これからの災害対策、気になる事を書いてみました。
今年もまた、この日が来ました。
3月11日。2011年、日本を襲った未曽有の巨大災害、東日本大震災が発生した日です。
その規模がどれほどのものだったのかについては、改めて語る必要もないでしょう。
ちなみに、3.11の地震がいかに規模の大きなものだったかについては
こちらの動画でもよくわかります。
その震災からもう8年が経過しました。
私は教職におりますが、以前は生徒たちと震災について「こんなことがあった」と意識を共有しながら話ができていました。
しかし、今の中学生たちの場合、幼少期の経験なため記憶が曖昧なこともあり、以前ほど話がスムーズに通じなくなっています。
8年の歳月が過ぎ、やはり若い世代にいかに記憶と教訓を引き継ぐかは、今から100年先を見据えて取り組んでいくべき課題だと思います。
勿論復興は道半ば。公私ともいくつかの団体を通じて今でも微力ながら支援をしていますが、まだまだ…と感じます。
一方で、北海道東方沖、東海・東南海・南海など、新たな地震発生の可能性が取り沙汰されています。
この動画
の最後に、南海トラフ地震のシュミレーションがありますが、東日本大震災を上回る規模の揺れと津波が太平洋沿岸を襲う可能性は高いと考えられます。
さらに、異常気象に伴う豪雨被害、そして忘れてはならないのは「地震と火山は歴史的に見ても活動期と規模が連動している」という点。巨大な火山噴火にも警戒を続ける必要があります。
火山噴火は、火砕流など周辺部に対する直接被害だけではなく、広範囲に飛散した火山灰が送電網や交通網を麻痺させる可能性も示唆されています。
5月から新元号が定められ、新たな時代となっても、「災害の時代」と言われた平成を上回る苦難の時代になる可能性は否定できません。
そのような時代に踏み込んでいる私達は、常に災害に正面から向き合う意識が求められると思います。
気になること① 津波対策
先日、Twitter上でこのような投稿がありました。
これは、私もかねてから疑問に思っていたことです。
現在位置の標高を書いておくことは無意味ではないと思います。
しかし、最も必要な情報は、「どこに向かえばより安全か」というもの。
例えばビルの中で、「ここは3階です」という情報があっても、避難するための情報としては不十分です。
「どちらが非常口なのか」をいかに視覚的に、間違いなく伝えるかが防災の基本のはず…。
そのために、建物内では非常口までの誘導サインとして
このような表示が義務付けられているのです。
ちなみにこのデザイン、グラフィックデザイナーの太田幸夫さんが出がけた日本生まれで、国際基準として採用されたものです。
中にいる走っている人は「ピクトさん」というお名前まであります。
それに対して津波対策では
これ。総務省が出している「お手本」です。
もちろん、注意喚起として役立つとは思いますが、やはり「どこに逃げるべきか」つまり、高台・避難場所に向かうための指示情報が足りないと感じます。
あの地震ではっきりした津波対策の教訓は
とにかく、一目散に1mでも高いところに逃げる
だったはずです。
今いる場所が海抜何mか…という情報だけでは、場合によっては「ここは安全」という誤解を生む可能性もあります。
津波は「複数の波長からなる水の塊」なので、沿岸部の地形によっては後ろの塊が前の塊に追いついて、急激に高さを増すこともあります。
※津波の実際の映像が含まれます。ご注意ください。
つまり、津波予測10mで、海抜15mにいるから安全…とは必ずしもならないのです。
自治体の中には
このように、独自に避難に関する情報も付加しているところもあるようです。
設置に手間はかかると思いますが、このような情報であればかなり役立ちますね。全国の沿岸自治体で早急に取り組んでいただきたいと感じます。
気になること② 水の確保と衛生環境
災害時、やはり最も困難を伴うのが「清潔な水の確保」です。
人が1日に飲用として必要とする水は、個人差はありますが、大人であれば2Lほどと言われています。
さらに、生活用水も合わせればさらに多くの水が必要になります。
JWRC(公益財団法人水道技術研究センター)による用途別水使用量のデータによると、通常の生活で1人が1日に使う生活用水はおよそ224Lです。
勿論、災害時にはその使用量は大幅に減少するとはいえ、ゼロというわけにはいきません。
水の確保が滞れば、脱水など生命維持に直結する問題だけではなく、衛生状態も維持できなくなります。
そこで、私も導入したり、導入を検討しているアイテムを紹介してみたいと思います。
・水の確保
これだけ災害が続いている中で、多くの方は飲用水の備蓄はされていることと思います。
しかし、スペースの問題などもあり、大量の水を確保しておくことはなかなか困難なはず。
1人1日2Lとして、4人家族なら8L、1週間分とすれば56Lですので、2Lのペットボトルの箱(6本入り)5つ分…かなりかさばります。
生活用水も、となるともはや一般家庭での備蓄は困難でしょう。
ここで、「全量を備蓄しようと思うから難しいのだ」と考えてみました。
つまり、断水しても自分で調達できれば良い。
断水しても水を調達する方法の代表例として「井戸」があります。
実際、防災用井戸を設置する自治体や施設、個人宅は増加傾向にあるとか。
ただ、問題は
・掘削費用がかなり高額
・基本的に飲用ではない
・常に一定量を確保できるとは限らない(季節変化あり)
など。
費用については、打ち抜き(直径10センチほど)の浅井戸で、安い業者さんでもポンプ込みで最低30万円くらいはかかります。
しかも、掘ってみないと水質や水量はわからない…と、少々リスクも高め。
普段からガーデニングに使うなど、何か別用途もあれば良いと思いますが、それにしてもコストパフォーマンスが良いとは言えそうにありません。
さらに、多くの自治体の防災用井戸に関するガイドラインを見ると、用途は「生活用水」と書かれています。
その場合、井戸の表示板にも「飲用ではない」と明記するよう規定されていることから、井戸水は飲用として期待することは難しいでしょう。
※水質検査を行い、飲用に適するとされた井戸であれば問題ありません。
そうなると、他のものがないか…と考えて探してみた結果、興味を惹かれるものがありました。
「空気中の水蒸気から水を作る」という面白いコンセプトのウォーターサーバーです。
40%程度の湿度があれば、1日に10Lの水を空気中の水蒸気から生成できるとうたっていて、期待通りの性能を発揮すれば家族4人の家庭の飲用水を十分に確保できる計算になります。
もちろん電源は必要ですので、家庭に大容量のバッテリーを備えておくか、思い切ってオフグリッド
のシステムを構築しておくことは必要になります。
理想はオフグリッドですが、資金的にもハードルが高いので、ひとまずポータブルバッテリー(ソーラーパネルによる充電機能付き)が良いのではないかと思います。
私は
この組み合わせ。
ソーラーパネルについては正直なところ、きちんと接続できるなら何でも良い(同じメーカーでそろえる方が良い)のですが、ポータブル電源ではこの製品のように電流波形が「正弦波」のものの方が良いです。
ものによっては、「疑似サイン波」といって、波形がギザギザになっているものがあります。
すぐに電化製品が壊れるようなことはありませんが、ラジオなどにノイズが混ざったり、デリケートな制御を必要とする機器類には使用できないなどの制約が出てしまいます。
1台を充電しながら、もう1台を使う…という組み合わせが理想ですが、価格はそれなりになってしまいます。
・衛生環境の確保
もし夏場に災害が発生した場合、問題になってくることの一つは「着替えの確保」です。
阪神淡路大震災以降、災害に対する救援体制は着実に整備されており、今ではかなり早い段階で支援物資も被災地に届くようになっています。
しかし、大きな災害であれば支援物資は各地に分散するため、十分な物資が届かない可能性があります。
さらに、避難所に行けない人々にはなかなか物資が行き渡らない状況は相変わらずです。
乳児がいれば、着替えやタオルの確保ができないことで健康面のリスクは加速度的に増していきます。
下の記事は、東日本大震災の際に乳児を抱えて避難所で過ごされた方のものです。
これについても、「少ない生活用水でタオルや下着だけでも洗濯ができれば少しは違うのでは?」と考えました。
色々調べてみたところ…興味深いものがありました。
これです。
洗浄力の検証動画
を見ても、その洗浄力はなかなかのもの(洗剤不要)。
少量を洗濯するという前提なので、洗濯機のようなわけにはいきません。
ただ、下着やタオルなど、優先順位が高いものを洗濯できるだけでもだいぶ安心感が違います。
どうやら、後継バージョンの2.5というモデルがクラウドファンディングで手に入る
ようなので、そちらも試してみたいと思います。
今回は、価格帯が高めのものが多いですが、防災に役立つアイテムをピックアップしてみました。
このようなハードウェアを備えることはもちろん大切なことですが、同じくらい大切なことは「ソフトウェアの対策」です。
・家族の連絡手段を確認(災害用伝言版の活用)
・自宅、職場、立ち回り先の避難方法を検証(ハザードマップを活用)
など、常に「備えておく」意識は大切です。
全国のハザードマップはこちら
で見ることもできます。
自然災害そのものを防止することは不可能です。
しかし、備えておくことで被害を軽減することはできます。
そして、自分が備えておけば、周りを助けることもできます。
最後に、内閣府が出している「南海トラフ巨大地震」についての動画です。
公的な機関が警告を発していることを心にとめ、必要な備えをしておくことが重要と考えます。
東日本大震災で、大切な人を、故郷を、そして命を失った多くの人々がいます。
これから先も起きるであろう災害で、大きな悲しみを背負う人が少しでも減りますように。そして、ひとりでも多くの命が守られますように。
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