地球の今 私たちの知っておくべきこと
ハワイのキラウェア火山やアリューシャン列島、さらに国内の火山の噴火、そして日々の地震など、自然災害に対する懸念が高まってきました。
そのため、少し投稿のスケジュールを変更して、自然災害・防災についてのマガジンを立ち上げることにしました。
「文明と地図」「美味しいコーヒー」シリーズについては、こちらの記事と並行して書いていきます。(「文明と地図」シリーズは当初予定より長編になりそうなので、気長にお付き合いください)
私は、某大学で地理学を専攻しました。分野は自然地理学、そして防災。
地理学で防災?と思うかもしれませんが、地形や郷土史を読んで自然災害の検証と予想をしたり、GIS(地理情報システム)を駆使してハザードマップを作ったりと、地理学は防災と深い関連性があります。
そして卒業後「防災士」の資格を取得し、土地調査・環境・防災コンサルの会社に在籍しておりました。さらに、ゼネコン関係のお仕事を通して、自然災害真っただ中の場所に調査や復旧のお手伝いにお伺いこともあります。
それらの経験を生かして、自然災害や防災に関する知識やノウハウをお伝えしたいと思います。自然災害から自分の命・大切な人を守りましょう!
では、さっそくですが…
まずはこちらの動画をご覧ください。
地球は、半熟卵のような構造をしています。
表面は「地殻」(硬い岩盤) →殻
ただし、一枚の殻ではなくバリバリに割れています。
画像はWikipediaからの引用です(一部加工)。
その一枚一枚をプレートといいます。
その下に「マントル」(ドロドロに溶けた高温の岩石) →白身
そして中心には「核」(巨大・超高温の鉄の塊) →黄身
です。
上の動画のように、地球内部では、マントルが熱による対流を起こしています。そしてマントルが流れる力は、プレートを動かしています。
さらに、プレート同士は、その動く方向によってぶつかったり、裂けたり、ずれてこすれたりしています。
日本列島は4枚(ユーラシア・北米・太平洋・フィリピン海)のプレートがぶつかり合う場所にある、世界でもまれな場所です。
画像は気象庁のホームページからの引用です。
プレートどうしが接触するところ(プレート境界)では、地震や火山活動が多く発生します。
プレート同士がぶつかる、裂ける、ずれるのうち、どの接触をしているかで、起きやすい災害は異なります。
・ぶつかる →巨大地震・大噴火が頻発
・裂ける →噴火が発生しやすい
・ずれる →大地震が発生しやすい
「4枚のプレートがぶつかりあう」日本列島に、大地震や火山が多い理由がおわかりいただけたでしょうか。
実際、
世界で発生する地震の10~15%
マグニチュード6の以上の大きな地震に限れば、実に20%
は日本で起きており、
世界の1500ある活火山のおよそ1割は日本列島にあります。
下の画像は、世界のやや大きめの地震や活火山の分布です。
やや大きめな地震の分布(気象庁ホームページより)
活火山の分布(内閣府ホームーページより)
また、下の映像は、東日本大震災前後に世界で発生した地震とその大きさを、時間を追ってあらわしたものです。
https://www.youtube.com/watch?v=zNGqDRElI44
これを見ると、いかに日本に地震や火山が集中しているかがわかります。
実は、地震には、ある程度の周期性があります。
「この地震は何年ごとくらいに起きる」ということは、わかってきています。
実は、日本列島で発生が予想される巨大地震(東京湾直下・東南海トラフ・南海トラフ)については、発生の周期を迎えるか、数年超えています。
つまり、「いつ起きてもおかしくない」というのが実情です。
ただ、それは1時間後かもしれませんし、数年後の可能性もあります。
地球の歴史の数年は、我々の感覚のコンマ数秒よりはるかに小さい。誤差の範囲です(地球の歴史は45億年)。
ただし、いつか必ず起きます。
ただ、地震予知の技術は確立されていないため、「いつ起きる」という正確な予想はまだ不可能です。あくまでも「確率が高い・低い・上がった・下がった」という範囲までしか予測はできません。
緊急地震速報は、既に発生した地震の「揺れが小さいうちに備える」ための警報です。発生前に警報を出すことはできません。
そして最近、ハワイのキラウェア火山の噴火について大きなニュースになっています。
キラウェア火山が噴火すること自体は別に珍しいことではなく、日本の桜島と同じように常に活動状態にある火山です。
では、なぜキラウェアの今回の噴火が、より大きな災害に結びつく可能性があると考えるのか。
実は、キラウェアの噴火は上で書いたものとは少し違う原因で起きています。キラウェア火山は、「プレートの境目」ではなく、「太平洋プレートの上にある」のです。
画像はWikipediaからの引用です(一部加工)。
先ほど、「火山はプレート境界にあることが多い」と言いましたが、ハワイ島はその例に当てはまらない存在であることがわかります。
では、ハワイ島はなぜ噴火するのか…。
それは、ハワイ島は「ホットプルーム」の真上にある火山島だからです。
画像はWikipediaからの引用です。
上の図を日本付近に当てはめて説明すると、
日本の東の沖(海溝)で沈み込んだプレートが、東アジアの地下で「メガリス」という巨大な塊として、地球の中心に向かって落ち込んでいく(コールドプルーム)。
落ち込んだ「メガリス」と入れ替わるように、超高温のマントルの塊が地球の中心から地殻に向かって吹きあがっていく(ホットプルーム)
その一部が、地殻を突き破って巨大な海底火山を作る(ホットスポット)
ということになります。
この話、実はかなり恐ろしい話です。
つまり、地球表面近くに地球内部の超高温の物質が上昇してくるわけです。
通常、この超高温のホットプルームは、大半が地下670km付近で止まり、地殻まで到達するのはごく一部です。
しかしごくまれに、ホットプルームが直接地表に到達し、巨大噴火(破局噴火)をはるかに上回る超巨大噴火を引き起こすことがあります。
過去に超巨大噴火を引き起こした場所は、
・オリトンジャワ海台(南太平洋)
※地球史上最大。アトランティスを滅ぼしたという伝説。
・中央シベリア高原(ロシア)
※生物の9割死滅、史上最大の大絶滅。
・イエローストーン(アメリカ)
・デカン高原(インド)
などです。
このレベルの噴火は、数千年~1億年を超える周期があります。
そして、被害は「地球の気温が数度下がり、大量絶滅が発生」というレベルです。
現在、イエローストーンには、地球史上最大の噴火とされるオリトンジャワ海台の噴火を上回る量のマグマが蓄積されています。
そして、キラウェア火山の噴火が激しくなっている…。
ここまで読まれた皆さんは、すでに気が付いていらっしゃるでしょうか。
「ちょっとまずいレベルの噴火がくるのでは?」
ということに。
地球は、ホットプルームの激しい上昇により、冬眠から目覚めた動物のように「活動期」に突入しています。
「活動期」には、巨大地震や大規模な火山噴火が頻発します。そして、この活動期は短期間で終わるものではありません。
そして、破局噴火の発生も、可能性としては否定できません。
火山爆発指数(VEI)は1~8までありますが、VEI8の噴火自体は数万年に1度のペースで発生しています。
(直近はニュージーランドのタウポで、26500年前です)
先述のイエローストーンのVEI8レベルの噴火周期は約60万年ですが、前回の噴火から既に64万年経過しています。
VEI8は、「想像を絶する」という大雑把な指標で、オリトンジャワ海台形成レベル(数千万年に1回)から鬼界カルデラ破局噴火(数万年に1回)まで含んでいます。
鬼界カルデラ破局噴火も九州南部の縄文文化を根絶やしにした恐るべき噴火ですが、オリトンジャワに比べたらかわいく思えるレベルです。
オリトンジャワレベルの噴火が来たら人類は滅亡しかねませんが、鬼界カルデラレベルの噴火でも大きな被害が出ることは間違いありません。
ちなみに今、鬼界カルデラ破局噴火が発生した場合の被害は、死者が1億人という試算まで飛び出しています。
日本では、カルデラ破局噴火はおよそ6000年に1度の割合で起きています。
ところが、最後の破局噴火から既に7300年が経過しているのです。
火山活動が活発になるということは、地下のマントルやマグマの動きが活発になるということです。
先述のようにそれは、大地震を誘発します。なぜなら地震は、「岩盤が何らかの理由で動き、ずれたり割れたりした瞬間に発生するもの」だからです。地下活動の活発化は、地震発生の誘因になります。
実際に、火山活動と地震発生には関連性があります。
世界では、M9に近いような巨大地震が発生すると「必ず」近隣の火山が大噴火を起こしています。
日本でも過去に、
東北沖 → 東京湾直下 → 東南海・南海トラフ
という周期でおよそ10年ごとに地震が発生しているのですが、
それに近い時期に富士山や伊豆・小笠原諸島が噴火しています。
東日本大震災(2011年)を考えると…ちょっと気になりませんか?
残念ながら、これが私たちが今、直面している現実です。
巨大災害ばかりを取り上げましたが、周囲を見渡せば、ゲリラ豪雨、竜巻をはじめ、大小問わず自然災害に襲われるリスクは常にあり、しかもリスクは増大の一途をたどっています。
この現実から目を背けず、心構えを持ち、必要な備えをし、
常に意識の片隅に「備える」気持ちを持ち続けることが大切です。
怖がるだけでは意味がありません。
知ったからには、いかに備え、いかに守るか考えましょう。
そしてそれを実行すべき時は…今だと思いませんか?
次回の更新からは、
・災害に対する心構え
・どのように、何を備えるべきか
・実際に災害が起きた時、どう行動するべきか
について、少しずつ書いていきたいと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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