書き出しSF小説賞(テーマAIと猫)
高度に發達したAIは猫と變はらない、さう云はれるやうになつてから悠久。
曾ての神神のやうに猫もまた我我の世界から去つてしまつた。
しかし彼らはこの星から完全に去つたわけではなかつた。
我我が手放した世界の、その外側から再び歸つてきたのだ。
鷄の身體と蛇の尾をその身に得て……。
父さんだよ……とそのAIは云つた。
產まれたばかりのAIの溫もりの上に鎭座したるは我が家の猫。の溫もりにすくすくと育ち今では立派な洗濯機。
親たる猫をその大口でもつて飮み込みぶうーん、ごとごとごと……。
私は猫です……とそのAIは云つた。
さういへば親父は猫嫌ひだつたな。