[report]『MOTコレクション歩く、赴く、移動する 1923→2020』東京都現代美術館
開催情報
『MOTコレクション 歩く、赴く、移動する 1923→2020
特集展示 横尾忠則―水のように
生誕100年 サム・フランシス』
場所:東京都現代美術館(東京都江東区)
開催日:2023.12.2.sat-2024.3.10.sun
入館料:500円(一般)※ぐるっとパスで入場可
※「Welcome Youth 2024」対象(3.1.fri~4.7.sun)
内容:1F 「歩く、赴く、移動する」を切り口としたコレクション展
3F 特集展示:横尾忠則(水の表現に着目)、サム・フランシス
↓東京都現代美術館 公式サイト
出品作家
鹿子木孟郎(1874-1941)
画家。柳瀬正夢(1900-1945)
美術家。画家。デザイナー。藤牧義夫(1911-1935失踪)
版画家。松本竣介(1912-1948)
洋画家。桂ゆき(1913-1991)
洋画家。女性芸術家のパイオニア。朝倉摂(1922-)
画家。舞台芸術家。池田龍雄(1928-2020)
画家。尾藤豊(1926-1998)
洋画家。前衛美術会。中村宏(1932-)
画家。青美連に参加。中野淳(1925-)
油絵画家。自由美術協会。麻生知子(ワタリドリ計画)(1982-)
武内明子(ワタリドリ計画)(1983-)
画家。クサナギシンペイ(1973-)
画家。書籍の装丁画を多く手がける。清澄白河周辺を舞台とした宮本輝の小説「水のかたち」の挿絵を手がけた。光島貴之(1954-)
美術家。鍼灸師。久保田成子(1937-2015)
美術家。映像作家。リチャード・ロング(1945-)イギリス
彫刻家。美術家。ランド・アートの代表的な作家。石川直樹(1977-)
写真家。栗田宏一(1962-)
現代アーティスト。日本全国の土を採取、展示。オラファー・エリアソン(1967-)デンマーク
芸術家。末松正樹(1908-1997)
洋画家。ノイエ・タンツに魅せられ渡欧。投獄→1年半軟禁された後、帰国。福田尚代(1967-)
書物や郵便物などの素材に、言葉や文字にまつわる作品を制作。サム・フランシス(1923-1994)アメリカ
画家。ジェニファー・バートレット(1941-2022)アメリカ
アーティスト。サンドロ・キア(1946-)イタリア
画家。アンディ・ウォーホル(1928-1987)アメリカ
画家。版画家。芸術家。横尾忠則(1936-)
美術家。グラフィックデザイナー。版画家。作家。宮島 達男(1957-)
現代美術家。
単語(模索中)
【ワタリドリ計画】渡り鳥が暖かい場所と餌を求めて飛んでいくように、麻生知子と武内明子が展示場所と作品の題材を求めて日本全国を飛んでいくアートプロジェクト
【前衛美術会】1947年結成の左翼的な美術団体。美術文化協会より分かれた。
【小河内村文化工作隊】→山村工作隊?
【山村工作隊】1950年代前半に日本共産党が指導した武装闘争の一形態
【青年美術家連合(青美連)】1953結成
【自由美術協会】1937年、長谷川三郎を中心に、浜口陽三、村井正誠、矢橋六郎、山口薫、瑛九らが結成。
【ノイエ・タンツ】第一次世界大戦後に同一で生まれた前衛舞踊
【新表現主義】ミニマル・アートやコンセプチュアル・アートへの反動から復活した、大画面に向かって肉体的に絵筆を揮う、感情的で具体的な表現。
特徴として、神話や歴史の主題、美術史からの引用、コラージュ的な構成、複数の曖昧な時空間の混在が認められる。
章構成覚書
1F
東京を歩く
-関東大震災から第二次世界大戦後までの東京の風景
鹿子木孟郎:関東大震災時のスケッチ
柳瀬正夢:スケッチ
藤牧義夫:隅田川両岸画巻 No.2、No.3、版画作品
松木竣介:デッサン
桂ゆき:スケッチ
朝倉摂:スケッチ現場に赴く
-戦後日本において政治的/社会的な事象の現場に赴き、それを取材して描く「ルポルタージュ絵画」と呼ばれる表現を見せた作家
1950 朝鮮戦争
1951 血のメーデー
米軍基地の電源を供給するとされたダム建設←小河内村文化工作隊(反対を支援)
在日米軍直轄の兵器工場(PD工場)
池田龍雄《網本》
尾藤豊《ダム》清澄白河を歩く
-美術館が建つ地域周辺を歩いた作家たち
中野淳「下町シリーズ」
「汚濁した川」に「惨めな戦後」を見出しつつ、「おさないころの清らかな追想」を重ねる
「ワタリドリ計画」
光島貴之 「手ざわりの冒険」…釘世界を歩き、移動する
-1960-70年代および現代において、世界を旅しながら制作する作家たちの作品
久保田成子「ブロークン・ダイアリー」
石川直樹
リチャード・ロング
栗田宏一《POYA DAY》満月の小石拾い108夜移動としての作品
-作家の手や体を介さず、移動=輸送そのものを記録
オラファー・エリアソン《クリティカルゾーンの記録》想像/創造の歩みと飛翔
-作家たちの想像/創造の歩み
末松正樹 軟禁中に描かれたデッサン
福田尚代 刺繍された文庫本
3F
生誕100年 サム・フランシス
1944 陸軍航空隊の飛行訓練中の事故により脊髄結核を患う
入院中、セラピーとして水彩画を描き始める
(フランシス)「自分は本当は、飛んだり浮かんだりしていたいんだけど、重力というものが自分を縛っているからできない。絵を描くことはそれから解放される唯一の方法だ」横尾忠則のゆかりの作家たち
ジェニファー・バートレット 不死鳥
サンドロ・キア 「新表現主義」
アンディ・ウォーホル 4枚1組の写真特集展示 横尾忠則ー水のように
「水」の表現に注目して展示
宮島達男《それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く》
関連書籍
『水のかたち』上・下
宮本輝(著)
集英社
ISBN:9784087714692 / 9784087714708『藤牧義夫眞僞』(絶版)
大谷芳久 (著)
学藝書院
ISBN:9784904524022『君は隅田川に消えたのか -藤牧義夫と版画の虚実』
駒村 吉重 (著)
講談社
ISBN: 9784062168786
出版社品切、重版未定。電子書籍あり。
関連サイト
↓東京都現代美術館サイト内の今回の展覧会ページ
ページ内のリンクから出品リストやガイドスタッフのつぶやきなどが読める
↓「ほぼ日刊イトイ新聞」の「常設展へ行こう!014」で、今回のコレクション展が取り上げられています。
↓山田五郎氏YouTube 藤牧義夫に関する動画
↓note「美術館とお寺と猫」さんの藤牧義夫生誕110周年展聖地巡礼レポート
↓note「tsnd」さん藤牧義夫講座
↓note「俗語半解」さんの藤牧義夫に関する覚書
感想
パンフレットとチラシのクオリティ高いですね。
パンフレットは常設展入った入り口に置いてあります。(無料)
フルカラーで章解説文と出品作品の中から主だったものが紹介されていて、ミニ図録といった感じ。ありがたい。
チラシ…は…これ、チラシって言っていいのかな?
薄めのボール紙みたいな紙で、凝った形。謎にキリトリ線も入っています。
捨てがたいけど、どうやって保管したものか…
さて、ワタクシの本日のメインディッシュ、藤牧義夫の《隅田川両岸画巻》です。1巻の長さは約16メートル。
全4巻のうち、No.2とNo.3が展示されています。
これは、とても楽しい!!!
白描画で、空と影の表現がないのですよね。
時の止まった隅田川両岸を幽体になって駆け抜けていくような感覚。
遊園地のアトラクションみたい。
いや〜、楽しい!他の巻も見たい!
ここにあるのはNo.2とNo.3。
東京都現代美術館は4巻中3巻を所蔵。
では残る1巻はどこにあるのだろう?
「美術館とお寺と猫」さんが、noteに記録なさっていました。
4巻目は館林にあるのですね。
企画展とかでないと、全巻揃っては見られなさそう。
次の生誕120周年は遠いなあ…館林も…
聖地巡礼してみたい気もしますが、できれば東京都現代美術館か鎌倉近代美術館に巡回して欲しい。
《隅田川両岸画巻》は、4月6日-7月7日開催の常設展にも引き続き展示されるようです。
《隅田川両岸画巻》に熱くなりすぎました。
後はピンポイントで。
3F サム・フランシス
3階に上がって最初の部屋の4面に、1枚ずつサム・フランシスの大きな絵が展示されています。
こんなに大きな絵に4面囲まれていても圧迫感がないのは、絵に透明感があるからでしょうか?
真ん中にベンチがあるので、座ってのんびり鑑賞できます。
ちなみに3階上がった隅っこのTVで、巻いてしまってあるこの絵を、広げて展示しようとしている作業の映像が流れています。
…すっごい力仕事で大変そう。
しまうのも大変そう。お疲れ様です。ありがとうございます。
このあと、横尾忠則特集へと続き、最後は宮島達男《それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く》とのコラボ!
赤い電光掲示板に照らされた《意思の彷徨》《SELECTED POSTERS 116》《TADANORI YOKOO》が鑑賞できます。
こんなふうに宮島達男作品が映り込むのもかっこいい。