞬く間に1月終盤戦……。
木版画作家としては、今月11日から地元の喫茶店で作品展示の機会を頂戴し、ありがたい2025年のスタートとなっております。
さて、今回のテーマは「初彫り」と「初摺り」です……タイトルのままですね。
初彫り
本年の初彫りは、僕の代表シリーズ(自称)である「京めぐり」の新作です。
鹿苑寺・平等院鳳凰堂・保津川下りに次ぐ、第4作目の京風景は「八坂の塔」。
町屋が両サイドに並び、その中央に八坂の塔が聳立する、あの王道撮影スポットの構図です。
実を言うと、八坂の塔を題材にしようと考えたのは、上記の3作品よりも早いタイミングでした。
おそらく、最初の構想から5年ほどの月日が流れています(普通に考えて長すぎる)。
まあ、より良い彫りが出来るように、寝かせて熟成させたと思えば……いやカレーか。
そんな一人ノリツッコミを実際に脳内で行いながら、ようやく下絵を制作し、現在は骨(輪郭線)の彫りに突入しています。
当シリーズの中では少し風合いの違った作品になる気がします(本音:そうは言っていますが完成時期どころか配色も未定です🫠)。
初摺り
さて、彫りの次は摺りのお話ですが、実はこちらも「京めぐり」の作品です。
先ほども述べた「保津川下り」の在庫摺りをしました。
僕の木版画人生の中で、一つの集大成のような作品で、180のエディション(限定枚数)にしています。
急流を下る舟を見守るように、満開の桜花が見佇む構図です。
ただ、僕自身のこだわりは「緑」の表現です。
くすんだ緑・青みがかった緑・深く暗い緑。
「緑」だけで3枚の版を設け、木々の陰影を違和感が湧出しないように表現しています。
その分、摺りの難しさも集大成……10枚摺って5枚成功したら好結果(自分に甘いだけなのかもしれませんが)です。
ただ、摺りの幕開けをこの作品で飾れたことは、特別な感情がありました。
作品をお求め頂き、本当にありがたい限りです。
——後記——
実は、この記事を書いている時に一つ気付いたことがありました。
今年の初摺りは「保津川下り」じゃない、と。
年末のインフル罹患。
何回か他記事で触れましたが、実はその影響で年賀状の摺りを元日に行っていたのです。
つまり、2025年の真の初摺りは「年賀状」でした。ネタを思いついた勢いで記事を書くのは良くないですね🤔
ご拝読、ありがとうございました。