ナンパしてきた男にパチ屋のトイレで置き去りにされたクレイジーサタデーナイト
水より酒を飲んでいた程の大酒豪だった私が、コロナを経て「全くお酒を飲まない人」になった。
昔は1人で飲みに行くこともあったし、「好きなタイプは〜私よりお酒が強いひと❤」と言って、「そんなやついねえよ!!」とツッコまれるというギャグ(と見せかけた事実)もあったし、合コンなどで潰そうとしてきた男を返り討ちにし、カラオケに取り残して帰ったことも何度かある。
なお、私は会社の飲み会以外の介抱を一切せず、放置して帰るタイプである。
お酒の飲む量なんて、自己責任っしょ、と自由であることは責任を伴うね、という深いコトを突然呟いてみちゃったり。
そんな私は今年に入って全然お酒を飲んでいないのだが、前職でお世話になった先輩が起業するというので、久しぶりに集まることになった。とはいえ、マンボウに則って、21時解散の穏やかなハートフルな会だったのだが、昔話に花が咲き、ついつい飲むスピードがはやくなった。
まあまあ酔っ払った状態で歩いていると、「飲み行きませんか?」としつこくナンパしてくる男がいた。見ると、ピンクっぽい髪の明らかに若い男で、小さくて可愛い顔をしていた。私は昔から髪の毛が奇抜な人に惹かれる性癖がある。しかし、例のごとく
「性欲ないんで。一緒にガストかサイゼ行く友達ならいいよ」
というくせ強めの回答をしていると、
「いいよー」というので、
「へーガストの山盛りポテトフライで喜べる?私そのくらいピュアな男の子をペットにしたいんだぁ」
という欲望を垂れ流していると、喜べるよ、というので、私もおおっ!となった。
彼は自称早稲田大学の4年生と言ったのだが、絶対に違うと思う。爆笑
29歳女はなァ、22歳の男が嘘ついてることなんてすぐ見抜けるんだよッ!
サークルも疑問形で時間かけて答えやがって。
彼はコンビニ行こうと言って、私に檸檬堂を奢ってくれた。
「ねえねえ、私缶チューハイそのまま飲めないから強い心でストロー下さいって言って」
というだる絡みをして、ストローで檸檬堂をチュウチュウ吸いながら歩いていると、
「トイレ行きたい」と彼がいってラブホに行こうとするので、
「いやまじ性欲ない、2年してない鉄のパンツだし無理。とりあえず連絡先交換しよ、ガスト行く時呼ぶわ」
といって、ラブホの前でLINEを交換した。
彼はトイレに行きたいと行っていたので近くのパチ屋に入り、男女別れるところで一旦バイバイした。
パチ屋のエスカレーターをのぼりながら
「ねえねえ、めちゃくちゃやばい女ナンパしちゃったって思ったっしょ?思ったっしょ?」
というクソウザ絡みをし続けたせいか、
パチ屋のトイレから出て暫く待っても彼は現れなかったのである。
えー!私ナンパされた男にパチ屋のトイレで捨てられてるじゃん!と爆笑しながら、
檸檬堂をすすりながら、繁華街を歩いた。
途中ものすごい勢いで前から走ってきた人にぶつかられ、檸檬堂を路上に落としたのだが、缶を捨てるところがなく、缶チューハイを持ったままフラフラ駅に向かった。
すると、「すみません、飲み行きませんか?」と謎の男2に声をかけられた。
「もう飲んでるんで」
と私は檸檬堂を印籠のようにかざした。
「一人で飲んでたんですか?」
「いや、先輩と。その帰りに変な男にナンパされてコンビニで檸檬堂買ってもらって、その男消えましたわ」
と怒りをぶつけた。
その人は一人で飲んでいた帰りらしく、話を聞いてみると、近所に住んでいて、歳は1つ下で、私の路線まで送りますよ、と言ってくれる普通にいい人だった。
スーパー方向音痴の私は助かるゥと思いながら、
御礼にあげるよ、と、路上に落とした(その瞬間は落としたことを忘れていた)飲みかけの檸檬堂をあげた。
私の路線の改札まで送ってくれたので、
「サンキューな!」とでかい声で私はいい、ハイタッチして別れた。
いや、後者の男とLINE交換するべきであった。笑
帰り道、自称早稲田生のLINEをブロックしながら、なんて私の人生はこんな面白いことが起きるのだろう……?とニヤニヤしながら、
クレイジーサタデーナイト〜ちょっと甘酸っぱい檸檬堂編〜を、噛み締めたのであった。
(ちゃんと飲み会したのは、今年初めてでいつもは自粛してるので許してニャン……)