一月の俳句など
孫運ぶじいじばあばの淑気かな
友なるは檸檬のゆびを嗅ぎあうて
一行をおろそかにせず百舌の贄
一行のゆるぎなくあり百舌の贄
一行へ刺したるもずの磔刑餌
↓推敲案
行間にもずの早贄ありにけり
人日やわれより他人多かりし
朝早きわれの七種粥の夜
はつばなし祝祭広場を見下ろして
淑気満つ大階段で珈琲を
初仕事終えて観るアキ・カウリスマキ
豚玉とモダンと友と春永し
御慶なくいつも通りを遊びけり
歓楽を得てはうじ茶と甘味かな
初売を抜けて一日の遊初
コロツケのコロス冬青空ほどけ
濡石の映すふたりや善哉忌
冬の汗ダークマターを運びけり
書けぬなら代りに書かう蚯蚓鳴く
たま風や茶壷の肌のにおひたつ
蝋梅のレモンケーキの灯かな
中華まん二つをひとり春を待つ
初雪のこけら落としとなりにけり
ナマステと云うて初雪へとをどる
ネパールの子の眼はつゆき余さずや
寒水やその名はマッツ・ミケルセン
凍蝶のまぶたをマッツ・ミケルセン
誰からもツッコミなくて寒苺
カツサンド提げて来たれり時雨なか
寒菊やどくろの派手に横たふる
わらべらの覗きたがるや寒椿
帰へりしと思ふが待ちて冬椿
トーストにバターのすじめ春隣
パーカーの寝るに不向やまみ狸
四ツ橋と四ツ谷の駅のどちらにも置き忘れたるよつ葉牛乳
宮線を添ふ四ツ橋と四ツ谷かな
蟹玉のわがままゆるすうつた姫
水汲めばよりくる猫や春まぢか
春めくや茶虎のまるき盛りあがり
あんぱんの中や仔猫のぴーすぴす
料峭の剣道着こそ真白なれ
春寒のカヌレ・ド・ボルドーいとをかし
われからの悪戯ごころカヌレ噛む
クローネのやさしくなりぬ雲雀東風
春光の赤児なるコロツケ揚げたて
↓推敲
赤児なるコロツケ春の光より
春光の産着をまとひコロツケよ