BFC4落選作 俳句連作『over the rainbow』
『over the rainbow』
田中目八
事故るときスローモーシヨン蝶生る
春の雷二度と振り向かない背中
春の虹のろまな俺はまた獨り
スーサイドあいつの胸にゐた仔猫
ヤンキーに憧れただけのてふてふさ
學校の塀飛び越えてアイスコーヒ
こどもの日親父の煙草くすねてよ
生きてたらぶん毆つてやつたさ父の日は
太宰太宰太宰の忌日に先公毆る
ロケツト花火の蛙みたいにしてやらうか
やりたいことやつて不良なら涼風
夏瘦の銳くなつて「…あ゛?!」「あ゛あ゛!?」
晚夏光瞳に宿るものもなく
勝烏あいつの背中に觸れさうで
秋空のかたちに收まつてやるもんかよ
殘る蝉みんなまともになつてゆく
テメーらはおててつないで鵙の贄
室の花ぬり繪みたいになかよくやれや
裸木と俺とお前くらいだつた
ポリに追はれる俺が狼だから
あいつのテールランプみてえな寒落暉
獨りで走つて獨りで事故る村時雨
童貞聖マリア無原罪の御孕りの祝日すまねえ、お袋…
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